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空飛ぶ馬~読書記録419~

空飛ぶ馬 北村薫


「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに、貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り、これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて幸福な結婚をして生まれ出た作品である。異才・北村薫のデビュー作。

北村薫 (キタムラカオル)
1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』が第44回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を、2006年『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件』が第6回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を、09年『鷺と雪』が第141回直木賞を受賞。16年に第19回日本ミステリー文学大賞を受賞。主な著書に『秋の花』『六の宮の姫君』『朝霧』『太宰治の辞書』『スキップ』『ターン』『リセット』『街の灯』『玻璃の天』『覆面作家は二人いる』『冬のオペラ』『盤上の敵』『語り女たち』『ひとがた流し』『いとま申して 『童話』の人びと』『謎物語 あるいは物語の謎』『ミステリは万華鏡』『詩歌の待ち伏せ』『北村薫のうた合わせ百人一首』『読まずにはいられない 北村薫のエッセイ』がある。


なんとも不思議な物語。そんな気がした。ミステリーというと、殺人事件があり、警察が出てきて、密室の謎だの、そんなイメージがあるのだが、この本は一切そういったものは出て来ない。
落語家の円紫さんの抜群の推理力で日常の謎を解き明かす。そんな話になっている。
もう知られているから書くが、この本が発行された時には、北村薫氏は性別を明らかにしていなかった。その為、その前提で読むと、確かに若い女性がエッセイ風に書いているのだろうと思ってしまう。
ミステリーというよりも、文学を深く知る人が理解できる世界かもしれない。



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