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【第8回】 #北海道のヤバい大人 たち、けものみちをひたはしる :前編(北海道情報大学 メディアデザイン特別講義編)

シャケびたりラジオの二人が大学の講義でしゃべりました

2019年6月8日、北海道情報大学 メディアデザイン特別講義「新しい世代の新しいはたらきかた」に、我がシャケびたりラジオにも出てもらったさのかずや氏が登壇しました。なんと講義は90分×2コマ。

株式会社大人の五十嵐さん魚食系男子projectの川口さんCity Your Cityのk-overさんという豪華ゲストのなかにタニ&おかぴも潜り込み、ゲストスピーカーとして登壇しました。

そして、なんとシャケびたりラジオを公開収録!メディア論やバイブス論をぶちまけたのですが、肝心の録音データが聞いたことのないノイズにまみれており(たぶんあの大講堂には凶悪な幽霊がいます。気をつけてください)、とてもアップできるものではなかったので、書き起こして対談記事としてアップすることにしました。

当日の反応や、講義の様子はハッシュタグ #北海道のヤバい大人 にて投稿しているので、ご興味ありましたらご覧ください。では、10,000字を超える対談記事の前編をどうぞ!!!!!!!!!

「1PVに重みがある」「関係値が育つ」。小さなメディアでも自分で発信をすることの意味

🔴タニショーゴ(以下、タニ):音声メディアをやるのとブログでバズるのってちょっと違うと思うんですよ。さのさんは、大学生のときにかいたブログがバズって、そこからいろんな仕事が来たわけだよね。でも、シャケびたりラジオは6回更新して600PVくらい。アクセス数は少ないんだけど、それでもやる価値は大きいって感じるんだよ。例えば、ラジオをはじめてから、知らない人に「タニさんですよね」って話しかけられることが何回かあって。

🔷佐野 和哉(以下、さの):おお。じゃあ、その人たちはその600PVのなかにいるってことですね。

🔴タニ:そうそう。ラジオって、ブログと違って肉声が届くんですよね。だから、初めて会ったときにはもう距離感が縮まっている。そういう意味では、文字メディアよりも1PVが重いんですよ。だから、ブログでの600PVと音声メディアでの600PVはけっこう違いがあるなと考えてます。

🔷さの:たしかにお役立ちブログみたいなものよりは、ちゃんと関わってくれている、聞いてくれるという感じはありますよね。

🔴タニ:Webラジオって、めちゃめちゃ聞くの疲れるじゃないですか。素人喋りの素人編集を10分も20分も聞くのって、すごい労力ですよ。それを乗り越えて聞いてくれる人って、もうすでにフィルタリングができていて、こちら側に寄ってきてくれているんですよね。

🔶岡山ひろみ(以下、おかぴ):自分の周りだと、「Webラジオやってるんです」っていうと、食いついてくれるんですよね。あんまり周りにラジオやってる人がいないっていうのもあると思うんだけど。あれを聞いた人から、私めちゃめちゃテンションが高い人だと思われているんだよ。1話と2話、めちゃ呂律回っていないから、ずっとしゃべってるんだもん。酔っ払って。

🔴タニ:地獄のラジオですね!ぜひ、それだけでも聴いてほしい。

石狩市北部・雄冬岬ではしゃぐタニ&おかぴ(撮影:はらちゃん - NPO法人えんべつ地域おこし協力隊

🔴タニ:さのさんはWebメディア「オホーツク島」を運営しているけど、やっててよかったことはありますか?

