きみと音楽

きみと聴いていたあのバンドはもう聴けなくなった。
バンドに失礼かなあ。
お客さんを一人減らしちゃった。
でも思い出しちゃうから。
聴けないんだ。
ごめんね。

もっと売れたら、その時私は嬉しいかな。
きみとの思い出も一緒に大きくなっちゃう。
消えない過去になっちゃう。
売れないで。
大好きだから。
私の中だけに居てよ。

CDがなくても聴ける時代に、
CDを買うきみが好きだった。
「CD買うのすごいね。」
って言ったら、
「CD買いたいと思わせてくれるバンドがすごいんだよ。」
って言ってた。
私のiTunesには、きみから借りたCDばかり残っている。

チケットは必ず、捨てずにとってある。
最近は電子が増えちゃったけど、電子が増えちゃったからこそ、
あの頃のライブばかりが形になって残ってる。
チケットには、あの狭い暗いライブハウスの音や匂いが染み付いてるんだと思う。
きみもまだ持ってるかな。同じチケット。



今も音楽は私のそばにある。なんなら無いと生きていけないぐらい。

音楽が悪いわけじゃないのにね。
聴けなくなってしまうことは、とっても悲しい。
なんてわがままだなあ。

だけどちょっとだけおとなになったからね。
良い思い出として大事にしまっておくよ。

いつか……

…いや、やっぱりなんでもない。


来週のライブもたのしみだなあ。



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