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やりたいことを仕事にする方法(CG・映像編)

みなさん、仕事してますか。こんにちはです。
今日なんとなくタイムラインを眺めていたらこんなRTが回ってきました。

https://twitter.com/dustman_tips/status/1163829129013161984



詳しくは存じ上げないのですが、映像制作TIPS系YouTuberの方のPOSTのようですが、結構若手モーショングラフィックス勢のところで散見され、僕のところにも回ってきたので目にしたのですが
正直なところ「は?」と思ってしまったので、例によってTwitterで暴れそうになったので、ちょっと冷静にこの点について考えてみました。
ちなみにここに書くことは「CG・映像業界に就職する方法」とか「CG映像モーショングラフィックスで食っていく方法」ではありませんので、そういうのはまた別途要望があれば書こうと思いますが、ヒントにはなるんじゃないかなと思います。

僕のこれまでの履歴を紹介します。

といっても、履歴書みたいなことを書いても仕方ないですし、上記のダストマンさんの言ってることと照らし合わせた内容になるのですが
僕の場合はいわゆる抽象的モーショングラフィックス系の作家ではなく、フォトリアルCGをメインにしている作家ですが、多分業界的にはそう遠くないはずなので書いていきます。

まず大学5年生の時に、Twitterで作品を見た会社から連絡をいただきまして、当時のゆずのオフィシャルサイトのBGイメージをCGで制作いたしました。ギターCGを作っていたのが目に止まったとのことで、実際に案件でもギター等の楽器のCGを制作いたしました。
また、携帯電話のCGを制作してみたところ、別の会社さんからご連絡をいただき、当時の某社の携帯電話のPVのカットを制作させていただきました。

そのままゆずの仕事をくれたweb系の会社に入社し、webデザインのプロダクションにいながら一人映像舞台として約10年(晩年は一人ではなかったのですが、大体6年くらい一人でした)、CGに限らず様々な映像を制作してまいりました。
その中には、いわゆる超有名企業案件や有名人案件、有名アーティスト案件といった、わかりやすい案件から自分が1からディレクションで入る案件、企画立案から進めていく案件、クライアント社長プレゼンまで全部する案件など、様々な案件がありました。全部書きだしていくとキリが無いので割愛いたしますが、恐らく皆様も見たことのあるものがあると思います。

会社員として落ち着き始めた頃、趣味の自主制作でステッドラーのシャープペンシルのCGを制作しました。こちらを公開したところ、実際にステッドラー様よりご連絡をいただき、最初は怒られるのかな・・とヒヤヒヤしたのですが、結果としてはこちらの作品をいたく気に入っていただけてステッドラーのイベント用のオフィシャル映像を制作させていただきました。

また、こちらも趣味でKORGのシンセサイザー、minilogueのCGを制作したのですが、こちらも同様に実際にKORG様よりお声がけいただきまして、後継機であるmonologueのPVを制作させていただきました。

また、クリスタルのCGを作るのが好きで、よく色々キラキラ系を作っていたのですが、こちらも某代理店様からご連絡をいただきまして、某タバコ商品のメンソールシリーズの広告ビジュアルを今でも作らせて頂いております。

ギターCGを作るのが好きで、昔からたくさん作ってきたのですが、これもそれを見た友人クリエイターの紹介にて、某アーケードゲームの汎用ムービーとしてギター・ベース・ドラムの動く映像を作らせて頂いたこともあります。(こちらはその後beatmaniaIIDXシリーズの映像のお仕事へと繋がります。)

そして現在はフリーランスのCGクリエイターとして生きておりますが、やはり今も過去作やTwitter等の画像を見てお問い合わせをいただく事例が少なくありません。

やりたいことはどんどん見せたほうがいいということ

ここまで書いたことが、ともすれば自慢のように見えなくもないですが、そういったつもりではなく、要するに「作ってみたいと思ったから作ってみんなに見てもらっていた」というのを繰り返していた結果なんです。作ってる最中に「こいつを企業に売りつけて仕事もらってやるぜへへへ・・・」みたいなことを考えたことは無いのです。もちろん仕事として受けた時は自分の好きな表現100%とは行かないことも多く、お客様や代理店のご要望に答えるために色々工夫したり時には苦労もしたりしましたが、結果としては好きなものを実際に仕事にできた結果が世に出てくれて、とてもうれしく思った経験になりました。

やりたいことが仕事になるにはどうしたら良いか

さて、本題はこちらです。
ダストマンさんはTwitterで「twitterで流行ってるVlogや抽象的なシェイプのモーショングラフィックスをどれだけ作っても仕事は増えない」と書いていますが、それは多分40%くらいは合ってると思います。40%という微妙な数字にしたのは「確かにどれだけ作っても作ってるだけでは仕事にならない」という部分には限定的に同意できるからです。で、ここに補足する形で60%の合ってない部分を書いていこうと思います。

