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不動産の磨き上げ

今回1316文字です。失礼します。

1、磨き上げ
みがきあげって?
窓を拭くとか、外壁塗装とか・・。
いえいえ、そういった物理的な磨き上げとは違います。

昨今「事業承継」や「M&A」等を耳にしない日が無い程に報道されております。磨き上げはそのための準備、整理等の作業です。

現在、国が運営する事業承継・引継ぎ支援機関のコーディネーターの仕事をしていまして、承継に関する不動産部門の仕事を少々お手伝いしています。

そこで「不動産の磨き上げ」の話題をとりあげました。

そもそも「事業承継」や「M&A」とは、私なりに言わせて頂くと
“ 嫁入り ”や
“ 養子縁組 ”
のようなもの。

かつては敵対的M&A等というきな臭いワードが溢れていましたが、最近は「この技術を後世に残そう。」とか
「あの親父の味を絶やすな!」
という友好的、救済的なケースが増加しています。

磨き上げを嫁入りの例で説明しますと、お嫁さん(最近ではお婿さんも?)としては結婚前にエステに通ったり、歯を矯正したりして、より一層美しい姿で結婚式を迎えたいと思うところです。

磨き上げとは、このエステ通いのようなもの。つまり他社さんと一緒になる前に、美しい人はより美しく、そうでない人はそれなりに(笑)綺麗にしておくこと、と例えることが出来るでしょう。



2、どうやって磨き上げる?
磨き上げの主な内容としては、財務面、法務面、労務面等があり、これらと同様に不動産も磨き上げる必要があります。

例示しますと、
 
①土地の減損処理
例えばバブルのころ1億円で買った土地が今でも1億円の資産として帳簿に計上されているケース。土地は減価償却しないのでこれらのケースはよくあります。事前に会計上の損失等を明確にしておきましょう。

②所有権の明確化
土地は社長個人の土地、建物は法人所有、等のケースが良く見られます。事前に個人と法人との間で売買を行い、所有名義を明確にしておくことは後の経営や相続、揉め事の発生を摘み取ることになります。
 
③建物の耐用年数に着目した与信アップ
実はこの③が目玉です。ちょっと力込めます。
 a、一般に金融機関さんは建物の耐用年数を、会計上の償却年数としているケースが多い。
 
 b、現実の建物の多くは償却年数を大きく超えて使用、収益獲得に貢献している。
 
 c、にもかかわらず「建物が償却年数を越えているから」ということで、金融機関さんの与信ランクが下位となる場合がある。

 d、個別に不動産鑑定評価することで経済的にあとどれだけ耐用年数が見込めるか、収益獲得能力を有するか等を対外的に判定する。
 
 e、耐用年数が延びることにより、与信ランクがアップし、融資を受けられる企業に変貌した上で、M&Aや事業承継を実行する。
 
 ③につきましては金融機関さんの協力が不可欠ですし、本当に建物がまだ使えるという実態を有していることが大前提となります。


不動産鑑定士は、対象となる不動産の価値を対外的に評価することを業としています。

その際に建物の現実の耐用年数を物理的に、経済的に図る必要があります。

この“現実の耐用年数”を活用することで、企業不動産を磨き上げ、スムーズな事業承継やM&Aを成立させるお手伝いが出来るのです。

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