見出し画像

「日本一」企業の「理念」と「広島発でトップを獲る」ことへの想い

株式会社アイグランは、日本全国で保育サービス事業(企業内・病院内保育施設や認可保育園等の運営)、フィットネス事業などを手掛けている。
従業員数はグループ全体でアルバイト・パート含め5000人を超え、保育サービス事業として日本有数の規模だ。
同社の代表取締役会長、重道泰造氏は「日本一を目指す」ことを公言している。規模で言えばすでに日本一と言っていいレベルにあるアイグランの事業に懸ける想いと、また同社が本社を置く広島から日本一を目指すことの意味について、伺った。


子どもの「やり直しが利かない何年間」を預かる覚悟

画像1

アイグランホールディングス 代表取締役会長兼社長 グループCEO 重道泰造氏
当社は保育園を全国で展開している会社です。保育事業を営んでいるので、やはり私たちの仕事が単に生業として、企業が利益を出すためにやるものではなく、特に私たちは経営理念として、「未来に貢献できる企業でありたい」ということを考えて経営しています。
要は「アイグランが成長・発展することで日本の未来に貢献できる事業」をメインと定め、保育事業を行っています。
その意味では、日本の未来を担う子どもたちの教育に関わる仕事をさせてもらっていて、特にやり直しが絶対利かない何年間かを預かる責任があるので、失敗はできません。
私は特にこういった事業をしているからなおさらかもしれませんが、私たちの会社には人以外何もありません。
人がすべての会社で、形がないものを提供しているので、そういう意味では私自身も経営に対する考え方の中で、やはり想いというものを非常に大事にしています。
私どもの中では、当社の提供するサービスの定義を明確に定めています。それが「正確性」と「相手の立場に立って思いやる心」です。
逆に言うとそこしかないですから、その意味では、この「正確性」とは、言葉を変えると「約束を守る」子どもの命を守る大事な責任、人生を預からせていただくという意味でも、大事な約束をどう果たすかと同時に、相手の立場に立つことを大事にしています。
この、「相手の立場に立つ」の「相手」とは、いろいろな「相手」がいまして、まず1番は日々登園してくださっている子どもさんたちです。
今、毎日1万何千人というお子様を当社の保育園で預けていただいていますので、子どもたちにとっても1日を単に過ごす1日ではなくて、今日も楽しかった、また明日もこの保育園に行きたいと思うような保育園を作りたいです。

画像2

また、もう1つ大事な相手が、本当に仕事と子育ての両立をがんばっているお母さんやお父さんです。
実際に私たちはこういう仕事をしているからこそ、たぶん普通の人よりもっとよくわかっていると思いますが、仕事との両立というのは、言うは易く行うは難しで、実際には子どもは病気になったりいろいろなことがあったりするので、本当に大変だと思います。
なかでも、今私たちが預からせていただいている子どもさんも、親御さんもお1人でがんばってらっしゃる家庭が大変増えています。
そういった方々にとっては、本当に周りに誰も頼れる人がいない状況の人も、もしかしたらいらっしゃるのではないかと思います。
ですから私は、相手の立場に立つ中で、もし自分が保護者だったら、そういう状況にあっても、単にこの保育園が機能として時間から時間、安全に見るだけの場所だけではなくて、そういったお母さん、お父さんにとって、誰か1人ぐらい応援があればやっていける家庭がもしあるとしたら、私たちがお父さんやお母さんの1番の応援団になりたいという想いです。
もし私が保護者だったら、そんな気持ちで接してくれている保育園に預けたいと思いました。


子どもの「心の基地」になりたい

私はいつも自分で会社を経営していながら思いますが、今のこの事業を儲けのためには絶対にしていません。それは私たちの目指すべき理念や理想やビジョンなどを実現することが、日本の未来に貢献できるということを本当に旗頭にしてがんばっているので、絶対儲けのためには私は経営をしていません。
儲けのためには経営をしていませんが、いいことをしているから赤字でも仕方がないといったら会社は潰れてしまいます。
当社は北海道から沖縄まで保育園を展開していますので、4600人ぐらいの社員ががんばってくれています。そういった意味では、社会にとって役に立って、未来に貢献できることも大事なことですが、でも私の中では、明らかに優先順位があります。
そのサービスを提供しているのが当社の社員さんですから、彼女たちが本当に明日も来たいなと思う会社を作ることが、結局は子どもたちにとっての最善の利益につながるのではないかと思います。

