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「脳波を測って1000円もらえる施設に行った」2022年8月6日の日記

・「脳波を測らせてくれたら1000円で買い取ります」という、ディストピア小説の冒頭みたいなイベントに応募したのは数週間前のことだったと思う。
・このイベントは確か、この数ヶ月前に美術手帖か何かの記事で読んで知り、応募開始時期をメモしていて、応募が始まったとほとんど同時に予約したんだと記憶している。募集はすぐに満席になったらしい。


・普通にピーティックスから予約のチケットを買ったのだった。買ったと言っても無料だったけど。


・「脳波買取チケット」。こんなネーミングのチケットがピーティックスで見られるのは今後いつあるかわからない。ていうかこういうネーミングでもピーティックスの審査って通るんだ。


・都内某所。チョー夏の気温の中をゆくと、階段の先にその場所があった。



・ブレインウェイブス…ナントカという組織名の頭文字をとってBWTCと書かれた大きな幕が下がっていた。

・普段のこの場所は貸し会場のような場所で、普通にギャラリーのような使われ方をしているんだと思う。それがこの時期だけ、この怪しげな団体の脳波買取施設として使用されていた。


・このイベントの実際は、脳波を計測する機械で脳波のデータをグラフに表し、それにタイトルをつけ、絵画作品として一般に販売するという取り組みなのだ。要するに画家が脳波で、画材が脳波を計測した結果出力されるグラフというわけ。
・別に脳みそに変な電流を流すわけではない。

・脳波の提供者には、その計測元である脳波の提供に対する謝礼として1000円が支払われる。絵画作品としての脳波グラフは、普通に5000円〜数万円くらいの値がつけられて売られていた。誰が買うのかは……わからない。


・取り組みとしては特別目新しいものではないのだけど、このイベントはその「脳波を測るという怪しさ」の演出が素晴らしかった。

・受付をして自動ドアをくぐると、まず、これ。



・普通のギャラリーだったらロビーに当たる入口に、巨大な「BWTC」の印字がされていて、さながらテーマパークの科学系アトラクションの”つかみ”の演出だった。


・ちょっと進むとこれまで撮影された脳波データが展示されてたり、まさにちょうど脳波データが紙に印刷されたものが、乾かす用のラックに置かれていたりした。(左側の黄色いカーテンの向こう側)

・実際はプリンターによる印字で絵の具みたいに乾かす必要はないので、これも「っぽく」するための演出だ。



・記録された脳波のサンプル。


・脳波の記録場所の直前エリアには、これまで記録した人数と、「計測1秒につき10円で買い取ります(今回の計測では100秒間計測する)」というのが、「っぽい」装置で表示されていた。


・計測場所は特に広い空間だった。基本的に天井の照明は落とされて真っ暗なんだけど、小さめの自動販売機くらいの機械が部屋の中心に置いてあり、そこだけその機械自身が出す光で白く光っていた。

・自動販売機で言うと商品のラインナップが並んでいる部分が液晶になっており、計測方法が動画で説明された。

・機械から出てきた骨伝導イヤホンみたいな機械を頭につけて、目を瞑って100秒間じっとしていると、機械から計測終了が告げられた。同時にジャラジャラと100円玉10枚が、その機械の、自動販売機で言うとお釣りが出てくるあたりに落ちてきた。


・それを受け取って計測は終了。



・計測場所のすぐ外に、大きなシートに印刷する用の特殊なプリンターがあり、確か400円だか600円だかで自分の計測データを買うことができる。

・わたしも買いました。



・はい、これが100秒間のわたしの計測データです。


・・・・・・。



・・・・・・うん。


・別に何、ということは無いな。

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