風月

塩谷風月です。短歌をやっています。 未来短歌会ニューアトランティス欄 レ・パピエ・シア…

風月

塩谷風月です。短歌をやっています。 未来短歌会ニューアトランティス欄 レ・パピエ・シアンⅡ(シアンの会) 1962年生まれ。大阪。

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『ちるとしふと』雲の向こうからいつも月は見ている。塩谷風月の語るまでもない事柄。2

玄関のドアをひらけば吹いてくる風のことです春というのは 『ちるとしふと』千原こはぎ 書肆侃侃房 新鋭短歌シリーズ39  本文を書き出す前に。  僕は「作中主体」という言葉が嫌いだ。しかし「作者」と呼ぶのも少し違う。この歌集は、一見、作者と作品との距離がゼロで、密接に繋がっているように見える。しかし、歌集というもの(もっと言えば歌というもの)は、意志と意図を持って「構築された創作物」である。  いくら剥き出しの感情をそのまま書き連ねたように見えても、それは冷静に構成された創作

    • 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』雲の向こうからいつも月は見ている。塩谷風月の語るまでもない事柄。1

      この世のすべてが愛しいなんて 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』 穂村弘 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』穂村弘(以下、『手紙魔まみ』)を最初に読んだのは、二〇〇一年のことだったと思う。当時、僕は短歌を始めてまだ二年足らずの初心者で、何も知らないくせに何でもわかっているような、根拠のない自信だけを抱えて短歌と向き合っていた。それでも、長く自由律詩の方ばかり向いていた目を閉じ、定型詩としての短歌を選んだことには、それなりの決意があった。  そう気負っていた僕にと

    『ちるとしふと』雲の向こうからいつも月は見ている。塩谷風月の語るまでもない事柄。2

    • 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』雲の向こうからいつも月は見ている。塩谷風月の語るまでもない事柄。1