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腹を空かせた幼い妹

高校時代の家庭は貧しく、荒廃していた。

数年ほど景気の良かった時期はあったものの、アルコール依存で互いの首を絞め合った両親はあっというまに転落。

ふたりとも定職に就かず、借金に借金を重ね、生活保護を受けていた。

毎月受給した金は借金の返済や酒によって数日で消える。

母親は得体の知れないどこぞのおっさんの家に入り浸って家に帰ってこない。

父親は毎日パジャマ姿で起きている間はずっと酒を飲んで酔っ払っている。
風呂にも入らず髪の毛はぎとぎとに脂ぎっていた。

家は例によって古びた借家で、玄関のガラス戸のガラスは割れたまま1年以上放置されていた。

高校は家から近く、通学路に面していたため友人にも知れていた。

とても恥ずかしかったがガラスを一枚入れる金さえなかった。

高校をすでに卒業していた姉は、ろくでなしの父親によってお気に入りの軽自動車を失い、怒りと絶望を抱えて東京へ旅立った。

実家には私と小学校低学年の弟、年長の妹が残された。

家には食べるものもろくになく、ガスも水道も電気も全て止められるようなことも多かった。

電源の消えた炊飯ジャーに残った冷たいご飯をしゃもじでごりごりとすくっていた幼い妹の姿は今も記憶から消えない。

幼少の頃の経験というのはその後の人格形成に大きな影響を与えるのだと思う。

妹はもう30後半になり、仕事もしてそれなりに対話もできるが、どこか影を感じる時がある。

今はほとんど会うこともないが、申し訳ない気持ちはずっと消えない。

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