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中国でお茶をならう。

今年、新しく挑戦したことの中に、中国茶もありました。
3か月間、まずは中国茶に親しむための導入クラスに参加しました。
もし自分に合っていれば、そのまま茶芸師や品茶クラスにも挑戦してみようと思っていたのですが、残念ながら私にお茶は向いてなさそうだという結論です(笑)。(どんなに美味しいお茶を飲んでもあまり違いが分からない&味をすぐ忘れてしまう…等)

ですが、備忘禄として、こちらもまとめて行きたいと思います。


①中国茶の種類

緑茶や紅茶など、様々な種類のお茶がありますが、元をたどれば一つの植物の葉っぱに由来します(学名:カメリア・シネンシス)。同じ葉でも、発酵の仕方によって味が変わるため、色々な名前のお茶が存在しています。

中国茶は、以下の6つの種類に区分されます。

https://www.qingxianghualou.com/pages/chinese-tea-types/

発酵度の低いものから、緑、白、黄、青(烏龍茶)、紅、黒(プーアル茶)
中医学との絡みでいえば、発酵の度合いが高いお茶ほど、身体を温める効果が高いといわれています。春夏は、緑茶・白茶・黄茶、秋はウーロン茶、冬は紅茶・黒茶、などと季節と共に変えてみるのも一つの楽しみ方のようです。

上記6種の他に、「再加工茶(花茶)」というものもあります。既に出来上がっている「製品茶」を更に加工して作るお茶のことで、ジャスミン、バラ、柚子、金木犀など、様々な食用花を香りづけとして使います。大多数は緑茶を加工して作るようですが、他の茶を使うこともあります。
再加工茶の中には、花の咲く「工芸茶」もあります。見た目を楽しむ分にはとっても良いものですが、お花が器いっぱいに沢山咲くような製品は、安くて質が落ちる傾向にあるとも聞きました。特にジャスミンは、「生の時に香りが高いので、お花がない方がいい。乾燥後の花には匂いがない」そうな…。1つや2つ、上品に咲かせるものが良いみたいです。実際に飲み比べしてみるのも有りかと思います。

また、中国には、10大銘茶というものがあります。
なんと、10あるうち6つは緑茶。実は中国のお茶の生産量のうち、70%は緑茶みたいなんです。この点は意外でしたが、中国1番のオススメは緑茶!ということになりますね。


②道具選びも大切!な中国茶

お茶の道具はお父さん。
お茶の水はお母さん。
茶葉は子ども。

お茶は化学!

これが美味しいお茶を淹れるための前提といわれています。水道水を飲めない中国では純水を使って淹れることが多いですが、軟水の山の水(カルシウム量少なめ)で飲むのが実は一番美味しいそう(香りが高くなる)。
唐代に茶の聖典『茶経』を記した陸羽りくうも、「第一に山水、次に川の水、そして井戸水」の順に美味しく飲めると残しています。
最も今の時代、日本で飲む場合は、水道水で淹れても美味しく飲めるそうです。

中国茶は、基本的に下記のような外椀がいわんで淹れるのが一般的。(茶の種類によっては、トップ画のような砂急須を使ったり、花茶など見た目を楽しみたいときは透明の急須を使うこともある)

Amazonから拝借

外椀は、その形から「三才」とも呼ばれるそう。三才とは、中国の世界観の一つで、天地人の働きを示すもの(天の陽気と地の陰気とが調和することによって、人の気が生成されるとする思想:参考)。蓋を「天」、お皿を「地」、真ん中の椀を「人」と見立てて、このようにいわれています。

外椀には色々な形があります。細くて高めの外椀や、太めの外椀…。お茶に親しんでいる方は、淹れるお茶の種類によって道具も変えるといいます。例えば、香りが高く出る鉄観音(青茶)や台湾ウーロンなどは高めの外椀、味がしっかり出て食欲を増してくれるような武夷岩茶(青茶)は低めの外椀。黒茶は砂急須、緑茶は透明のグラス等、本当に色々です。(もちろん、絶対的なものではない)
また、「このお茶にはこの茶器を使う!」と決めたら、それを使い続けるのも美味しいお茶を飲み続けるコツのよう。例えば一つの外椀で、紅茶も青茶も白茶も淹れる、というようなことはしないようなのです。これは黒茶用、と決めたら黒茶用。そんな感じで、お茶に親しめば親しむほど、どんどん素敵な茶器が欲しくなる方も多いようです。