🔷さの:最初にオホーツク島をはじめたときは、オホーツクで面白い取り組みをしている人を記事にして、ネットを通して誰かにみてもらって、そこから新しいアクションに繋がることを狙っていたんです。でも、どちらかというと自分自身がオホーツクの面白い人たちと取材を通して仲良くなることのほうが意義がありましたね。

🔴タニ:ああー!なるほど。

🔷さの:それだけじゃなくて、オホーツク島で取材された人たちが、ぼくの知らないところで自然につながったりするんですよ。「オホーツク島で記事になってましたよね」みたいに。オホーツクがテーマなので活動範囲がかぶっているということもありますしね。初期はそういうふうに、オホーツクで行動している人たちのネットワークができていくのが大きかったですね。

🔴タニ:最初の狙いとはちがったメリットがあったって感じかな。

🔷さの:そうですね。実際、オホーツク島を見てなにか行動を起こしたっていう人は多くないかもしれないです。みんな、読んでくれているみたいなんですけどね。でも、深いところでコミュニケーションネットワークができた。メディアの運営者として感じたのはそういうところかな。

🔴タニ:それも結局、数字には出ないところだよね。一つ記事を出すことに重みがある、という感じの。Webメディアとかオウンドメディアをつくる流れができてきたのって2010年ぐらいかな。そういうの、北海道情報大学の学生でもやってる人いるのかな?

🔷さの:最近だとYoutuberとかなんじゃないですかね?

🔴タニ:そっか。これからWebメディア始める人に、アドバイスとかありますか?

🔷さの:今はぼくらのときと環境が変わっているじゃないですか。例えばぼくはYoutuberになろうとは思わないし。でも、メディアの役割は、さっき話にあがったネットラジオのものとかが一番近いと思いますけどね。

🔴タニ:関係値を築くためにやる、みたいな。

🔷さの:あとは、仲間を増やすとかですかね。Youtuberがやっていることに視聴者が共感して行動する、みたいなことがあるかもしれない。ラジオでも同じかも知れないですけど。

発信活動は「やっていく」しかない。でも、続けていけば何かは見えてくる

🔴タニ:でも「ネットラジオこれからやります!」という学生に対して俺は何を言ったらいいんだろう、マジでわからん(笑)

🔷さの:ネットラジオに限らず、なにか発信活動をやってます、興味あります、という方にはどうですか?

🔴タニ:あ、Youtuberの話が出たけど、今はけっこう簡単に音声変換とかできるんですよ。男性が女声を出したりとか。

🔶おかぴ:え!そうなの!

 🔴タニ:Mediumbuddhaという名前で音楽をやってるんだけど、そのYoutubeチャンネルで女声でトークしてるんです。Mediumbuccoちゃん。コツは、機材の音質変化に頼りすぎないで、喉仏を動かさないようにしゃべること。そうすると、ボイスチェンジャーで加工しやすい声になるんです。

🔶おかぴ:喉仏を使わないってできるの?

🔴タニ:ある音域で喋るの。自分の場合は高いミ(E4)くらいの音で、まあ何言ってるかわかんないと思うんだけど…。これ、喋ってるの俺なんですよ。

🔴タニ:10代の頃からこんなことばっかりやっていたんですよ。バンドとかレコーディングを中学の頃からずっとやってて、そのころから変なものを作っては世に出していた。それ自体は大してウケないんだけど、わけわかんないことに本気を出した結果、いまそのスキルが仕事をしたり、仕事を引っ張ってくるのに役立ってるんですよ。今やってるWebラジオも、それなりに手応えはあるし。だから、いま発信活動をやってる学生の方に伝えたいのは、「何かやってれば何かにはなる」ということですね!

増毛・国稀酒造の小上がりではしゃぐタニ&おかぴ(撮影:はらちゃん - NPO法人えんべつ地域おこし協力隊

🔶おかぴ:発信でいえば、Webラジオって一つの手段でしかないんですよね。私が発信活動を始めた理由は、「北海道への移住者を増やして、自分の住む場所をもっと面白くしたい」からだったんです。それで文章を書いて記事化して、Webメディアを立ち上げようと思ったんですが、それはもう色んな人がやっているし、別のやり方のほうが届く層が絶対にいるって考えたんですよね。敢えて私が文字メディアをやる意味はないかなって考えて、じゃあWebラジオをやろうと。それでタニくんに声をかけたら、実は彼がレコーディングとかできる人で、ラジオも大好きで、機材とかも持ってて、あれよあれよとこういう形になった(笑)。

🔴タニ:俺、伊集院光の「深夜の馬鹿力」とか朝のラジオとか、有名メディアのWebラジオ、個人ブログの素人の一人喋りまで、暇があればなんでもチェックしてるもん。Webラジオやってみて、おかぴの周りの反響はどうだった?

