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最低な映画で、最低で最高な男、ブライアン・ジョーンズのことを知る。

 昨日、"The Swinging 60's : The Rolling Stones"というドキュメンタリーを観たんですよ。この前ツタヤに行ったときに、中古DVDで300円だったので買ってみたんです。

 店頭で見つけたときは「あ!!ストーンズじゃん!!」と思って何も見ずに買ってしまったので、見るまで詳しい内容とかは知らなかったんですが、実はこれ、バンドの歴史というよりかは「元メンバーのブライアン・ジョーンズの半生」というのが主軸だったんです。


 ブライアン・ジョーンズというのは、ローリング・ストーンズを実質作った男なわけで、1962年から69年までバンドに在籍していました。ストーンズはもう50年以上活動しているけども、彼がいた期間は実質その二割にも満たないわけなんですね。

https://www.nme.com/news/music/fresh-evidence-rolling-stones-brian-jones-murder-new-netflix-documentary-2533208

 ただ、彼がいた62年から69年はストーンズにとって最大級の黄金期だったわけです。ビートルズと並ぶ、イギリスのトップバンドとして登場して、世界=アメリカに挑戦し、成功。つまりイギリスの若い音楽の評判すら担っていた人物だったわけですよ。

 それほどまでの重要人物なのに、僕はこれまで彼にあまり注目していなかった。その理由は単純に、彼は主に演奏スキルに長けた人物だったからなんです。僕の中では「やっぱり作詞作曲っしょ!」みたいな、クリエイター信奉気質があって、やっぱりどっちかというと、ミック&キースに惹かれていたんですよ。ブライアンはまったくもって作詞作曲をしなかったですから。


 それに加えて27歳の若さで死んでしまっていたことで、変に神聖視しているきらいがあったんです。つまり楽器の上手さよりも、「へ~~27歳で死んだんだ、なんで?」という、彼の結末ばかりに興味を持ってしまっていたんです。白状しますとね。

 ただ、この映画を見てから彼にもっと興味を持って、他にもいろいろ調べてみると、知ってたけど、やっぱり演奏での貢献が本当にすごい。知ってたけど!!

 例えば、"She's A Rainbow"のあの特徴的なメロトロンとか、"Paint It Black"のシタール、"Ruby Tuesday"のリコーダー、"Let's Spend the Night Together"のオルガン、あとやっぱり一応、名目上はギタリストだからギターもやばい。"Mona (I Need You Baby)"の揺れるギターのトレモロとか"Get Off of My Cloud"の12弦ギターの豊かなサウンドとかね。

https://www.loudersound.com/features/rock-icons-jaz-coleman-killing-joke-brian-jones-rolling-stones

 ただ、映画を見てブライアンの知りたくない一面も知ってしまった。そもそも彼は典型的なイギリスの家庭の出で、航空技師の父とピアノの先生の母親の間に生まれたらしい。成績も優秀だったのだけれど、音楽に出会ってからは歩む道をガラッと変えてしまう。

 毎晩のようにジャズクラブに行って音楽漬け。そこで出会ったブルースのギタリストたちに感銘を受けて、スライドギターを習得する。そしてある日、ライブでそれを披露していたら、たまたま客席で見ていたある若者二人と出会い…というのがストーンズの始まり。

 そしてブライアンは音楽の道に進むと同時に、誤った道へと歩を進めてしまう。16歳の時に14歳の元恋人を妊娠させてしまい、結局その子は養子に出されることに。その後も道を誤り続け、結局20歳になるまでに3人の女性を妊娠させてしまったらしい。最低すぎる…

https://www.thesun.co.uk/tvandshowbiz/15662340/brian-jones-death-rolling-stones/

 しかし、音楽の方は少しづつ軌道に乗り始めていた。バンドメンバーも集まって、準備が整ったかのように思われた。「彼」と出会うまでは…

 アンドリュー・ルーグ・オールダムは、60年代にストーンズのマネージャーをしていた男だ。彼の作戦は巧妙だったが残酷だった。ブライアンの友人で、類まれなる才能を持つブルースピアニストのイアン・スチュワートを「ビジュアルがストーンズに見合っていないから」という理由で解雇し、ビートルズとの差別化をするために、まったく逆のバンドイメージ(ビートルズはマジメで、ストーンズはやんちゃ)を作り出すなどした。

 そして彼がした中でも最も非道かつ正直、うまくやったと思わざるを得ない行為は「ストーンズの顔を、ブライアンからミックに移行させる」ということだった。ブライアンはストーンズをブルースをやるバンドだと意気込んでいたが、オールダムとしてはそのスタンスはビートルズを超えるうえでは不必要なものだったのだ。それにブライアンは素行が悪かった。これも原因の一つだといえるだろう。

https://ultimateclassicrock.com/brian-jones-rolling-stones-songs/

 そこで彼はブライアンに徹底的ないじめを仕掛ける。ブライアンの演奏パートを極端に制限したり、ファンレターの一部を勝手に捨てたりした。ミックよりも目立とうとする人物は、オールダムにとって敵だったのだ。これが原因でブライアンは精神的に参ってしまい、薬物に手を出すようになる。

 もともと女性に対してだらしなかったブライアンは恋人に暴力を振るうようになる。彼はアニタ・パレンバーグという女性と交際していたが、彼女への暴力は収まらず、彼女はキースと交際するようになる。これも彼にとって大きなショックになっただろう。


 結局、彼はバンドのレコーディングにも段々と参加しなくなる。薬物問題での裁判沙汰も相次ぎ、精神も疲弊してしまった。結局、彼はA・A・ミルンがかつて暮らしていた邸宅のプールで溺死した。他殺説もあったが、プールでの遊泳直前に薬物を使用したらしく、これは間違いなく事故死であるとされている。


 ところでこの映画についてであるが、完全にゴミだった。

 同じ話を何度も言うし、使用できる音源と映像が限られているからか、つなぎの映像が長い。それにそれが安っぽい。絶対に30分で済んだ。二度と見ない。ブライアン・ジョーンズの話だから見てられたけど。


 ブライアン・ジョーンズは紛れもない天才だった。だがストーンズのプロデュースの荒波と薬物の流行に飲まれてしまい儚く散っていった。彼は不思議な人物だ。ブルースを信奉していたのに、シタールやメロトロンなどの楽器を駆使し、サイケデリックの渦中に身を投じた。そういった部分もあるのもすごくおもしろい。

 というか、ブライアンって不思議なルックスだよね。一重に見える二重。目が細いからかな~。ミックとかキースとかとはまったく違う顔だよね。すごく独特な顔。イギリス人でこういう顔は見たことない。今のギターのロン・ウッドはキースっぽいところがあるから、よりいっそうブライアンの顔は不思議。

 また明日~

小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!