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経済的強者は経済的弱者を支配搾取する特権があるという、認知の歪み

ここ連日、ジャニー氏の性的加害行為報道と四代目市川猿之助氏の一家心中事件が世間を賑わせていますが、この二つは個人的な加害行為というよりも、属するコミュニティにおいて複数の関係者や社会全体が加害行為を増長させ加担した集団的な他害行為であるように感じます。

そしてその背景には共通する認知バイアスとして「経済的強者は、経済的弱者に対して、支配・搾取する特権がある」という認知の歪みがあるのではないでしょうか?

最近になって告発者によりマスコミが報道しはじめたジャニー氏の性的加害行為ですが、実はこの話は既に20年前には知られていた周知の事実でした。

ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏の性加害について、現在の代表取締役社長の藤島ジュリー景子氏が「知らなかった」と釈明している問題。「週刊文春」がジャニー氏の性加害を報道し、ジャニー氏とジャニーズ事務所は名誉毀損で提訴したが、2003年に東京高裁で性加害が認定されていた。当時、取締役だったジュリー氏は、この裁判の結果を「知らなかった」と説明しているが、現経営陣がジャニー氏の性加害について把握していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。現在のジャニーズ事務所代表取締役で副社長を務めているジュリー氏の最側近が、裁判に出廷し、証人として証言していた。ジュリー氏は、前社長のジャニー氏と副社長だったメリー喜多川氏の二人以外、会社運営に関する重要な情報は知らなかったとしているが、現経営陣も性加害を把握していた疑いが強まった。

週刊文春

この裁判の争点はジャニー氏の性的加害行為ではなく、文春報道によるジャニー氏への名誉毀損についてだったのですが、民事裁判上で裁判官が「ジャニー氏の性的加害行為は事実である」と認定したということで、ネットのアングラではみんなかなりザワついていました。
そして海外でもジャニーズ事務所の性的加害行為や、結婚や恋人を持つことを禁じるようなプライベートを犠牲にさせる行き過ぎた支配と搾取を「奴隷契約」として、厳しく批判する報道がされていました。

この辺りはネット上の個人ユーザー間ではチラホラと指摘され続けていたものの、日本のマスコミやテレビ業界では一切報道されることがなく、自主報道規制、要は性犯罪の黙認が20年以上行われ続けてきたのです。

何故マスコミやテレビ業界はこのおぞましい性的加害行為を黙認し続けたのか?

ジャニーズ事務所がテレビ業界への嫌がらせや圧力を用いて、他の事務所の男性アイドルを潰したり、ジャニーズ事務所への服従や忖度を求めているというのはよく知られた話でしたが、実際に過去にキンキキッズが予定していた番組を突如出演キャンセルして大穴を空けて大騒ぎになったことがあり、視聴者の目にもそれが顕在化した出来事がありました。

そういったジャニーズ事務所の圧力に業界が完全に服従していたのは明らかです。
逆に今こうした報道がされるようになったのは、ジャニー氏が既に亡くなっており、また所属タレントの不祥事や退所などで、以前に比べて事務所の圧力が弱まったことや、今現在はテレビ業界はK-POPや韓国ドラマに鼻薬を嗅がされ完全に鞍替えしたからなどの理由が考えられます。

とは言え、未成年に対する性的加害行為=性犯罪ですから、普通に考えたらマスコミが一斉に黙り込んで黙認するというのはやはり異様すぎる話です。
しかし文春の裁判において性的加害行為が事実であると認定された後も、マスコミはこれを「同性愛者のいかがわしいスキャンダルだ」と捉えて犯罪であると認識していなかったという指摘もあります。

市川猿之助さんの一家心中事件では、彼のモラハラ、パワハラ、性的加害行為が週刊誌によって暴かれたことがきっかけになったのではないかと言われています。被害にあい破門された人がそれを週刊誌にリークしたとのこと。

