ミモザとヘッセ

ミモザ、ミモザ、ミモザよ
君の骸を囲ったミモザよ
君と共に炎に包まれたミモザよ
僕は君を探して
あの部屋から春に引きずり出された

ヘッセの絶望に触れながら
隣の女の会話が耳に入ってくる
生きる者は興味深い
とうに死んだ詩人より

初七日だの四十九日だの
生者はとかくうるさくする
君は何の悪事も働かなかった
勲章に相応しくても
裁きを受ける謂れはない

だから君よ早く生まれ変わって
僕の手の中に戻っておいで
何度でも僕の人生を君に捧げよう
恐れも痛みも喜びも全て
君への愛の内側にある

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