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「靴、脱がせませんか。」

それほど混んでない平日昼間の電車内。

小さな子が靴のまま座席シートに立ち、外の風景を眺めている。

隣にはそれを放置している若いお母さん。

「靴、脱がせませんか。」

やばい、喉元まで来ている。言ってしまいそうだ。

うー、、でも言ったら、なにこのおじさん、
って冷ややかな目で見られるだろう、

うー、、でも言うべきだろ。
どうする。


そうだ、避難だ。

せっかく確保した暖かい座席を放棄してでも、ここは車輛を移るしかない。

駅でもない場所でおもむろに立ち上がった一人のおじさんは、今にも開いてしまいそうな口を手で押さえ隣の車両に移動。

え、なんで俺、避難してんだ。

結局何もできなかったという話。

どうすることが正解なんだろう。

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