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2023年に聞いて良かった音楽アルバム

Spotifyの2023年まとめによると今年の再生時間は「52,226分」聴いた楽曲数は「7,526曲」でした。ジャズを中心に約870時間聴いた中から、特によかったアルバム18枚をまとめてみます。


Alive at the Village Vanguard / Fred Hersch, Esperanza Spalding

エスペランサ・スポルディングとフレッド・ハーシュのデュオ・ライブアルバム。自身のアルバムでは天賦の才が溢れすぎているエスペランサのスタンダード・ナンバーが久々に聞ける嬉しい作品。「1. But Not for Me」のような聞かせる名曲から「7. Loro」のようにピアノとボーカルの掛け合いが楽しい曲まで、アルバム全体を通して親密で温かい。

Your Mother Should Know / Brad Mehldau

2月に行われたオペラシティのピアノソロ・コンサートでは、遠くに飛ばされすぎて、もう走馬灯のようなものまで見えてきました。このアルバムを聞いてから、オリジナルのビートルズを聞くと、メルドーの解釈の広さと膨らませ方に驚く。「10. Golden Slumbers」の優しさに泣いた。

All One / Ben Wendel

セシル・マクロリン・サルヴァント、テレンス・ブランチャード、ビル・フリーゼル、ホセ・ジェイムス…なんと豪華すぎるゲストアーティストよ。6曲42分と小品だけど、どの曲も豊潤で素晴らしく超充実の一枚。

欲言又止 Lost for Words / Voision Xi

2023年のベストアルバムを1枚だけ選ぶならこの作品だと思う。上海ジャズ・シーンのボーカリスト、ヴォイジョン・シーの1stアルバム。アルバムタイトルにもなっている「1. 欲言又止 Lost for Words」の楽曲の素晴らしさ、「3. 蝴蝶 Butterfly, A Hyaline Beauty」のラップ、「12. Act Like Adults」の大人っぽさ。どの曲も色気に満ちていて最高。12月の来日に行けなかったのが残念。

Unison / 小曽根啓, 小曽根真

これまで正直、小曽根 真のピアノもちゃんと聞いたことがなかったのですが、このアルバムを通して、プレイヤー全員の演奏の質の高さに浸る喜びを改めて味わえた。正統派なジャズの良さに溢れた名盤。ピアノとサックスだけの「10. Gorgeous」、もう何年、何十年と演奏し続けてきたことが分かるような演奏で感動。

Food / Paolo Fresu, Omar Sosa

パオロ・フレズとオマール・ソーサのアルバムは前作「Eros」も、前々作「Alma」もすごく良いけど、3枚目の本作も素晴らしかった。お互いの良さを完璧に引き立て合っているうえに、どの曲でも実験性と美学が両立している。音楽の官能性を味わえる一枚。

Lean In / Gretchen Parlato & Lionel Loueke

グレッチェン・パーラトとリオーネル・ルエケという、全身が楽器のような2人のコラボレーションアルバム。マーク・ジュリアナがパーカッションに入っている「9. Lean in」の抑制された美しさがありながらも呪術的なリズムの曲から、「2. I Miss You」や「12. Walking after you」のようなグレッチェン・パーラトのボーカルがメインの曲まで、人間の声とは1つの楽器であることの発見と喜びがある。

Soluna / Martha Kato

どこか懐かしいような、でも初めて聞くような曲が多くて、何度も繰り返し聴きたくなる。物語を連想させるような世界観があって、ライブで聞いたらなお良さそう。声の使い方がグレッチェン・パーラトのような「1. Sol」や「6. Uragami」が特に好き。それから前アルバム「Tales from The Tree」の、童謡のような「4. Small Sky」も好きです。

The Omnichord Real Book / Meshell Ndegeocello/

90年代からミシェル・ンデゲオチェロの音楽を聞いてるけど、今が1番かっこいいのでは。あらゆる音楽を取り入れながらも、唯一無二のサウンドに仕上がっていて、他の何にも似ていない。次の2月にはビルボードで来日公演があるとのこと。行きたい。

Los Fumeros / Lucia Fumero, Horacio Fumero

ピアノ・ボーカルとベースのデュオ。素朴で美しく、優しく健やかで、毎日でも聴きたくなるようなグッド・ミュージック。ピアノとボーカルを支えるベースの地味な良さが際立ってる。と思っていたら、ピアノ・ボーカルは娘で、ベースは父親とのこと。最高。

Wyoming (Piano Works) / Elijah Fox

美しい。夜中にたくさん雪が降った次の日の快晴の朝のような清涼な世界。瑞々しい「4. Heathrow (Leaving)」をはじめ、透明な曲が揃っている。毎年、冬になったら聴きたい作品。

Solar Music / Butcher Brown

ビートのある曲で、いま1番かっこいいと思うのはブッチャー・ブラウン。ナッピー・ニーナのラップが入る「8. Half of it」、ブラクストン・クックのサックスが入る「9. DYKWYD」、ピアノから始まる「10. Happy Hourrr」といった、アルバム中盤以降の流れが特に陽気で気持ちいい。

La Nasissance De La Mer / Lucia Fumero

ルチア・フメロのソロアルバム。7曲22分と短いアルバムだけど、寝室のサイドテーブルに置いて時々読み返したい短編小説のような愛おしさがある。父娘デュオのアルバム「Los Fumeros」とは、また違った音楽的探求が良いですね。

Unicornio / YOUN

前作の「BXD IN JAZZ」がすごすぎた、ブラジルのネオソウルアーティストYOUN。前作のようなアコースティックな曲づくりではなく、本作はエレクトロなサウンドがベースだけど、美しいメロディとシルキーな歌声は変わらず良いです。

Les Jardins Mystiques Vol.1 / Miguel Atwood-Ferguson

52曲、3時間30分だと。。。2015年の「Library Selection」が全曲名作だったミゲル・アトウッド・ファーガソンの新作アルバムが規格外。しかもvol.1ということは、vol.2以降もあるのだろうか。まだ全部は聞けていないけど、「1. Kiseki」からすでに名曲。しかもこの曲にはベニー・モウピンがバス・クラリネットで参加とのこと。すごすぎる。

New Blue Sun / Andre 3000

極上アンビエント。タワーレコードオンラインに載っていたアーティストの言葉が最高なので、下記に引用します。

本作について、アンドレ本人はこう語っている。 「普通の人はアンビエント・ミュージックというと変わりすぎているか、眠くなりすぎて楽しめないと思うだろ。でも、実は今、この音楽の世界には色んな面白い事が起こっていて、それを軽んじてはいけないと思う。全ての音楽に808ドラムや野太いベースが必要なわけじゃない。一般的に言う"ニューエイジっぽさ"や"スピリチャルっぽさ"は普通"重い"と感じられるけど、たぶん俺がラップをルーツに持っていて、違うオーディエンスを連れてくるから、また違う見られ方をすると思うんだ。だから、俺がこの界隈に参入することによって、"明るさ"や"人間らしさ"といったものをもたらしたいんだ。」

blue / Lu1

上海ジャズシーンのボーカリスト、ヴォイジョン・シーをディグっていたときに見つけたルーイー。The Blue Nileの名盤「Hats」を連想させるジャケットがかっこよく、曲を聞いてみたら痺れました。夜中に一人で車を運転しているときに聴きたい。

Owl Song / Ambrose Akinmusire

慈愛と安らぎに満ちた8曲42分。静けさの中に備わる豊かさが織り込まれていて、音楽で聖域のような特別な空間を作り出している。ジョン・フリーゼルと、ハーレン・ライリーというトリオ構成も最高。

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