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STAY KOBE《26》舞子多聞線とビデオ合衆国

街と人の絵を描くイラスト作家・こもりあやみが「色々あって神戸に住むのは難しいけど、それでも時間さえあれば神戸を歩きたい」という気持ちで始めたnoteマガジン「STAY KOBE」です。神戸にいる人、神戸にいた人、神戸に行きたいけど行けない人に「今の神戸」をお届けします。(不定期更新)

「USV、ついに神戸から消失」

年明け早々に「え?」と目を疑うようなニュースが。

 この看板が目印

USVとは「ビデオ合衆国」のこと。
またの名を「ビデガ」。

ひとことで言えばTSUTAYAやゲオのようなレンタルビデオ店……なのですが、その立地はかなり限定されていて、神戸や播磨地域の人(あと東海地方)じゃないと通じない超ローカルなチェーン店です。

何かの冗談としか思えないこの看板も時代の流れで少しずつ消えていき、神戸市内で最後に残ったのは垂水区の「USV多聞店」。
そしてその多聞店が1月中旬で閉店するニュースを見て、「ついに……」とため息をついたのでした。

JR垂水駅から山陽バスに乗り、揺られること30分。
今日は垂水警察署前からスタートです。
目の前に見えるのは商業施設の「ブルメール舞多聞」。2006年オープン、ということはもう15年も経ってるんですね(てっきりもっと最近かと……)

別の方を向くと、地元民御用達のロイヤルホストが。

警察署前の交差点を西に向かって歩いていきます。ここの道路が舞子多聞線。

看板でかっ

「カーテンじゅうたん王国 垂水多聞店」です。
子どもの頃はもっと大きな店だと思ってたけど(いや店としては十分大きいけど)、久々に見るとそこまで巨大ではないんですよね。
子どもと大人のサイズ感覚の違いかも。

そのまままっすぐ歩きます。

垂水の西側を流れる山田川

さらに歩くこと5分。
じゅうたん王国よりもっと目立つ建物が見えました。

今回のメイン、「USV多聞店」です。
いやぁもう……。黄色い。
同じ垂水区にあるTSUTAYAも黄色いっちゃ黄色いんですけど、あれは何かこうクリーム色寄りの黄色なんですよ。
で、こっちは原色なんですよ(褪せてるけど)。
この平成初期のテンション高い感じ、伝わるでしょうか。

閉店が一週間後ということもありレンタルの取扱いはすでに終了。

「DVD4枚1000円」の響きすらもはや懐かしい。
というか、昔はビデオでしたよね。

返却ボックス。
ドアのところに営業終了の張り紙があります。


店内も少しだけお邪魔しました。
もう店じまいの雰囲気で空っぽになった棚がちらほら。
頭文字順に並んだCDアルバムに、元の色が分からないくらい古くなったDVDのパッケージ。

あぁ、すごく寂しい。

昔は当たり前の風景だったんですよね。
DVDの途中の巻が誰かに借りられてて悔しかったり。
新作が旧作になるのをちょっと待ってみたり。
CDのジャケットから曲の雰囲気を想像してみたり。

歌詞カードの最初から最後まで食い入るように見てたあの頃。
わたしの青春であり、誰かの青春でもあったと思います。

そこからさらに舞子多聞線を南の方へ。
こちらは多聞六神社。

情報量の多い酒屋さん。
だからなんでそんなに黄色いの。

奥の方に見える「多聞ホーマーバッティングセンター」の看板。
30球300円って書いてるけど値上げしてないのかなぁ。

もはや有形文化財に指定したい床屋さんとふすま屋さん。

多聞寺にも寄りました。
5月になるとカキツバタが見頃を迎えます。

神戸弁として知られる「荒ゴミ」がごく自然に記された看板。

このあたりで一番大きな建物の「トーホーストア本多聞店」。

さっきのバッティングセンターを発見。

若松塾もありました。
西神戸でよく見かける学習塾ですね。
ちなみにわたしも行ってました(夏期講習だけ……。)

「西神戸バッティングスタジアム」。
こんなに近場同士でバッティングセンターが並ぶのも珍しい。

若松塾と同じくらいよく見かけるエディック。
神戸の旧第三学区民からしたら、エディックか若松か山本塾って感じでしたね。

最後に、「マルアイ」のある商業施設「フレスポ」に到着。
ここで今日の街歩きは終わりです。

残念ながら営業を終えたUSV多聞店。
それでも多聞エリアは平成初期からほとんど変わってないように見えます。
三宮や元町、西神戸の再開発を見ているとなんだか不思議な気持ち。でも、これもまた「神戸」なんでしょう。

阪神間ではなかなか見かけないノスタルジーを久しぶりに味わった日でした。

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ではまた神戸で会いましょう。