酒の席での加害行為や不倫など、モラルの欠片も無い言動は、市川猿之助さんだけでなく歌舞伎界全体に蔓延っていて、むしろそういった反社会的な言動に歌舞伎界もそのファンも自己陶酔しており、自浄作用が全くないのは明らかです。芸の肥やしなどと言って擁護したり、不倫騒動では裏切られた側のはずの妻が庇うことが梨園の妻のたしなみだとでもいうような、非常に歪んだ価値観が蔓延った独特の世界に感じることがあります。

被害者が泣き寝入りすればいいという感覚。

ジャニーズの性的加害行為についても、警察への被害届は出されておらず、性犯罪容疑での逮捕には証拠や証言が必要とされるため、被害者が泣き寝入りしてしまうと警察が捜査することは難しい。マスコミがそれを性犯罪ととらえずスキャンダルだと考えたのも、一つには被害者が警察に被害届を出さなかったことがあるでしょう。

また中高年世代は、性犯罪とは「男性加害者が、女性の被害者に対して行うもの」という思い込みも非常に強く、何故か性被害者には男性も多く存在するという認識が欠如しているようにも思います。性的加害行為が同性間で行われていたと分かった途端に興奮してホモだレズだと大騒ぎし、問題の本質が見えなくなってしまう知能の残念な人たちが山ほどいる。

私は「バカ殿様」が大嫌いなんですが、当時、沢山の女中が胸を丸出しにしてバカ殿に追いかけられてキャーキャー喜ぶという、まるで人間性をはく奪された家畜の群れような女性たちの姿を目の当たりにして子供ながらに喉がつまるような感覚、胸がウっとなったのをよく覚えています。
そういうものが誰でも見られる時間帯に放送され、馬鹿笑いをし、批判するものをフェミニストだとかいって逆切れする人たちがいるんですが、それと同じことをやっていたのがまさしくジャニー氏であり、市川猿之助氏なんですよね。

「バカ殿様」のようなものがテレビを通じて社会一般で共有され、経済的強者は、女や子供や立場の弱い経済的弱者を、支配し搾取する権利があるという認知バイアスを(特に昭和世代の)男性社会全体が持っているのは明らかです

それは組織の強者だけでなく、例えば「経済力が弱く結婚できない男=弱者男性」であり、「一夫多妻制=強者男性」であるという認知の歪み。または不倫は男の甲斐性という言葉にも表れています。

女や性的対象者を一個人として愛し尊重するのではなく、他者との相対的比較、誰かとのくらべっこによって、人が認める美しい女性なら価値が高いとか、とにかく沢山持っている方がすごいなどの幼稚な価値観で、まるで財産や家畜のような感覚で人を扱っている。

このような認知バイアスは、いいかえれば「物質主義」や「権威主義」でもあるし、また、個人というミクロな視点が欠落し「男とは」「女とは」というような実態のないうつろな概念で物事を判断するという部分では「全体主義」的でもあり、「ファシズム」的でもあります。

マスコミやネットユーザーの中には、この性的加害行為において、なぜかジャニーズ事務所の所属タレントを攻撃する人が存在しますが、これは非常に悪質な言動だと思います。
なぜならその所属タレントは実際に性被害にあっているか、もしくは性被害が行われていても誰も助けてくれないという恐ろしい現実の中で、それがこの世の中なのだと絶望的な服従をして生きてきた可能性があるからです。

考えてもみてください、単に未成年に対して性的加害行為が行われているだけでなく、それを知っていながら誰一人咎めないし、救いの手も差し伸べない。事務所どころか、マスコミやテレビ業界など、すべての社会がこれを野放しにして、むしろ服従しているという異様な世界で生きるのはどれほど恐ろしいことか。

カリスマ的な力を持つ支配者と、それに盲従する狂信者がいる組織のことを「カルト」と呼びます。
ジャニーズ事務所にしろ、歌舞伎界にしろ、こういった「支配と搾取の構図」は、宗教思想に関わらず「カルト」なのです。



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