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農薬と肥料と野菜の三角関係は成立するのか?

lady's&gentleman、andおとっつぁんおっかさん。
皆様おはようございます。
おこんにちは、おこんばんは。

前回

にて、ファイトケミカルについてお話させていただきました。
人にとっての栄養は虫にとっての毒
ということをざっくりとお話しました。
少量であれば薬、多量であれば毒ということです。

そんな中、現代における野菜はファイトケミカルを差し置いて、
算出できる栄養素のみで判断されています。
それはなぜか。
現代市販されている野菜は、農薬と化学肥料をたっぷり使っているため、
栄養価よりも農薬と化学肥料に汚染されている。

また、
今の野菜は昔の野菜の栄養価よりもかなり低い。
という話が飛び交っています。
これ、農業が分かっていたらある程度納得できる話なんですが、
農家さんの話も事実と違う部分を誇張して話す方々が、一定数存在するからです。

ですので、今回は、
『農薬と肥料と野菜の三角関係は成立するのか?』
というお話です。
世にはびこる農薬不要説、無農薬神話などを歴史を振り返り、
その手の方々を敵に回しながらお話していきます。

なぜ神話は生まれたのか?

農薬は毒!
と言い切る方が、今も昔もたくさんおられます。
1962年にレイチェル・カーソンが『沈黙の春』を発表して環境運動が世界的な関心を集めてからは、農薬の過剰な使用に批判が起こるようになったそうです。
日本でも1974年には有吉佐和子の小説『複合汚染』が発表され、農薬と化学肥料の危険性が訴えられました。
現在では、消費者の自然嗜好や環境配慮や有機野菜消費の増加といったことを受けて、生産者側である農家からも費用のほか、化学農薬の副作用や健康被害への心配から、天敵、細菌、ウイルス、線虫や糸状菌(カビの仲間)等の生物農薬の使用も進められています。
ですが、実際に農薬を使った事故や事件は複数ありますが、
その農薬が使われている野菜の摂取による事故や事件は、
検索しても出てこないのです。
あったら教えてえ〇い人。
※参考までに、農薬による事故の発生状況です。

※農薬だけでなく毒物を使用した事件のWikipediaまとめがありました。

ですので、最初に声高らかに言った方、メディアなどの情報をいまだに鵜呑みにしているといっても過言ではありません。
更に言うと、農薬、化学肥料だけでなく、添加物、甘味料などについても調べていない方々がほとんどというのが実情であると言わざるを得ない状況です。

例えば、穴あきキャベツは虫食いの跡ですが、その跡がなぜ小さく、少数しかないのでしょうか?
そして、市販されているキャベツに虫食い跡がないのか。
ファイトケミカルへの理解が深まれば、農薬や肥料の意味、そしてスーパーマーケットで販売されている野菜農家の方々を救うことにつながるのです。

それを踏まえて、農薬、化学肥料そしてそれに付随するお話について、
軽く掘り下げてお話していきます。

農薬とは

農薬とは、農業の効率化、あるいは農作物の保存に使用される薬剤の総称です。
殺菌剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤(さっそざい)等が入ります。
元々は土壌や種子の消毒と、発芽から結実までの虫害や病気の予防をするものを指していたが、農作物の虫害や植物の成長調整など、
農業の生産性を高めるために使用される薬剤
として広義に解釈されるようになっているようです。
人体に対する影響をもたらす農薬も多くあることから使用できる物質や量は法律等で制限されています。
農薬取締法により、農薬の製造者または輸入者には登録の、販売者には届出の制度が設けられています。
さらに毒物及び劇物取締法により、毒物または劇物に該当する農薬の場合、別途それぞれに製造業、輸入業、農業用品目販売業の登録、帳簿の整備と5年間の保管が、購入には印鑑と身分証明書が必要となります。
収穫後に用いる防かび剤、いわゆる「ポストハーベスト農薬」は、日本では農薬ではなく食品添加物として扱われています。
現在日本で流通している農薬の90%以上は普通物というカテゴリに分類され、毒物や劇物に分類される農薬は年々その割合を低下しています。

