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TBS日曜劇場はなぜこんなにも名作揃いなのか。

こんな問いを立てれば、色々な波紋を呼んでしまうかもしれませんが😅
今期、VIVANTというドラマが話題になっていますね。(写真は公式より)

私も観てるのですが、もう、ハリウッド映画に劣らないよね!と思うくらい、とにかくスケールが大きくて製作への気合いの半端なさがひしひしと伝わってきます。

しかも、
・1話あたり1億円の製作費(憶測)
・モンゴルで2ヶ月半ロケ
全10話3ヶ月の放送に、これだけの費用をかけているとか…。いやはや凄すぎる。

日曜劇場の製作費は4000万〜5000万円が相場らしいんです。1話あたり1億円というのは、Netflixなど有料配信サービスと同等の単価のようですが。今回10億円とすると、これまでの相場の20倍…!?

いまや海外ドラマ&映画もサブスクで気軽に観れる時代だから、地上波もこれくらい映えるストーリーにしないとなかなか人気が出ないのかな?と邪推もしつつ。
とにかく面白いし、役者陣も豪華だし、地上波のドラマでこんなにワクワクしたのは久しぶり。今後の行方がとっても楽しみな一作です。


と、そこでふと疑問に思ったんです。
日曜劇場のマネタイズって、一体どうなっているの?と…。

思えば私、超個人的な話になりますが、これまで強烈に記憶に残った日本の連続ドラマって、ほぼTBSの日曜劇場で放映されたものなんです。きっと偏ってるだろう事は自覚の上で。
作品のプロットはもちろん、抜擢される役者勢もピカイチだからなのかな?そしてそれを支えるだけの資金力があるからなのかな?とか考えてます(仮説)。

メディア事業は全くのど素人だけど、今日は可能な限り日曜劇場を丸裸にしてみよう!と思います。



その前に(私が好きな)日曜劇場のドラマたち

※敬称略

華麗なる一族(2007年)
主演:木村拓哉 原作:山崎豊子 開局55周年記念

血も涙もない財閥一家の物語…。

JIN~仁~(2009年、2011年)
主演:大沢たかお 原作:村上ともか

江戸時代にタイムスリップする脳外科医。毎話感動の嵐。

半沢直樹(2013年)
主演:堺雅人 原作:池井戸潤

これは外せない。池井戸作品大好き。

ノーサイド・ゲーム(2019年)
主演:大泉洋 原作:池井戸潤

ラグビーW杯に向けて勉強になった一作。

オレンジデイズ(2004年)
主演:妻夫木聡、柴咲コウ 

華の大学生活といえば!なドラマ。
めちゃ憧れたなあ。こんな風に過ごしたかったなあ。


余談だが、TBS外だと、「白い巨塔(2003年フジ)」、「大地の子(1995年NHK)」も私的には外せないので、追記。


民放局の収入源って?

まず、資金繰りについての大前提を調べてみました。

民放局の収益のほとんどは広告収入。スポンサー企業がいるから、テレビ局はコンテンツを作って放映することができる。CM枠を企業に買ってもらうことで収益を上げているのがビジネスモデル。そして、その枠で、その企業のCMを流す。
CMの種類は下記の通り大きく二つ。

タイムCM」…「この番組でCMを流したい」というはっきりとした希望がある場合に選択。ドラマは3ヶ月(1クール)、情報番組は6ヶ月、などの目安あり。
スポットCM」…番組の指定が基本的には出来ないが、大体の時間や放映期間を指定できる。

https://pencre.com/time-cm-and-spot-cm/

一般的に、高視聴率の番組の方が広告宣伝効果も高いため、番組の視聴率が上がれば、より高い金額で広告枠を買ってもらえるようになり、企業の収入増に繋がる。

視聴率が高い方が広告収入も多い

より詳しいトレンドは広告代理店の方に聞いてみたいですが、デジタルシフトが進んでいる昨今でも、地上波広告がもたらす購買への影響は依然として高いそう。よりインパクトのあるコンテンツ作りに精を出すのが、広告主のためでもあり、現在も、テレビ局の方々の努力しているところでもあるようです。(参考:広告会社からみたテレビメディアの価値とこれからについて

TBS日曜劇場は、さすが人気枠とのことで、タイムCMのスポンサーが安定的についていますが。(花王、SUNTORY、NISSAY、SUBARU)
最近の傾向としては、コロナ禍も一つの契機となり、広告費をタイム(固定費)からスポット(変動費)へ移行する動きが加速しており、変動費の獲得が急務だそうです。(TBS HD 2023/3期 有報p.17

各社、ネット配信の広告収入増に加え、不動産事業、ライツ事業など多角化経営にも力を入れていますが、各社の財務情報を見ていると、今のところ一番の稼ぎ頭はやはりメディア・コンテンツ事業といえそうです。それを支えるコンテンツ力、そして広告収入の影響は依然として大きいのですね。


