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ひび割れた日比谷、憂鬱な有楽町

夜の銀座はスーツのおじさんたちでたむろしている。皆笑ってる。皆、愛想笑いだと信じたい。

今年で3人目の退職者が出た。最後は出社もせず、退職代行てヤツで24歳の川島くんは去っていった。
横山さん、辰巳さん、辞めていった人はみな、殺虫剤をまかれた害虫のような顔をしていた。
なんて表現だ、と思うかもしれないけどそうとしか言えなかった。

そんなアタシも3年勤めているが、辞めようと思ったことのほうが起きようと思ったことより多い。

スマホの営業職。飛び込みではないしノルマもないし、イイじゃんと思ったらクソブラックだった。
人間悲しいと泣けないんだと実感した。

その反動からか、休みの日は自分を解放した。
コリドー街のあたりに繰り出し、よー分からない男に体を差し出した。
快楽は一瞬で、また日曜の夜が来る。

あ、そういえばアタシお笑いライブに関わる人になりたかったんだ。
渋谷で出待ちしたり、追っかけしたりしていたのに。
なんで、忘れてしまったの。

駅前で100円でギャグをやる芸人を見て、モーゼの十戒のように世界が再び開いた。

土管の下からブタゴリラ!

アタシは1000円札を差し出した。

「仕事辞めるね…アタシ。君に賭ける」

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