化学肥料とは

そもそも肥料とは、植物を生育させるための栄養分として人間が施すものです。
植物の正常な生育のためには、炭素、水素、酸素、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ホウ素、塩素、銅、鉄、マンガン、モリブデン、亜鉛の16元素が必要です。
このうち炭素・水素・酸素は、自然界の大気や水から吸収できるので、人為的に外部から供給する必要はありません。
それ以外の元素も、自然界では土壌から根を通して吸収されますが、特に野菜などの作物を栽培する場合では窒素・リン・カリウムは不足しやすいため、肥料として供給する必要があります。
窒素は「葉肥」、リンは「実肥」、カリウムは「根肥」とも言われています。
そのほか、わりあい多く必要とするカルシウム、マグネシウム、硫黄を「二次要素」または「中量要素」といい、少しあればよいものを「微量要素」と呼んでいます。
中量要素や微量要素は、堆肥などの有機物を土壌に十分入れておけば不足することはないが、化学肥料に頼りすぎると不足してきて、植物にさまざまな障害が現れてくるようです。
また、植物の生存に必須ではないですが、ナトリウム、ケイ素、セレン、コバルト、アルミニウム、バナジウムは、しばしば特定の植物種にとって成長を助ける有用元素となっています。
日本の肥料の品質の確保等に関する法律第2条第1項にて
『植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため、土壌に化学的変化をもたらすことを目的として、土地に施される物、及び植物の栄養に供することを目的として、植物に施される物をいう』
と定義されています。
ですので、土壌に施されるものだけではなく、葉面散布の形で施されるものも肥料と呼びます。
土壌から栄養を吸って生育した植物を持ち去って利用する農業は、植物の生育に伴い土壌から減少する窒素やリンなどを補給しなければ持続困難です。
そこで、減少分を補給するために用いるのが肥料であり、特に窒素・リン酸・カリウムは肥料の三要素と呼ばれています。
化学肥料は複数の単肥に化学的操作を加え、肥料の3要素のうち2種類以上、15%以上の量を含むようにしたものです。
化成肥料で肥料の3要素の合計が30%以上のものを高度化成といい、それ以外を普通化成といいます。
化成肥料の成分は「窒素-リン酸-カリ」と表記され、例えば「8-8-8」という表記であれば、窒素・リン酸・カリが各8%の普通化成とわかるようになっています。
肥料は、許可された者・登録された物(肥料)しか販売してはならないのです。
過去には肥料の品質の確保等に関する法律(旧肥料取締法)に違反し、逮捕者・書類送検者まで出ています。
活力剤、活性剤、栄養剤などと呼ばれる製品は、微量の肥料成分を含むことがありますが、法律上の基準を満たさず肥料としては扱われません。
これは栽培の補助に用いられる製品であり、肥料の代替とはならないからです。

農薬なき野菜の安全性と品質

農薬については前述のとおりです。
であれば、『完全無農薬』の野菜とはどういうものか?
穴あき葉野菜、虫食い果実などですが、なぜか食い尽くされていないのはなぜか?
これこそが野菜が独自で持つ農薬類似の化学物質、
『ファイトケミカル』
です。
冒頭にも言いました。
人にとっての栄養は虫にとっての毒
というものです。
ただ、ファイトケミカルは過剰摂取すると毒である、とお話した通り。
野菜の取りすぎは良くないです。
例えば、
・ズッキーニの「ククルビタシン
・いんげん豆の「フィトヘマグルチニン
・トマトのの「トマチン
・銀杏の「ギンコトキシン
・モロヘイヤの「ストロファンチジン
・青梅の「アミグダリン
・アロエの「バルバロイン
・キャベツの「ゴイトリン
ましてや『完全無農薬』となると、カビ毒を抑制することはほぼ不可能とも言えます。
そして、完全無農薬野菜を食べると言う事は…
一応、農林水産省のHPを添付しておきますね♪

ちなみに『無農薬』の表記の基準ですが、「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」の表示は表示禁止事項とされ、これらの語は使用できないこととなっています。
なお、農薬を使用していない農産物には「農薬:栽培期間中不使用」と、節減対象農薬を使用していない農産物には「節減対象農薬:栽培期間中不使用」と表示し、節減対象農薬を節減した農産物には「節減対象農薬:当地比○割減」又は「節減対象農薬:○ ○地域比○割減」と節減割合を表示しなければなりません。
一括表示欄において上記の内容が確実に表示されている場合には、一括表示欄の枠外において、これらガイドラインにおいて示されている表示を強調するほか、「農薬未使用」、「農薬無散布」「農薬を使ってません」「農薬節減」「農薬節約栽培」といった消費者に誤解を与えず、特別な栽培方法を正確に消費者に伝えることができる内容の表示を行うこともできます。

https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_qa.pdf

ということで。
『農薬を一切使っていない野菜』
は、少なくとも日本国内では流通してはいけないことになっています。

ですので、農薬なき野菜の安全性と品質についての結論は、
もうお分かりですね?

肥料なき野菜の安全性と品質

では、
『肥料を使わず、農薬だけ使って野菜は栽培できるのか?』
という疑問について。
先述した通り、肥料は農地に栄養を与えるものです。
それは、化学肥料であろうが有機肥料であろうが同じです。
なぜ農地に栄養が必要になるのかはご存じの通り。

え?
考えたことない?
ちなみに、植物は育てたことはありますか?

ものすごく簡単に言うと、植物は土地の栄養を吸い取って育ちます。
その土地に栄養がある限り、吸い取ります。
で、その栄養というのが、微生物の排泄物や腐敗した葉っぱなどが土に還ることで生まれます。
ここまではいいですか?
では、田んぼを見てみましょう。
おそらく、今は稲を植えられていますね?
それが秋になって、収穫され、お米となるのです。
で、その後の田んぼはどうなってますか?
おそらく稲作農家であれば、枯れた稲を田んぼに敷き詰めていませんか?