緑茶の入れ方の例

更には、どんなに良い茶葉だったとしても、使う道具や水、水の温度、蒸す時間によって風味が変わってしまいます。「お茶は化学」といわれる所以はここにあります。淹れ方も、1煎目、2煎目、3煎目…で変わってきます。それぞれのお茶の特性を知り、美味しい飲み方を心得るためにお茶を習う、というのが最初の動機になる方は多いのかなと思います。


③おいしい茶葉を見極めるのは難しい

お茶を学ぶのはとても楽しいですが、私のように短期間ちょろっと学んだだけでは良い茶葉を見極められるとは言えないのが、これまた難しい部分だなとも思っています。

有名な中国茶はある程度分かるようになりますが、実際には名前だけが独り歩きしており、市場で売られているものは質が良くなかったり、「半成品」だったりもするようで。プロならば茶葉を触ればすぐにわかるようなのですが、素人は簡単に騙されてしまうといいます。「半成品」だと、水分が多くて触るとすぐ壊れたり、乾燥しやすかったり。茶殻を見てお茶の質がわかるともいいます(良いお茶はしっかり葉の形をしていたり、うぶ毛まできちんと見えるが、質が悪いのは葉が人工的に分断されていたり、ギザギザしていたりする)。

お店では試飲させてくれますが、中国語が出来ないと聞きたい事もなかなか聞けないし、少人数で行った場合は、なかなか何種類も試飲することは出来ないです。その割に大きい単位(中国では一斤=500g)で買わされることもあり、少量だけ買ってみたい、という希望が通らない場合もあります。観光で来ている方には特に難易度が高いと思われますので、最初はお茶の先生や、信頼できる人(もしくは良い口コミ)から購入するのがベストだと思っています。


④これだけは押さえておきたい!有名な中国茶

★白茶

白毫銀針はくごうぎんしん」…福建省北部で生産。飲みやすくてとてもやさしい味。ジャスミン等の花茶との組み合わせで使われることもあり、とっても上品な味わい。

★緑茶

西湖龍井ろんじん」…中国10大銘茶の一つ。杭州の西湖周辺が産地。なかでも「梅家塢龍井」は清代の皇帝たちが好んで飲んだ、特に有名な龍井茶。青々としていて香りが高く、渋さはないが、味がしっかりした緑茶。

★烏龍茶(青茶)

1. 福建省安渓:
鉄観音てっかんのん」…「烏龍茶の最高級品」と呼ばれる銘茶。海抜1000mの山合いで取れる外安渓(地名:西坪)産が有名。外椀に入れてゆらすと鉄っぽい重い音がすることが名の由来。7煎飲んでもランの花のような華やかな香りが続くのが特徴。
2.武夷ぶい岩茶いわちゃ(福建省武夷山)
大紅袍ダーホンパオ」…一番有名。烏龍茶と聞いて思い浮かべるような味。ザ・サントリーの烏龍茶っぽいような、香ばしい味。色は紅茶っぽくて濃い。葉は少しスモークっぽいような香りで、味は濃厚。
武夷山の中心で取れる正式な岩茶は「正岩茶」と呼ばれ、一番美味しいが、希少で値段も高く手に入りずらい。実際には「半岩茶」「洲茶」と呼ばれる下位ランクのものも多く出回っている。
3.鳳凰単叢たんそう(広東省鳳凰山)
古くからの生産地で500年以上の古樹が多い。単叢とは、挿し木などしていない古樹から成るお茶を指すが、近年は生産量が少なく希少なので、実際には別の葉が混ざっていることもある。香りでお茶を分類する傾向にあり、「鴨尿香」「芝蘭香」「玉桂香」などが有名。個人的に好きなのは「蜜蘭香」。苦みが一切なく、蜂蜜のような甘さと爽やかさが楽しめる。
4.台湾ウーロン
台湾北部が台湾ウーロン発祥の地。歴史が長く、発酵度は15-70%まで幅広い。
東方美人茶」…別名、白毫烏龍(英国女王が命名)。若い芽を使った香り高い甘みのあるお茶。ライチやマンゴーのような、甘いフルーツの香りがする。発酵度を紅茶に近い70%まで上げることによって、インドのダージリンを彷彿させるような、香りの高いお茶になっている。
文山包種」…発酵度15%程度、香りは緑茶っぽくて青々としているが、お湯を通すと華やかなランの香りがして美味しい。台湾で人気のお茶。
台湾南部の方が、北部よりもお茶の生産量は多い。なかでも「凍頂烏龍」は、みかんの干皮のようなほのかに柔らかい香りで個人的に好き。

