#213 首都圏の地下にパルテノン神殿?

埼玉県春日部市には、「地下神殿」とよばれる巨大な地下空間がある。
その正体は「首都圏外郭放水路」という世界最大級の地下放水路である。

施設は中小河川が集まる春日部市周辺やその下流域での洪水を防ぐためにつくられた。
中小河川の水位が上がると、一時的に河川の水が立坑や調れ節水槽にたくわえられ、大雨との時間差を置いて比較的流量に余裕のある江戸川へ放水するという仕組みだ。複数の河川をつなぐ放水路の全長はおよそ6.3kmにも及んでいる。

記憶に新しいところでは、2019年の台風19号の際にフル稼働し、河川の氾濫を防いでいた。稼働が開始した2002年から現在まで、年平均7回ほど稼働しており、1000億円以上の洪水被害額を軽減したという試算もある。ちなみに建設費用はおよそ2300億円のため、費用の回収も時間の問題である。

「地下神殿」と呼ばれているのは、地下空間での水の勢いを弱めてスムーズな流れを確保する「調圧水槽」で、全長177m、幅78m、高さ18mもの巨大空間である。巨大なコンクリートの柱が立ち並ぶ荘厳な様子はパルテノン神殿さながらで、映画などの撮影場所としても人気だった。
現在は見学ツアーが人気で、バラエティや情報番組などでも頻繁に取り上げられる。

【目次】

【参考】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?