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その日、僕は自転車に乗った

僕、幼い頃結構可愛かったらしいのですよ。
地元じゃ可愛さ神童って呼ばれておりました。
きゃりーぱみゅぱみゅさんですよね。
世界に「Kawaii」を広めていたかもしれませんね。
なぜ今「かわいい」を広められてないのかいうと

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今こんな感じだからですよね。

そんな僕ですが本当に昔は可愛かったのだと僕が死んだ後に言うような語り口で家族は語ります。
特に姉が。

そんな姉は僕が可愛すぎるあまり町の人に僕の可愛さを広めたくて幼い僕を自転車の後部に乗せて町を巡ったことがあるらしいです。
僕はその記憶がありません。
それくらい幼い時だったのだと思います。
僕を自転車の後部に乗せたとしても姉の背中の方から腕を回して抱きしめることが出来ないくらいの幼き頃です。
でも、僕の可愛さを世に知らしめたい「カワイイ」を広めたい姉は僕を自転車の後部に乗せて姉の身体と僕の身体を縄跳びで縛って固定しました。
姉と僕は歳が9つ離れているとはいえその頃の姉もきっと小学生くらいの頃です。縄跳びで縛るといってもそんなにしっかりとは縛ることはできませんでした。

しかし、自転車は発車した。
発車してしまったのです。僕もきっと何も分からず動いたりしていたのでしょう、縄跳びはほつれていきます。
ほつれていく縄跳び。
気づくと私は、自転車後部いや後輪の近くでぷらーんと頭を下にしてぶらさがっていたみたいです。パニックになる姉。自転車は急には止まれません。
ぷらーんとキーホルダーのようになる幼き僕。
可愛い。とても可愛い。キーホルダーのようなぷらーんボク可愛い。

ここでしっかりと書いておきますが上記の状態も聞いたところによる妄想です。ぷらーんともなっていないのかもしれません。
その後どうなったかのも知りません。
一応生きていますしその話を聞いた僕はゲラゲラと笑ってしまいます。

姉は何も悪くありません。
僕が可愛すぎたのがいけなかったのです。
可愛すぎるのはどうしたって罪なのです。

今現在の僕はどうでしょうか。

今の僕は毎朝鏡を見るたびに呟きます。
「可愛いくなりたい。」
鏡は言います。
「無理です。」
鏡を割ります。
業者を呼びます。
業者は言います。
「またですか」
業者を割ります。
別の業者を呼びます。
別の業者は言います。
「またですか。」
別の業者を割ります。

廻ります。自転車操業人生です。

人間とはこうもずっと業が深く可愛いものなのですね。


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