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とりあえず、若い人はみんな「2020年6月30日にまたここで会おう」を読むといいと思うよ。

「うおおお、やったるでー」という感じで、モチベーションが湧いてくるような、熱くなれる本が好きだったりします。熱くなれる本マニア、と言っても過言ではないかもしれません。

例えば、斉須政雄さんの「調理場という戦場」とかが好きです。社会人1年目で苦労していたときに出会った本でして、自分の境遇に重ね合わせながら、「うおおお」と熱くなっていたことを思い返します。中でも、フランスに修行に行った時の下記の部分とか、最高です。

働いている最中は、「もう、二〇代は捨てた」と考えていました。

乞食ほどの貧しい生活ではないけれど、薄給の中で長い下積みの期間をフランスで過ごすということは明らかでした。「いいとか悪いとかいうことではない。 『そういうこと』なんだ」と思っていました。自分がそれまでにいかに何もできない情けない資質の人間だったかを把握していたから、「三五歳になっても独立していることはないだろうなぁ」と考えていました。でも、今までの自分に甘んじるわけにはいかない。前に進みたいのならば、効率は悪いかもしれないけれど、自分の足で歩く以外に方法はない。自分の目と手を使って探っていくしかない。

もちろん、五時から女の子とデートをしにいくような人のことを、うらやましくて仕方がなかったですよ。ぼくも二〇代前半で、遊びたい盛りだった。でも、ぼくも、「そろそろ起死回生をはかりたい」と考えていたのです。それまでの、いつも後悔しながら暮らしていた自分のカラを、今度こそ破りたいと思っていた。自分の習慣を変えずに流れるままに過ごしていたら、きっと十年後も人をうらやんでいるに違いない。

モテる人がうらやましいし、仕事のできる人がうらやましい。生き方を変えなければ、異性のことにも仕事のことにもどっちつかずで、満たされないままの十年後を迎えるに違いない。だったら、ぼくは仕事以外のものは捨てよう。ぼくには資質がないのだから、やり過ぎぐらいが当たり前のはずだ。

「やり過ぎを自分の常識にすることによって水準を守る」というぼくの仕事への基本的な方針は、この時からはじまったように思います。

そんな熱くなれる本マニアな私が、久しぶりに出会った熱い本がこちら。瀧本哲史さんの「2020年6月30日にまたここで会おう」です。

2012年に行われた東大講義を活字に起こしたもので、「君たちは、自分の力で、世の中を変えていけ!僕は日本の未来に期待している。支援は惜しまない」というメッセージのもと、講義が展開されていきます。実際の講義の熱量がひしひしと感じられて、のっけから引き込まれます。

ざっくりとまとめると、若い世代一人ひとりが自分の頭で考えて行動をしていくことで、日本の未来は良くなる、というのが論旨でありますが、個人的に面白いな、と思ったのは、パラダイムシフトというものは、古い世代の人がいなくなることで必ず起きるものである、ということ。

天動説と地動説を例に出して、天動説支持者は新しい学説を受け入れられず、彼らが死ぬことで地動説が主流になっていったという話から始まり、下記のように展開しています。

「世の中を変えたい」と考える人はいつの時代も多いですけど、なかなか世の中って思うようには変わらないですよね。選挙に行って一票を投じても変わった実感はぜんぜん得られないし、努力して上の世代の考え方を変えようとしても、徒労に終わるばかりです。

で、そこで「やっぱり世の中は変わらない」って諦めちゃう若い人も多いんですが、みなさんが新しくて正しい考え方を選べば、最初は少数派ですが、何十年も経って世代が交代さえすれば、必ずパラダイムシフトは起こせるってことなんですね。

つまり、世の中が変わるかどうかっていうのは、若者であるみなさんとみなさんに続く世代が、これからどういう選択をするか、で決まるんですよ。

私は30代も半ばに差し掛かりましたが、まだまだ若者のつもりであるので、この本を読んで、「うおおお」って熱くなりました。ぜひ、みなさんも読んでみてください。一緒に「うおおお」ってなって、世の中を変えていきましょう。

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