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当事者ではない余裕があるから、活動できるし、客観的に考えられる

社会教育士の堀田奈津子です。今日は、社会教育主事講習で学んだ知識からとあるデータについて思ったことを書いていきます。
昨日は高齢者の地域活動・社会貢献するための参加条件に触れましたが、今日は収入と地域活動の参加意欲の関係についてまとめます。さらに、問題の当事者ではない余裕があるからこそ、活動範囲が広がったり客観的・俯瞰的に物事を考えられるのではないか、という考察まで。
自身自身、そして周りの人を思い浮かべながら思考を深めてみると面白いかもしれません。

収入が多いと地域活動・ボランティア活動の参加意欲が高い

皆さんの周りを見渡してみた時に、地域活動・ボランティア活動の参加意欲が高い人はどの程度いますか?
会社員として雇われて働いていると、自分と同じ組織にいる人は属性が同じ、収入も同じ様な人たちになります。そのため基本的には、その組織の中だけでみるとこの検証はできないかもしれません。

では違う組織で働いている人を思い浮かべてみたら、どうでしょう?
講義内で参照したデータから答えを先に言ってしまうと、ボランティアへ
の参加意欲調査は、下記の様になりました。
(社会教育主事講習 講義内容より調査資料一部抜粋)

  • 月収10万円未満:ボランティア参加意欲 男性29.4%・女性35.8%

  • 月収40万円以上:ボランティア参加意欲 男性67%・女性60%

月収の差は、人々の心の余裕に直結します。日々の生活費に余裕がなければ、他人を思いやるより自分のことで精いっぱいになってしまうことは致し方ないため、この様な結果となっているのでしょう。

余裕がある=当事者として問題の渦中にいない

また、金銭面からの心の余裕だけではなく、渦中の当事者であるかどうかの心の余裕もボランティア参加意欲に関連するのではないかと推察します。

例えば、産後すぐの状態でワンオペ育児がずっと続いており、子どものことで手一杯。自分のことですら、最低限で手が回らない状態だった時。
私なら、誰かのために何かしたい!という気持ちよりも、まずは目の前の子ども(二番目に自分・・最後に夫?)。こうなるのは自然です。

はいはいしだしたら、もう目が離せない・・

心の余裕がある状態というのは、その問題の渦中を過ぎ、客観的・俯瞰的に物事と対峙できた時だと思います。
先程のワンオペ育児の例をみても、目の前で発生している時には自分の周り、半径1mくらいしか鮮明にみえていなかったことも、1歳を過ぎた頃からようやく周りに目を向けられるようになった経験、ありますよね。

結局、人がボランティア活動に参加したり、社会貢献のために何かやろうと思うのは、問題の渦中ではなく、そこから一定期間過ぎた時だと思うのです。

ちなみに、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という様に、あまりに遠い出来事になり過ぎると記憶から飛んでしまい、当事者意識が薄れたり。時代背景が古くなり過ぎて、現実離れしていたりという新たな弊害が生まれます。

当事者では限界を感じる場面がある

さて、これらのことからもう少し考えを深めてみると、当事者でいる限り、金銭面・精神面の余裕のなさから、活動範囲に限界が生じるのではないかと考えます。

最近出会った社会教育士の方との会話の中でのお話です。
その方は高齢者介護福祉施設で、施設利用者および施設利用者のご家族に向けた研修や居場所づくりを行いたい、社会教育的な観点から関わりを持とうとして、まずはその施設で勤務することを選択しました。
その結果、何が起きたかというと、現場では目の前で発生する介護業務が中心となってしまい、本来行いたかった社会教育面で利用者を支える企画立案がほぼ出来なかった、というのです。

これはまさに当事者となってしまったために、様々な縛りが生まれ心の余裕(時間の余裕も含む)がなくなり、活動出来なかった事例の1つです。
高齢者介護福祉施設を起点として、集まった人と人を繋げあい、安心で安全な居場所をつくるためには、1つの固定された施設だけではなく、もっと数多くの場所で同じような居場所を作っていく必要があります。

この方は、次年度から実際に、色々な施設で活動していくために、自ら社会教育士としての雇用形態を変えてもらう様に勤務先に直談判し、受け入れてもらったと言っていました。こういったことを参考にしていくと、社会教育士がどういった活動をして、どういう雇用形態であれば活動の幅を狭めることなく、人と人を繋げていけるかのヒントになるでしょう。

おわりに

前半は、年収と地域活動・ボランティア参加意欲の関係をまとめました。
後半は、当事者であることと社会活動参加意欲の関係について、最近出会った方の働き方を参考に私の意見をまとめました。

人と人を繋げていく、人と地域を繋げ、ちいさな社会をつくっていく。
そんな社会教育士には、深さよりも幅の広さが大切なのだとすると、どういう活動をどこで行っていくか、よく考えていかなければならないと改めて思います。
皆さんの意見があれば、また教えて欲しいです。

では、また次回。

昨日の投稿はこちら。

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