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スコーンとコーヒーは嘘かもしれない



二子玉川沿いを散歩した。


お酒を飲みながら笑い合うお兄さんたち
寒そうに寄り添うカップル
水切りをしてる大学生
拾った石を磨く4人組

笹舟を川に浮かべる親子を遠くから眺めた。
子どもの手から小さな舟が離れる。
なかなか流れにのらないのを不思議がっていた。
お父さんらしき人が、もうすぐだよ、ほらほら、と言っているのがアテレコできそうだった。
あの河原の一瞬は、隣で同じものを見ていた。

違う。


未来がこれから来る人の隣にいると、あたたかで、煌めいていて、力強く抱かれている感覚に包まれる。
この人の今とこれからに、自分は本当に必要なのか。この人の少し先の未来に自分は存在してるのか。
隣にいるまっすぐな眼差しの横顔を見ていると、自分本位な考えばかりが頭をよぎるし、おこがましい心配と空を掴むような焦りが、たまに顔を出す。

そんなこと思ってるなんて知らないだろうし、このまま知らないでほしい。
目が合ったらいつもみたいに、少し眉を寄せてなんだよ!って聞いてほしい。
そしたらあたしだっていつも通りに、ううん!って答えてのけちゃうからさ。


コーヒーに砂糖を入れたい
でも見栄を張って、お砂糖はいらないです。と言ってしまう。やはり苦い。

スコーンが食べたくなる。
ボソボソしてて、食べにくいのは分かっている。
なのに、スコーンを下さいと言う。


矛盾ばかりだ。
あたしは嘘つきなのかもしれない。



なんて意地悪な季節だろう。
3月
4月
あと12ヶ月。

ずるしても 真面目にも
スピッツが有線から流れてきた。


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