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リアリティは不親切 【 FARCRY2 】 (XBOX360)

リアリティ追求オープンワールドサバイバルFPS

主人公の傭兵は武器商人「ジャッカル」を抹殺する任務のためにアフリカの某国にやって来た。 しかしその国は内戦の真っただ中。内戦の核となる二つの勢力がよそ者の主人公を利用しようとし、主人公は不幸なことにアフリカに着いたと同時にマラリアを患ってしまう。さぁ主人公は無事この困難を乗り越え任務を達成できるのか?!

まずお断りしておきたい。このゲームはとっても評価が難しいと言うより、オススメしにくいソフトである。
そんな本作は超広大なオープンワールドのジャングルを舞台にしたFPS。二つの勢力から様々な破壊工作などのミッションを請け負い、お金(ダイヤ)や情報、仲間を集めながらストーリーを進めていくのだが、本作の癖は普通のFPSとは比べ物にならないくらい強い。

ゲーム序盤は武器は弱いし銃を撃っても驚くくらい当らない、敵から武器を拾ったとしても長く使われた武器は劣化しており弾詰まりや暴発を起こし最終的には戦闘中でも問答無用で捨てるハメになってしまう。
そしてマップにはいくつもの道路の交差点には関所とは名ばかりの敵のたまり場が点在しており、主人公を見た瞬間問答無用で攻撃してくるのだ。 
しかも一度敵を全滅させて関所を潰しても、一定の時間が経つと敵が復活しており、また関所を通過するたびに毎度毎度戦わなければならない。又マップが広いせいで目的地に着くまでにいくつもの関所を通るので、到着した時には既に多くの戦いでボロボロだったりする。
しかも車も壊れやすく車が途中で壊れたら徒歩で移動しなきゃいけない始末だ。なんとも全く優しくないゲームである。

細かなリアリティへのこだわり

しかし優しくないのにも理由がある、それはリアリティに対する異様なこだわりだ。銃だって車だってずっと使っていれば壊れてくるのは現実では当然と言えば当然だ。
マップは画面が切り替わるのではなく、いちいち手に持って見なければならないし車に乗ってもレーダーなんて表示されず片手でマップを見る始末、もちろん運転中もだ。

そして会話ボイスは全て日本語の吹き替えなのだがヘッドホンをつけていないと聞き取りづらい上に字幕もない。リアリティのためなら字幕だって消してしまうコダワリようだ。(そうなのか?)
他にも車は簡単に故障するのでボンネットを開いてエンジンを修理したり、マラリアの発作のたびにクスリを飲んだり、怪我したらペンチで弾丸をえぐり取ったり、関節を元に戻したり…いくらなんでもやりすぎだと思う。一緒に戦ってくれる仲間もいるのだが、あまり強くない上に、すぐにやられてしまう。しかも仲間が死んだ時のリアリティと喪失感は本当に何とも言えない。

そして武器を買う為の通貨なのだが、この国はすべて物々交換でダイヤモンドで地域の経済が廻っている。
任務で成功し貰う事もできるが、マップに点在し拾う事で獲得出来る。やり方としてはダイヤが入ったカバンを探知する発信器を使い、その点滅の速度で場所が近いか遠いか判断し探し出すのだが、これが結構一苦労。
しかも探して見つかる貰えるダイヤは最弱の武器も買えないくらい少ない。そりゃお金は見つかりにくい場所に置くのが基本だけども、ここにもリアリティという名の厳しさである。(ほんとか?)

この弾詰まりやら字幕なしやら関所やら故障やらダイヤやらマップの広さやら制作者達のリアリティへの果てなき追求のおかげか、このゲームのテンポは悪い。
正直大半のプレイヤーが序盤で脱落したであろう。(というかリアリティを求めるなら関所で敵は無限湧きしないだろ…。)
しかしこのゲーム、ある程度我慢して進めていくとなぜか異様に面白くなってくるのだ。

広大なジャングルで生き延びる

序盤はたしかにかなりの忍耐が求められる。
しかしコツコツとダイヤを集め、武器を買い、強化していき。任務を達成していく。この一連の流れを掴むと本作もだんだん楽しくなっていく。
特に武器が一通りそろったとき、広大なマップをいかに効率よく進み戦っていくかを考えるのが楽しい。
愚直に突撃するのではすぐに蜂の巣になってしまう。遠くから狙撃するか、隠れながら一人一人倒していくか、手榴弾やバズーカで木っ端みじんにするか、夜中に襲うか。このゲームは人によって地形と環境を利用した多種多様な戦い方が出来るのである、それを考えながら戦っていけるのはオープンワールドならではの持ち味であり他のFPSゲームにはない戦略性だ。
そしてここまで行くとこのゲームの面白さが見えてくる。でも結構3D酔いはするからご注意を。 

ただそこまで行き着くのには結構時間がかかるので途中で投げてしまうかもしれない。事実僕も一度投げ出し、当時金が無さすぎてプレイするゲームがなく面倒ながらもプレイしてこのようなゲーム体験となった。(ちなみにXboxの実績統計では最後までクリアしたのは本作をプレイした全プレイヤーの内の8%だ。)
それに肝心のストーリーは全体を把握しにくく、楽しむ事は難しかった。結末も納得いく終わり方とは言い難いというのが本音である。
ちなみにオンラインは斬新なマップエディッターなどがあり、マップ作成の自由度もかなり高く自分なりの変なマップを作りだしてトモダチとワイワイ楽しむことができる。

そんなむせかえるほど硬派だったFARCRY2。だけど、続編のFARCRY3では本作が嘘だったかのように真逆のヒロイックで親切丁寧で快適(悪く言えば没個性)なゲームとなっており、本作のどこまでも不親切でリアリティなゲームデザインが今では個性として輝く一本になっているように見えて来た。
リアリティと名乗るにはあまりにも不親切な本作は序盤に耐え、地道に頑張って武器を揃えていけばなかやか楽しい体験ができると思います。
現在のリニア進行のゲーム展開や便利なファストトラベルに飽き飽きし、確実な手応えのあるFPSを体験したい方にはオススメの一本だ。


DATA

FARCRY2
発売 / 開発:UBI SOFT
対応ハード:Xbox360、PS3
発売日:2008年
ジャンル:FPS


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