要するに、「twitterで流行ってるVlogや抽象的なシェイプのモーショングラフィックスを作るだけではなく、ちゃんと見せて、ちゃんとフィードバックをもらい、ちゃんとトレンドや新技術を学び、確実に自分のレベルを上げ、かつ要所要所で売り込んでいくことで目立っていき、結果として仕事に繋げていく 」ということになります。
こう書くと「げ、なんかめんどくさい、それにそれって結局才能とか実力が強い人だけができることじゃん」と思われそうですが、決してそんなことはないということを美大補欠〜浪人〜入学するもあまりの周囲との実力差に落ちこぼれ〜留年の俺が保証します。
そんな俺でも今となってはこうして色々な仕事ができているのは結局↑のようなことをしてきたからなのですが、どれも特別めちゃくちゃ死にものぐるいで努力した!というものではありません。以下、一つ一つ解説いたします。

1,作ったものはちゃんと見せる

TwitterでもFacebookでもPixivでもbehanceでもYoutubeでもVimeoでもなんでもいいです。作ったものは臆せずバンバン見せていきましょう。どんなに口では「自分は映像を作っている」「自分はCGを作っている」と言っても、作品がなければ伝わりません。
以下、少しだけ厳しいことを言います。
よく耳にするのは「だって見せても全然反応ないし・・・」というリアクションです。これは僕も散々悩みましたが、あるシンプルなことに気づきました。結局「大したことないから反応がない」のです。自分に置き換えてみればわかることなのですが、やはり目にとまる作品はどこか「おお!」と思う部分があって、反応がないということはそれがないということになります。当時僕はこれがとにかく悔しくて・・・すごい人と何が違うんだろうとか、何かやり方があるのかとか、色々探っていました。それでも作ったものはとにかく表に出して、少しずつ少しずつ反応がつくことが嬉しかったので、それを引き続き自分の中に落とし込んでいく、という地味〜な感じで続けていきました。実際今でも作っても全然反応がないものもたくさんありますし、そんなときは落ち込むし超悩みます、フリーランスになって自主制作の時間も減ってきましたが、それでも作ったらとにかく出していく!というスタンスは変えていません。(ちなみにわかりやすい例としては、最近超時々音楽をアップするのですが、普段のPOST以上に反応マジで無いですw でもそれが今の音楽の実力なんだなって思ってるので、引き続き日々練習してます、また作ったらアップするぞ!)

2,もらったフィードバックを反映する

だんだん反応がついてくると、徐々にフィードバックを貰えるようになります。これは毎回毎回ポジティブなものばかりではなく、中には腸煮えくり返るくらい頭にくるようなものもあるのですが、それでもそう言われたことは事実と捉え、自分の中で可能な限り噛み砕くようにしています。
言われたその瞬間は頭にきますし、実際噛み砕くのがとても困難なこともありますが、ほんの少しでもそこから何かを得るようにしています。
しんどいことも多いのですが、これを怠ると人は成長を止めてしまいます。いつでも褒めてくれる人ばかりを周りにおいておきたいです、実際。でもそれだとそのまま悪いところも治らないままになってしまうなと思い、今でもそういったしんどくなる意見も見て、少しでも変えていこうという気持ちでやることにしています。

3,トレンドや新技術を学ぶ

映像表現にはトレンドがあり、CGや技術は日々進歩しています。絶対に最新トレンドと最新技術を使え!!というわけではないです。でも今どんな表現が流行っていて、どんな表現が求められていて、開発の現場ではどういった技術が産まれているのかをある程度追っていくことで、自分の作風や実力と照らし合わせたときに「あ、今回はこれ使えそうだな」とか「あ、せっかくだからこれやってみよう」という瞬間が訪れます。
そして「仕事を投げる側の人たち」は特にこういった点に敏感な方も多く、そういった表現のできるクリエイターを探している印象があります。要するにしっかりとトレンドや最新技術を追い、試してみることは、そのまま仕事につながるきっかけを増やすことになります。
もちろん試すだけではだめで、試した成果を1のようにバンバン投稿して、2のようにフィードバックをもらったら考える、というのが大事なことだと思います。

4,確実に自分のレベルを上げる

これは「他人と比較した自分」ではなく、「これまでの自分と比較した自分」の話になります。去年作った作品から見比べたときに、自分は何が成長して何が成長していないか、あるいは何か衰えていないかを考えてみたり、前回作った作品と今回の作品で何か変わったことはあるかどうかを考えてみたり、といった、ある程度期間を追いて自分と対話するような部分です。
我々クリエイターは3で話したような最新技術・最新トレンドとは別に「自分の中での流行り」みたいなものがあります。自分の中での流行りは案外移ろいやすいのですが、移ろったときに以前の自分の流行りが活きてるかどうか、どういった流れで今これが好きなのかを考えてみるといったことも大事です。
自分自身の過去作を何度も見つめ直し、時には「あれ?この時の俺、いいぞ?」とか「俺、なんでこんなの作ってたんだろ・・・」とか出てくると思いますが、それらすべてが今の自分を形成しているわけです。そして次に進むには一体何をしたらいいのか、次はどんなふうにやれば更に理想の自分の創作物に近づくのかに気づくヒントになります。

