黒柴的パンセ #13

黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #3

ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく

「たちの悪いホワイトのような感覚がします」
この言葉は、自社の人事担当(主に採用活動を行っていた)だった後輩Aとのメールのやりとりの中で出てきたものだ

この後輩Aは、新卒として自社に入社したが、エンジニアとしての業務に興味が持てずに一旦退職し、その後自社にいるときに興味を持った人事系の業務ができる他社に転職後に、再度自社に人事担当として戻ってきたという人物だった
黒柴は、自社に再就職したその後輩Aに興味がわいたことと、自社の人事について疑問を持っていたので、その後輩Aと毎週のようにメールのやり取りをしていた
この後輩Aとのやりとりの中で気付いたことは、今後、このパンセの中で取り上げていくことになると思う

たちの悪いホワイトのような感覚がします」という言葉は、「ブラック企業とは?」というテーマの中でのやりとりだった
これは、2015年ごろIT関連業が「新3K職場」ということで、新卒の就職対象から人気が無くなっており、それに伴い自社の採用活動についても、かなり厳しい状況にあるという話題だった
余談だけど、2023年現在でも、このIT関連業=新3K職場というのは、払拭できていないようで、IT関連業の人材不足に拍車をかけているように思う

このとき、新卒が就職先として検討できない「ブラック企業」とはどういう企業なのか?ということを話し合った
後輩Aは、採用に応募してくる学生は「過大な残業」、「パワハラ」というあたりをもって、「ブラック」と認識することが多いようだと回答した
黒柴は、「残業」については致し方ない部分もあるのだが、それを指示する際の「理不尽さ」がブラック企業につながると定義した
では、振り返ってみて自社ってどうなの?と後輩Aに質問したら、彼は「たちの悪いホワイト」と感想を述べた
しかし、これは「言い得て妙」だなと、黒柴は思った

実は、自社はもともとブラック企業として有名だった大手ソフトハウスからスピンアウトした人たちが興したソフトハウスだ
そのため、元会社のように「サービス残業」、「長時間の超過勤務」、「オープンではない人事考課」などについては、改善しようとした
改善として、「育児休暇」や「時短勤務」などの社則を整備し、人事考課表についてもオープンな制度とした
これらの対応により、経営層は「過去のブラック企業とは決別した、社員を第一に考えた企業経営をしている」と自負しているようだ
しかし、これら整備した社則、人事考課がすべて適用できる経営を行っていないのだ

例えば、「時短勤務」だ
育児休暇が終了したが、保育園などの送迎で時短勤務を行いたいと考えても、会社の業務がSIerに対して稼働時間による作業者派遣しかない場合は、どうなるだろうか?
SIerからは、フルに稼働できないのであれば、別の人をアサインして欲しいと要望が発生することは容易に想像でき、結局のところその社員はオーダーを失うことになる
請負として自社内で開発を行っていれば、その社員は「時短勤務」を行うことを前提として、プロジェクトにアサインすることは可能だが、そのような自社内で開発を行う案件は、ほぼ受注できていないし、受注する気もないようだ
すなわち、使いたくても使えない制度なのだ

こういう部分を見ているからなのか、後輩Aは「どうしていきたい会社なのか、見えづらいです」と言っていた
この「どうしていきたい会社なのか」という点について、次回深掘りをしていきたい


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