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ONARA RECORD #5「Flavor Of Life/宇多田ヒカル」

今回ご紹介するオナラレコードは「Flavor Of Life/宇多田ヒカル」です。

宇多田ヒカルはデビュー当時からオリコン1位に輝くなど、歌姫として輝かしい経歴を持っています。
また「1/fの揺らぎ」という、美空ひばりと宇多田ヒカルしか日本人の歌手では出せない音域があるとも言われており歌唱力も抜群ですね。

宇多田ヒカルの中でも有名な曲の1つに「Flavor Of Life」という曲があります。ドラマ「花より団子」でも起用され、日本に知らない人はまずいないのではないでしょうか。

▼PV

▼歌詞


さて、まずはこの曲を簡単に3行でまとめてみたいと思います。

まだ恋人ではない、じれったい関係。
一歩が踏み出せないまま、君との距離は平行線上。
「ありがとう」と言われると、縮まらない距離が切なく感じられるね。

なんとも切なく、ほろ苦い歌詞です。
誰しもが青春の日々で感じる切ない体験を「人生の味(Flavor Of Life)」として美しく表現しています。

そして、これは「オナラレコード」です。
一体どんな屁理屈を歌っているのでしょうか。

それは、売れないまま続けてしまうお笑い芸人の屁理屈を歌ったオナラレコードです。
そもそも恋でも無いことに驚きかもしれませんが、実はかなりしっくりくるオナラレコードなのです。

まずは芸人の様子を思い浮かべてみましょう。

・芸歴15年、37歳で独身の男
・彼女は3年付き合った彼女がいるが、結婚する気は無し
・相方は高校時代からの同級生で、自分のネタに意見もしない従順な男
・親が年金を工面した仕送りを送ってくれることに罪悪感を感じている
・しかし、15年かけたことを捨てられず、未だに芸人を続けている

いかがでしょう。なかなか残念な仕上がりですね。特に仕送りのあたり。
しかもこういった人は五万といるそうです。

さて、そんな無残な主婦の気持ちを「Flavor Of Life」が代弁しているのでしょうか?
実際に歌詞を見ていきましょう。

Let’s ONARA RECORD!!


友達でも恋人でもない中間地点で
収穫の日を夢見てる 青いフルーツ

これは今の自分たちを美化し、肯定的に捉えている模様です。

友達の「友情」といった域を超えて、人生を共にしている相方と15年間やってきた。
「面白い芸人は、いつか必ず売れる」とそう先輩からは言われ続けた。そしてその言葉はまだ希望の光になっている。

まだ腐ってない。旬でも無い。
俺たちはまだ実が熟していないだけの「青いフルーツ」なんだ。と。


あと一歩が踏み出せないせいで
じれったいのなんのってbaby

これはたまにあるTVや営業である『ひな壇』での立ち振る舞いについてでしょう。

失敗するかもしれない。大すべりして評価が下がって仕事も無くなってしまうかもしれない。
そんな恐怖の中、いつもひな壇では全員で一緒に転げたり、大げさに笑って見せるだけ。

一歩が踏み出せないせいで、箸にも棒にも引っかかっていないことは重々承知なんだ。
じれったいのなんのって…。と。


(中略)
甘いだけの誘い文句
味っけの無いトーク
そんなものには興味をそそられない

これは芸人を辞めるという選択肢に対する断固たる否定の想いでしょう。

「構成作家にならないか」「仕事紹介してやろうか?」
そんな甘いだけの誘い文句には絶対に乗らない。

俺が生きていくのは舞台の上だけ。舞台の上で死んでいくだけだ。
生きて食っていくためだけに働くなんて、興味がそそられない。


思い通りにいかない時だって
人生捨てたもんじゃないって

これはオーディション番組などに、軒並み落ちてしまったどん底で自分を鼓舞するところでしょう。

思い通りにいかない時もある
でもそこが面白い。だから努力して高みを目指そうと思える。

人生は上々だ。捨てたもんじゃ無い


(中略)
ありがとう、と君に言われると
なんだかせつない
さようならの後も解けぬ魔法
淡くほろ苦い
The flavor of life

これはネタを終えた後にふと感じる、漫才に対する熱い想いでしょう。

ネタが終わって、相方が客に頭を下げる。
「ありがとうございました」という言葉には、どこか「すみませんでした」というニュアンスが見えるようだ。

見てもらえたことに対する感謝はもちろんあるが、心から笑わせられていないことは舞台上が一番わかる。
そんな僕らにも一様に送られる乾いた拍手がなんとも切ない

ネタに関する反省もソコソコに、「〜が作るネタは面白いよ。悪いのは俺のツッコミ」という相方。
そうだと思ってしまっている面もある以上、「そんなことないよ」と強くは否定してやれなかった。

相方と別れた後も、どこか切ない想いは消えない。
舞台の上にはやり残したことがたくさんあって、ほろ苦い感情はいつまでも俺を離してはくれない。

15年間ずっとそうだ。だからこそ辞められない。
それは間違いなく「人生の味(Flavor Of Life)」なんだ。


いかがでしたでしょうか?
何とも切ない芸人の感情が、ありありと宇多田ヒカルの中に描かれていると思いませんか。

もしかすると芸人が辞められなくなるのは「お笑い」そのものに恋をしてしまい、その関係や距離感に折り合いがつけられないからなのかもしれません。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。