画像3

そして、結局、社員さんを幸せにしようと思う気持ちが非常に大事ですが、気持ちだけでは人間は生きていけないので、その意味では、いい仕事をしているから赤字でいいではいけません。
過剰な利益は社員に対して分配すべきだと思いますが、適正な利益は出し続けていかないと、想いだけも続けられません。
「心の基地」というのは、私たちにとっても大事な保育園に対する想いで、やはり子どもたちが毎日長い時間を過ごす場所ですから、そこが、つらくて悲しくて大変なところだと、子どもたちは明日に対して希望を持てないと思います。
ですから、心の基地というのは、ここにいれば絶対に自分は守ってもらえるし、安心して過ごすことができる場所であるという定義になります。
まずは、特に私たちは幼少期の人格を形成するとても大事な部分を担わせていただいていますので、そういった教育の中でも、最後は子どもたちが「私は生まれてきてよかったんだ」「自分は生きる価値がある人間なんだ」ということを、いろいろな教育や関わりを通して学んでいただくと、自分を肯定できると思います。
彼らが将来大人になったときに、日本はもしかしたら少子化が進んでいて、今よりももっと厳しい状況の国になっているかもしれませんが、そういった困難の中でも自分を信じる心をもって、一歩踏み出す勇気を持てる人になってくれるのではないかと思います。


大規模チェーンの安全と、地域の個性を活かした教育の両輪

画像4

また、当社は、全国展開をしているので、さまざまな都道府県で保育園をさせていただいています。まずは命を預かることが大事ですが、当社のように大規模に多拠点で展開していることの安心感が大事だと思うので、安心、安全の徹底ということに関しては、全国一律に高いレベルで提供したいと思います。
ただ、安心安全のレベルが高いことは必要だと思いますが、地域の子どもは地域が育てるということが言えます。
当社では給食を提供している保育園もたくさんありますが、これはコストのことや簡便さだけを考えると、例えば、本社がメニューを構成して、全国に展開している食材業者さんと取引させていただいて、同じものを全部作らせるほうが、多分楽だし、コストも安いです。
ただ、当社では例えばそれぞれの地域で、地元の食材業者さんから仕入れさせていただいて、また、メニューは全園ばらばらです。
というのも、理念に基づいた仕様はありますが、結局その地域の行事食や習わしは、地域に住んでいる人にしかわかりません。だからこそ地域で生まれ育った栄養士が自分たちのことを基にメニューを考案しています。
また地元の旬の食材は、地元からでないと仕入れられません。ですから、やはり私は保育園というのは、子どもが過ごす場と同時に、教育の観点の中では、食育がすごく大事なことだと思います。
なので、大規模なチェーン店の、安心、安全に加えて、それぞれの地域の独自性を活かした個性がある保育園がどうすれば両立できるかということは、多分私にとっても一生の課題だと思います。

画像5

また、当社は保育士が非常に多い職種で、全体の97%ぐらいが女性の社員さんの会社です。小学生の女子の将来なりたい職業ランキングで保育士というのはトップ3に毎年入っています。当社に入ってがんばってくれている保育士の皆さんは、普通の人生を生きていますが、子どものときになりたかった職業に実際になれる人はそういないと思います。
だから、子どもの頃から夢だった職業に就けたというのは素晴らしいことです。
でも、素晴らしいことですが、現実、この業界は離職率が決して低くない業界です。そんな子どもの頃からの想いで叶ったものが、途中で挫折してしまうということは、私どもにとってもまだまだ課題ですが、そういったことも当社の理念にある「相手の立場に立つ」ということの中で、どんな会社だったら、私はここだったらがんばれると思ってもらえるかということをとても大事に考えています。
なので、当社の大事な社員に対するテーマは、「明日も来たい職場にする」です。その言葉のあとに、「明日も来たい職場にするために、私が、何ができるか」を加えて大事にしています。

「日本一」に懸ける、経営者としての想い

画像6

私が目指しているビジョンが、「日本で1番の保育会社になる」です。なぜ日本で1番になりたいのかというと、単にアイグランの名誉や、私の個人的な我欲ではなくて、1番の会社が1番たくさん子どもに関わらせていただくことができる会社だと思うからです。
もしその会社の考え方である「相手の立場に立つ」ということをどこまでやり切れるかということを、本気で子どもに対しても保護者に対しても、あるいは社員に対しても考えている会社が1番になれば、それが最終的に当社の理念である日本の未来に貢献できることにつながると思います。
私たちが関わる子どもたちが、将来の日本を支える人材になるわけですから。
私は、今も全国でがんばってくれている4600人の社員さんの人生を預かっているつもりです。
ですから、この船が正しく航海できるように、そして、そのことが日本から必要とされ続ける会社である唯一の道ですから、雇用を守るという経営者の1番大事な責任を果たすことも常に変革し続けて、革新を続けないと、時代には絶対に取り残されてしまいます。
ですから、保育業界といえば、なんとなくあたたかくて、優しいことがずっと変わらないというものがイメージとしてあると思いますが、もちろん現場での関わりはそうあるべきで、子どもたちにとっての心の基地になりたいという想いがありますが、ただ、それと同時に会社全体ではきちんと時代を見据えた中で、適切な対応をずっと行い続けていかなければ、彼女たちの想いが守れません。

