近況報告

前回の更新から一年近く経過した。その間にわたしは卒論を書き、進学をし、神学をし(これは半分嘘で、本当は宗教学だ)、短歌連作について勉強をし、いくつかの仮説を立て、短歌はあまり詠まなかった。

Twitter社に自らがロボットでないことを証明できずアカウントが凍結されてしまった、残念。

短歌における連作形式のおもしろさ(と最近のわたしが考えるもの)は神話のそれに似ていると思う。神話は口承によって伝達され、同じ一つの神話にもヴァリエーションがあるが、それらはある一定の構造を持つのではないかとレヴィ=ストロースは主張した。短歌連作においては、その構造は体系的に論じられることがほとんどないのにも関わらず、あるいは口伝で、あるいは既存の連作を真似て、あるいは漠然とした共通理解の下で? 短歌連作の構造とでも言うべきものが存在しているように見える(断っておくと、わたしはレヴィ=ストロースについていくつかの概説書と著作、あるいは大学学部レベルの講義による知識しか持ち合わせていない)。

短歌って本当におもしろいですか? と思う。しばらく考えて、うーん、でもおもしろい短歌はある、とも思う。

とはいえ、短歌連作について個々人の作法以上のものを扱っている書籍もいくつかあり、わたしが知るなかでは岡井隆『現代短歌入門』、鈴木ちはね・三上春海他『うに』、瀬戸夏子『現実のクリストファー・ロビン』などがそれに当たる。これらを介してようやく、わたし自身の短歌連作についての考えが固まってきた。

初谷むいの歌集評はあまりにエッセイなので出さないままになりそうです。期待していた方がもしいらっしゃいましたら申し訳ありません。

現時点での見通しだと、「ディティール・プロフィール・テーマ」の三要素から論じることで「実感」、「才能」、「美意識」のような言葉を極力排した構造分析ができ、「場」や「私性」についてもある程度の説明ができるのではないかと考えている。今後知見が広がり、それに伴って仮説を修正する可能性は十分ありうる。

「短歌往来」がkindle unlimitedで読めることがわかり喜んでいる。「ねむらない樹」も読めたはずなので気になる特集や作者だけを読むタイプのわたしのようなライトユーザーは要チェックですね(周知の事実?)。kindle unlimitedに入らずとも、この特集や記事だけ参照しておきたい、という場合にkindle版の冊子がすぐに買えるととても便利。総合誌の古い号とかも電子書籍になってくれないかな。あと総合誌や同人誌の目次だけまとまっていて歌人名などでキーワード検索できるようなサイトもほしいな。わたしの持っている範囲でその内作ることにします。

理論や歴史を中心とした勉強会を定期的に行うようなコミュニティに所属したいというゆるい願望がある。しばらくはほくたん、その内に結社?

人々の思考様式をある程度トレースして、その上で自らの振る舞いを考えるというのが好きで、それは短歌におけるスタンスにも通じてくると思うのだけれど、その点で就職活動もまたおもしろいゲームなのではという印象がある。多くの人が注力しているのでやり込み要素もおそらく多い。そちらにばかりかまけてしまいそうだと思う。

最近は薄紫色のペディキュアをよく塗っていて、でも誰にも見せないという楽しみかたを覚えました。

私性の問題を意識して今回は短歌じゃない話を多めに書くことにしています。わたしの「顔」が見えている記事になっているでしょうか?

ただ人間は嘘をつくことができます。演技をすることも。すごいですね。この記事もわたしが普段思っていること、あるいは思ってもいないことが書かれていることでしょう。

次回の記事では瀬戸夏子『現実のクリストファー・ロビン』をわたしはこう読んだ、あるいは読めなかった、ということを書きたいと思っています。この段落で書いていることに関してはたぶん本当です。今のところは。書きたいな。本当だってば。

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