🔶おかぴ:東京の友達がすごい聞いてくれてるんだよね!「すっごい酔っ払ってたね」って感想ばっかりだったけど(笑)。でも、「北海道ってすごくいいところなんだよ」とか、「地方都市の未来って、そこに住む若者ってどうしたらいいんだろう」とか、まともな話もしてるんです。それがいろんなところに広がっていって、どこかで誰かにつながって、何か新しいことが始まる兆しが見えてきた感じがあります。もう少しやっていけば、続けていけば、形になるんだろうね。

🔴タニ:Webメディアの話でいうと、北海道って観光寄りのWebメディアが多いんですよね。北海道独自のカルチャーを伝えるもので、頭一つ飛び抜けているもの、みんなが読んでるものがない。自分がそういうメディアをつくるぞ!っていうことではないんだけど、そういう状況だからこそ、わかりやすい観光メディアじゃない、オルタナティブなコンテンツを作り続けたいんだよね。

🔷さの:PVだけ追いかけていくと、誰もが検索してアクセスするものって観光に寄りがちですよね。

🔴タニ:北海道のステレオタイプができあがってるもんね。景色だ、飯だ、雪だ、クマだって。

🔷さの:そういうものより、もっとエッジの効いたものを作りたいと。

🔴タニ:だって、そんなスタンプラリーみたいな札幌観光なんて、もういいじゃん!って思うのよ。俺の東京の友達が札幌に遊びに来ても、「ジンギスカン食った、寿司食った、味噌バターコーンラーメン食った、すすきので女遊びした。じゃあ帰るわ!」みたいなのばっかなんですよ。「えー、そう?俺の遊んでる札幌ってもっと面白いんだけどな。」っていっつも思ってる。ジンギスカンとか味噌バターコーンラーメンなんか東京でも食べられるんだから、それよりプレシャスホール(クラブ)とか麦酒停(ビアバー)みたいな老舗とか、今年できた大人座(コワーキングスペース / バー)みたいな、いままさに起こっているムーブメントを感じて帰ってほしいんですよね。

🔷さの:北海道のステレオタイプでいえば、ぼくも東京の広告代理店にいた頃、北海道の右上(遠軽)出身ですって言うと、「そのへん、人間いるの?」とか「アイヌの人ばっかりでしょ」なんて返されましたね。そんなわけないんですけど、「遠軽、めっちゃいいところなんで、ぜひ遊びに来てください!」とも言い切れない。だから、自分で地方になにか面白いものを見出して、それを発信していきたいんですよ

石狩市北部・白銀の滝ではしゃぐタニ&おかぴ(撮影:はらちゃん - NPO法人えんべつ地域おこし協力隊

🔴タニ:・・・マジでさ、こういう発信とかに関しては「やっていこう」としか言えないよね(笑)。近道とかハックはなくて、ひたすら地道にやるしかない。

🔷さの:今日講義を聞きに来てくれている皆さんのなかにも、自分で発信している人とかいるんですかね?「知り合いがやっている」とか、「今後やっていこうと思っている」とか。Twitterでなにか活動するのも発信だし、みんな何かしらはやってるんですかね。そういうのをやっているという方がいたら、ぼくらから話を聞いてみたいですね。講義の後ででも!

後編に続く!

めちゃくそ長くなったので、ここらで切ります。後編に続く!


いただいたサポートは収録場所のレンタル代、道北・道東・道南への出張費、機材費として使います。だから…その…サポートを…ネ…?少額から受けつけてますんで…へへ…。おねがいします!!!!