50年後の日本人にありがとうと言われる仕事がしたい

画像7

特に今はコロナ禍においても、当社の社員はほとんどがエッセンシャルワーカーの塊ですから、どんなにコロナが蔓延しようと、人々の生活を支えるために毎日がんばって出勤してくれています。
だから、その人たちの想いを受けて、経営者が馬鹿ではしょうがないので、でも私も限界があり、自分の努力だけでは難しいところがあるので、やはりそういった意味では船井総研さんのようなプロの会社とこうやって組ませていただくことで、強い想いを具現化するための道というのができてくるような気がします。
これから特に今も、コロナ禍において、いろいろな意味で補助金がどうとかで、国も多大な借金を多分されたのだと思います。もちろんこれはコロナに対する対応という意味では必要なことだったと思いますが、ただ借金は借金ですから、いつかは返さないといけません。
私たちが今関わらせていただいている子どもたちが、将来大人になったときにそのことを担わないといけないわけです。
ただ、借金はこれだけ増えていても、今は人口減少が続いていますから、担い手が減っていく中では、普通に考えると大変な世の中が待っていると思います。ですから、このアイグランの社会に対する存在理由、それを「50年後の日本人にありがとうと言われる仕事がしたい」と思っています。
その意味では、まずは少子化を少しでも食い止めるために、私たちがまだまだ未熟ですが、少しでもがんばって、出生率を0.001%でも上げるお手伝いができれば、それはとても国にとっては意味があることだと思っています。
そういった人口の増加に対してがんばると同時に、先程話したように、今私たちが関わらせていただく子どもが、将来困難に立ち向かって一歩踏み出す勇気を持てる人になってもらいたいので、この幼少期の教育ということが極めて大事なことで、駄目になってから復活するのは大変なので、今がやはり日本全体にとっては踏ん張り時だと思います。
ですから、当社のような小さな会社が偉そうに言うことではないですが、私の想いの中では、アイグランの成長発展が日本の未来につながっていると思います。
私も1回きりの人生ですから、その中で縁があってこういう仕事に今携わせていただいているので、残りの私の人生をかけてでも、少しでも1人の日本人として将来の日本のために貢献できればいいなということを、事業活動を通して実現したいと思っています。

広島から日本一を目指す


日本一というのは、先程は規模の部分でという話をしましたが、もう1つあります。やはり私たちは子どもたちにとって、やり直しが利かない何年間かをお預かりする責任がありますから、私は自分の子どもは三番目の保育園に預けたくはありません。ですから、全体でも1番を目指したいですが、それぞれの子どもたちにとって1番の保育園でないといけないわけです。
先程お話ししたように、地域性ということもちゃんと大事に考えながら、いろいろな意味で、例えば東京と地方では一緒でいいものと一緒じゃいけないものもあったりするので、そういうことをがんばりたいと思っています。
また、私は日本のためにという話をしましたが、今日本は、東京の人には大変申し訳ないですけども、何でも東京が中心の時代で地方が駄目みたいな世の中の流れがあります。でも私は地方も含めて日本だと思っています。
当社は実際には離島においても病院の中で保育園等を運営しています。

画像8


ですから、私どもは本社が広島にありますけれども、広島に本社があっても、本気で突き抜けてがんばれば、日本で1番になれるということを、私は一生をかけて世に示したいと思っています。
地方でがんばっていらっしゃる会社さんもたくさんありますから、「自分たちは負け組」と思うのではなくて、本気でがんばれば、絶対に東京の会社にも勝てるということを示せたらいいなと思います。
1番になりたいというのは、逆に言うと、今はまだ1番ではないということです。なので、今1番の会社と同じ努力をしても、絶対に1番にはなれません。だから、もっと子どもに対して気持ちをかけたり、もっと社員を大事にしたりして、凌駕していかないと、1番にはなれないと思います。

ですから、1番になるためには、社員さんにとって決して楽な話ばかりではないと思います。ただ、人生は一度きりで、その中でも仕事というものは大きな部分を占めます。
仕事が単にお給料をもらって生きていくための術だけではなくて、もちろんそれも大事だと思いますが、こうやって私はがんばってきたから、この社会が少しはよくなるようなお手伝いをすることができただろうかというように、自分の人生を肯定できるような生き方を社員さんにしてもらいたいと思っています。
そういうことでみんなには苦労させていると思いますが、最後の暁に1番になったら、私は屋上からの景色を社員さんと一緒に見てみたいです。そのためだったら、私はがんばれると思っています。
少し笑い話になりますが、セコムさんという警備の会社があって、そこがコマーシャルで「セコムしてますか」と言いますよね。私は、「保育をしてますか」ではなくて「アイグランしてますか」と言われる会社になりたいと思っています。
要は唯一無二の存在として子どもたちの絶対にやり直しが利かない関わりをもたしてもらっているので、どこでも同じ保育ではなくて、アイグランだからという存在でありたいです。

『社長online』では、無料お試しを受付中です。ぜひご利用ください。
詳細はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?