少なくとも、私の実家の近くの田んぼでは、枯れた稲を田んぼに敷き詰め、
それを燃やし、有機肥料としていました。
そして季節が変わると、そこにさらに肥料をまいて耕し、水を引き、
新たに稲を植えています。

さて。なぜ稲を燃やす必要があるのか?
稲に限らず収穫された野菜以外の不要なものや、出荷できなかった野菜などを燃やしたり、腐敗させて土に戻すのか?
それは、栽培したものが、その土地の栄養を奪って育っているからです。
そして、様々な方法をとって、栽培したものの残骸を肥料として土に戻し、新たに栽培するのです。
これを有機肥料といいます。

ですがここで使われる有機肥料だけでは、作物が毎年同じ生産量を保てるとは限りません。
ですので、化学肥料を追加して生産量を担保するというのが、現在多く行われている農業です。

それでは、肥料が無い野菜の安全性と品質を考えてみましょう。
これは、
『栄養が枯れた土地で栽培されている野菜の栄養価』
を考えればわかります。
様々な研究機関で今なお研究されているようですが、
結論から言うと、 栄養価のない土壌で栽培された野菜は、通常の土壌で栽培されたものと比べて栄養価が低くなる可能性が高いです。
しかし、栽培方法や野菜の種類によって差が大きく、一概には言えません。
土壌の栄養素不足が特に影響を受けやすいのは、以下の栄養素です。
ミネラル: カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など
ビタミン: ビタミンB群、ビタミンCなど
これらの栄養素は、植物の成長や生理機能に不可欠です。土壌中に不足していると、植物は十分に吸収できず、栄養価が低下してしまいます。
一方、以下のような栄養素は、土壌の影響を受けにくい傾向があります。
食物繊維: セルロース、リグニンなど
フィトケミカル: ポリフェノール、カロテノイドなど
これらの栄養素は、植物自身が作り出すものであり、土壌の栄養状態に左右されにくいと考えられています。
つまり、
『ビタミン・ミネラルが無くて、食物繊維とファイトケミカルが豊富な野菜』
となるようです。
ファイトケミカルが豊富…
どういうことか、よく考えてみましょう…

農薬と肥料が無い野菜はあるのか?

ということで、農薬と肥料についてお話しました。
それぞれが無い場合の話もしました。
では、両方が無い場合はどういうことか?
両方を完全になくした場合、
『中途半端な虫食いがあり、ファイトケミカルが豊富な野菜』
がまず産まれ、次第に
『虫食いがなく算出できる栄養価もなく、ファイトケミカルが豊富な野菜』
に成り代わることが想像できます。
もちろん、それ以外のものがあるかと思います。
想像力が乏しい悲観主義の行きつく先はこれであるという一例です。
とはいえ、安心してください。
日本ではまず食べる事は出来ないでしょう。
何もない荒野で栽培された野菜なんて、日本で販売されるのでしょうか?
そもそも販売できないと法律で決まっています。
スーパーに並ぶことはまずありえません。
もしどうしても食べたい!という方には、ぜひ海外で食べていただくか、
ご自身で栽培して、ご自身で消費して、安全性を体現してみてください。

まとめ

というわけで。
『農薬、肥料などを使っていないほうが健康になれる!』
という方々。
そういった方々は、生産者の前で同じことを言えますか?
食べれるものでなかった植物を、どうにかこうにか食卓へ届けるように努力されている方々の生き方を否定するなんて、私は出来ません。

毒劇物を使わず、天然毒を必要最低限に抑えるように、
日々汗水を流して、食べさせていただけているのが現在日本の食卓です。

とある本にはこうありました。
『自然の恵みなどという言葉がありますが、他者のために存在している命など この世界にひとつだってありません。
ですから私達は感謝を込めて『いただきます』と言うのです。』
『いただきます』は本来は、飲食物を与えてくれる人、または神に対しての感謝の念を込めた言葉です。
食への関心が無いと言う事は、生産者への関心が無いことの現れです。
貴方が食べている野菜に感謝が出来ないからこそ、
現代市販されている野菜は、農薬と化学肥料をたっぷり使っているため、
栄養価よりも農薬と化学肥料に汚染されている。

また、
今の野菜は昔の野菜の栄養価よりもかなり低い。
と言えるのです。
なんという無責任でしょうか。
現代において、皆様が安心して野菜を食べることができるのは、農薬と肥料、そしてそれらを扱う生産者の皆様のおかげなのです。
この三角関係が成り立たない限り、食材は食卓に並ぶことはありません。

最後に、某地上最強の生物のお言葉をお借りします。
『防腐剤…着色料…保存料… 様々な化学物質 身体によかろうハズもない。
しかし、だからとて健康にいいものだけを採る。
これも健全とは言い難い。
毒も喰らう 栄養も喰らう。
両方を共に美味いと感じ血肉に変える度量こそが食には肝要だ。』

結局、食べる人が何を思って食べるのかが問題なのです。
食への感謝が無い人が、食に関して贅沢言っているのが現状ですから。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
また次回、お逢いしましょう。
See you next.

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