★紅茶

全発酵(95%以上)。工夫紅茶、紅砕茶、小種紅茶の3種類があり、なかでも工夫紅茶がオススメらしい(工程が丁寧。葉を砕かないので、細かい葉にするのに細心の注意を要する紅茶)。例えば「でん紅(雲南紅茶)」、別名:金芽茶。香りが高く、苦みはゼロ。茶葉には沢山の金芽が含まれており見た目も美しい。
小種紅茶(別名:野生紅茶)の中では、福建省武夷山産の正山小種が有名。どんな淹れ方をしても美味しくなるといわれる。正山小種の若い葉だけを使った「金駿眉」は一番単価が高い紅茶といわれる。

★黒茶

黒茶には、「熟茶」と「生茶」の二種類あり。熟茶は雲南省の伝統銘茶であり、1970年代から生産開始。緑茶を再度発酵させて作るため、後発酵茶ともいわれ、人工的に発酵させたものを「熟茶」、自然に発酵が進んだものを「生茶」という。「熟茶」で有名なのは、広西省の「六堡茶ろっぽうちゃ」。一般的にかび臭いような、古いお茶の香りがする熟茶が多いなかで、こちらはクセが無く飲みやすい。「生茶」は2000年以上の歴史を持ち、長期貯蔵に適している。緑茶に近い爽やかさがあり、香りが高い印象。


⑤北京のお茶市場ってどんな感じ?

北京では、「馬連道」と呼ばれるお茶市場が有名です。どんなところなのかということを少しだけご紹介すると…。

大きなデパートみたいな中にあります
入ってすぐの場所にある、緑茶のお店
別のお茶市場もデパートみたい
雲南のお茶が堪能できるお店
こんな感じで試飲させてくれます
一見廃れたところにある、鳳凰単叢のお店

何店舗も回ろうとすると、本当に一日がかりになります。試飲しながら店員さんとおしゃべりしたりして、とっても楽しい時間ですが、ずっとお茶を淹れ続けてくれるので、30分とかでさっと出れるような雰囲気では全くなかったです…。興味がある方にはぜひとも体験していただきたいです!


おまけ:日本の茶道はもっと難しく感じたワケ

中国茶を学ぶ以前に、日本のお茶についての知識が全くなかったので、むしろ茶道を始めてみようかと迷った時期があったのですが。
一度体験に行き、自分には無理だと早々に諦めてしまいました…。

茶道では、まず大事なマナーや所作を知る必要があるんですよね。それは恐らく心を清めて茶をたしなむための、古くからの大事なしきたりであり、お茶を立てる人も客として招かれる人も、慣れてしまえば当たり前のように動けるものだと思うんですよね。
でも私には、それが少し窮屈に感じてしまって…。

「茶室には〇足から一歩踏み入れる」
「右手を使って○○をし、次に左手で〇〇〇…」
「お茶を頂くときは決まったセリフを言って器を回してから」
「頂いた茶菓子の食べ方」…

他にも、靴下は白、アクセサリーは不可、基本正座で、など一つ一つ細かく決まっていることに、「なんで?」「なんで?」とずっと疑問ループから抜け出せず。ただお茶を飲むことを楽しみたかった私には向かなかったようです(笑)

でもこんな私でも多少は流れているらしい大和魂。私には向かない、とか言わずにやってみれば良かったかな。なんて気持ちもあります。
またいつか、興味を持つタイミングがあれば、その時はちゃんと向き合ってみようと思います😇



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