5,要所要所で売り込んでいく、目立つ

日本人にとっては非常に難しいポイントですよね、目立つとか売り込むとか。引っ込み思案な人だとなかなかできなかったりもします。で、ここでいう「売り込み」や「目立つ」というのは、無理にキラキラしろということではありません。

例えばあなたが学生なら・・・
友人や先生や、勉強会などで「最近こんなの作ってるんだよね〜」と見せる、特にクリエイティブ系の学生さんは何かしらの集まりに行ったりする機会もあると思うので、そういうところで作ったものを見せたり、こんなことしたという話をすることで、「あ、そういえば彼がこういうの好きだったな」という流れから仕事や制作につながることも多いです。

例えばあなたが社会人なら・・・
会社の上司や同僚・先輩なんかに「最近こんなの作ったんスよぉ〜」と見せる、身近なところだけでもいいです。これをやっておくとあなたのやりたい案件のときに「そういえば彼、やりたがってたな」と印象付けることができます。また、フリーランスだったり、あなたが打ち合わせ等に行く立場の人であれば案件の打ち合わせ終わりにでもクライアントさんと雑談がてら「実は最近はこんなのも作っててですね〜」とか見せておくと、社内で共有してくれたり、見せたものをベースにした案件を生んでくれたりもします。

要するに、「インターネット以外の場所でも作品を見せる」ということに慣れておくと良いと思います。身近な人に自分の好みや得意技を把握しておいて貰えれば、その手の案件が産まれたときに必ずお声がけしてくれます。打ち合わせ等の場であれば「こんなのもやってみたいんですよね〜」といった話もしておくとなお良いでしょう。アイディア出し係としても優秀になれますし、それで実際にやってみたいことができたら最高にラッキーだったりもします(そして案外できたりもします!)

結局、やりたいことを仕事にすることは

色々と僕のやってきたことをベースに書きましたが、まとめとしては「○○をどれだけ作っても仕事が増えない」のではなく、「○○を仕事にするにはどうしたらいいか」を考えたほうが建設的だなと思うのです。
仮にもしもこれを読んでいるあなたが「○○をどれだけ作っても仕事が増えない(or来ない)」のであれば、それは「○○の仕事が無い」のではなく上記1〜5のどれかが足りていないということだと思います。
なので今もしも「なんで○○の仕事が出来ないんだろう(増えないんだろう)」と悩んだら、一度そのあたりを考えてみると、案外自分に足りていない個所を把握した上で対策を考えることが可能になると思います。

っていうか、そういうこと言うなよ!!

最後にこれだけ言わせてください。
ここに書いた手段はほんの1例だと思います。全く違う手段でプロになることも可能だと思いますし、ここに書いた手段をすべてこなしてもダメだったという場合もあるかもしれません。
それを言っちゃあ〜〜という感じですが、何が言いたいかというと、絶望させたいわけではなく「100人のクリエイターがいたら100通りの道筋がある」ということです。入試のように点数で足切りをされる世界でもないですし、具体的な答えのある問題を出されるわけでもありません。仕事をしていても毎回毎回が悩みの連続です。いつか干されちゃうのかなという恐怖だってあります。それでもきっと若手の子たちは僕を見て「俺もプロになろう!」とか「俺はこいつが嫌いだ!だからこいつみたいなプロにはならん!プロになってこいつを潰す!!」って思ってるかもしれません。どんな感情でもいいのですが、ある一定のフォロワーがいるクリエイターであれば若手に対してある程度影響力があると思っています。
僕たちプロは若手に対して、いつだってこっちに来て欲しいと願っています。やりたい仕事をして欲しい、やりたい制作をして欲しいです。そんな若手に対して「○○をしても仕事は増えない」というようなことを言ってはダメだと思うんです。それはあなたの道筋の結果であって、クリエイター100人が100人そういう結果になるわけではありません。
Twitterにも書きましたが、己の成功体験を語ることは若手あるいはフォロワーにとって大きな希望になると思います、バンバン語ってもいいと思います。若手にはどんどん夢を見せてあげたいです。
でも「自分の成功体験以外は失敗」という書き方にしてしまうと、その方法をとっていた若手たちはきっと悲しむでしょうし、怖がってしまうと思います。YouTuberという立場の性質上、主語を大きく、かつ言い切ってしまうことでカリスマ感を出す必要があるのかもしれませんが、本当にクリエイター志望の人たちに言葉を向けたいのであれば、「○○をしても仕事が増えない」という必要はなく「○○をしたいならこうしたらいいよ」と言ってあげられる先輩でいたいなと思いました。

↑にも書きましたが、もはや若手ではない自分としては、若手に夢をたくさん見せてあげたいと最近は思います。映像クリエイターになりたい若手たちがこの先どんどん増えてくれれば、どんどん界隈も活性化していきますし、実力者もどんどん増えてくると思います(結果的に自分の首を締める気もするんですが・・・w)少しだけ先輩のクリエイターとしては、彼らをいかに上手く導き、いいクリエイターになっていただいて、結果として彼らもさらに後輩のクリエイターに夢を見せてあげられるような、そういう循環になっていけば良いなあと思います。




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