民放局の番組制作費とTBSの特徴

次に、どのくらい番組制作に費用をかけているかを見てみます。
その前に、テレビっ子ではない私は、各局の特色に疎いので、念のためそこを確認しておきたいと思います。

フジ:「笑い第一」の社風。バラエティ番組の分野で結果を残そうという気概あり。
日テレ:「ザ・オールマイティー」。各部門でそれぞれがバランス良く、多くの人気番組を擁している。
テレ朝:「スポーツのテレ朝」。サッカー日本代表戦の放映権を持つ。
TBS:「不動のドラマ王」。日曜劇場は王道のドラマ枠。

TBSってやっぱりそうなのか…!
https://www.onecareer.jp/articles/222
TBSの番組制作費がやたら高い…!

各社、業績の変動はあれど、いずれも極めて健全な財務基盤を持っていらっしゃる(さすが大手…!)。TBSの制作費がダントツな理由は、ドラマ制作は他の番組制作に比べて費用がかさむのかな、くらいしか思いつきませんでした…。仮に本当にVIVANTの制作費が10億円だったとして、TBSの年間の番組制作費は約950億円(地上波以外も含む)なので、これは決して無謀な数字ではなさそうです。

もう一つ、TBSについて気になったのが、2021年度に設立した海外戦略の新会社「THE SEVEN」。

総額300億円規模のコンテンツ制作費予算のもと、… 海外を視野に入れたビジネス展開を行い、5年以内に世界的ヒット作を2-3本制作することを目指します。また緑山に、国際基準のコンテンツ制作の拠点となる国内最大級の新スタジオを建設いたします。

2023/3期 有価証券報告書

ゼロイチベースでコンテンツを作る組織で、既にNetflixとアライアンス提携済。ただこれは独占的な提携ではなく、今後も海外クリエイターとの協同は広がっていくだろうとのこと。(参考:日本初のTBSスタジオ組織が世界市場で何を目指すのか
欧米スタジオや韓国のスタジオドラゴンが念頭にあるそうで。とても楽しみな動きです。この会社の存在がVIVANTの制作にも影響しているのかも、とも思ったけど、違うのかな~、どうなんだろう。


なぜTBSドラマが面白いのか、定性面からも考えてみる

数字を見ただけでは正直、まだよく分かりませんので、ここからは定性情報も見てみます。(以下6点)

1.TBSドラマは準備期間が長い
放送までに通常、2年かけるという。他局は1年で作ることもある。その分、TBSのドラマは内容が練りに練られている。

週刊女性PRIME

2.技術&美術スタッフのレベルが違う
カメラワーク、照明技術、撮影場所や美術スタッフのこだわりに妥協がない。「1960年代から映像美に拘るディレクターが大半で、撮りたい映像が作れる場所を、見つかるまで徹底的に探す。美術スタッフはその場所に小道具を合わせてくれる」

同上

3.局とドラマ制作パートナー会社間の一体感が強固、マンパワーがある
局とパートナー会社との間で軋轢が生じてしまうケースもあるそうだが、この点、TBSはうまくやっているようだ。

同上

4.独自のキャスティング戦略がカギ
「出演者を押さえてから、その俳優に合う作品を当てはめるフジに対し、TBSは基本的に作品が優先。やりたい作品が決まってから、それに合う俳優を当てはめる……当たり前の話に思えるでしょうが、これがかなり難しい。数字が取れる俳優は一握りで、人気俳優ともなると2年先までスケジュールが埋まっているなんてザラですから。」

Friday Digital

5.俳優や原作のチョイスに他局以上に時間をかけるのもTBS流
「『逃げ恥』も『わたナギ』も漫画原作ですが、誰もが知る超有名作ではありませんでした。知名度を無視して、本当に面白い作品を見極めるセンスがある。TBSのプロデューサーは舞台に熱心に足を運び、実力派や個性的な俳優を発掘する作業にも注力しています。」

同上

6.そして、敏腕プロデューサーの存在
VIVANTの監督を務めるのは、「半沢直樹」や「下町ロケット」を手掛けた福澤克雄氏。「自分がおもしろいと思ったものを一生懸命つくる」、冒険心溢れるインタビュー記事を拝見し、ますます期待大…!

TBS DRAMA


おわりに

いかがでしたでしょうか。
業界の方ならもっと面白い分析が出来るんだろうなと思いつつ…メディアビジネスの大前提から最近のトレンド(主にTBS)までを追ってみて、このVIVANTを皮切りに、世界を見据えた面白いドラマが新たに生まれて来るんじゃないかと、勝手に期待を寄せた私です。

あっという間なもので、VIVANTもあと4話で終わり!どうなるんでしょう~、とにかく今後の展開が楽しみです!引き続き見逃さずにいきたいと思います。



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