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ため息も呼吸のうち

何も書けず、1時間が経過した。もう今は深夜だ。

はぁ・・・とため息をついた。
が何か降ってくるわけではない。天才ではないのだ私は。

皆さんはため息は好きですか?
完全に何人かいなくなる唐突さだが、書いてみるとなんか言いたいことがありそうな気がしたから不思議だ。
もちろん、幸せのため息って奴もあるがあいつは別物だ。
今回は嫌なことあった時のため息。

好きとか嫌いとかそんなんじゃない!と言われそうだが、気になったのだから仕方ない。
嫌いと言い切る方も、それなりに居ると思う。幸せが逃げていく、的な。ネガティブな印象。

僕もそう思っていた。
だって、目の前の現実にため息は何もしてくれないから。

でも今僕はため息、結構好きだ。

大人になるにつれて、それなりに任される領域も広くなる。
知らない事。どうでもいい事。理不尽な事が、隕石のように降り注ぐ。
こないだこんな事があった。

会社で代表電話に出たら、関東に住んでいるというおばちゃんからクレームの電話だった。
そもそも、僕はあまり電話に出ない。総務の方が出ることが多いからだ。
なぜこんなときに、と思った。
おばちゃんの怒りはフルスロットル。電話を出るなり。
「あんたのところどういう教育してるんですか?」
「ん?」なんだ?少しテンパってしまった。
「あんたのところどういう教育してるんですか?」
また言われた。常套句。結構傷つく。誰だこのキャッチーなセリフ考えたの。
話を聞くと弊社と同じ名前の会社の車が、何回も違法駐車をしておりいい加減にしろと言うことだった。
当然心当たりはない。そもそも弊社にはフランチャイズも支社もない。
そう答えても一向におばちゃん蒸気機関車は止まらない。
こうなったら毅然と。理不尽なクレームも何度か経験がある。
知らない。関係ない。分からない。と伝えるロボットになっていた時、おばちゃんが言い放った。
「柴崎商店さん、本当に関係ないんですか?」

私は、少し動揺してしまった。
私の名前は柴崎だ。同じ会社名、で柴崎と出たから。
「関係、ないと思います。」なんて言ってしまった。
「思いますじゃねーんだよ!!!」火に油だ。最悪だ。

結局そこから、5分ほど怒られて電話は終了した。
同じ会社名で、同じ名前で、しかもたまたま電話を取って、それがクレームである確率はどのくらいだ?
理不尽だと思った。己のついてなさを呪い、ため息をした。
顔を上げると、先輩が笑っていた。テンパっていた姿が面白かったらしい。
「どうしたん?」
そこからは怒りのトークショー。

一通り話終わって、先輩は爆笑していた。
最近の私のついてなさも相まって、「不幸を連れてくる男」と言われた。
でも私は、嬉しかった。目の前の人が笑ってくれると、救われた感じがする。
最近のついてなさも、理不尽なことも、怒りのトークショーを開催すると、
笑い話だ。

それ以来、ため息をしてしまったら、ネタが1個増えたと思うようになった。
そう思うと、ため息してから落ち着くまでになった。ネタゲット、次、と。

理不尽なこと、難しいこと、知らないことが多くて、自分じゃどうにもできないからこそ、ため息発動。嫌な感じを全部体外に出すのだ。

思えばあの頃は、自分でなんでもできる気がしていた。
だから目も前の事象を早く片付けるには、早く手を動かすことが一番だと思っていた。それはきっと、簡単で、単純だったんだ。と、今では思う。

世界は、広がって、どんどん複雑になっていく。
責任なんて取れるわけないし、理不尽は壮大となる。
僕は天才じゃないから回避できない。頭からぶつかってしまう。
だからこそため息吐いて、得るものがあって良いと思う。

日に20回はため息している私だが、
おかげでネタをゲットし、理不尽な事故を赦せる気がする。
とはいえ、理不尽、多いわ。

ため息も呼吸のうち、深く吐いた方が、酸素も多く入るらしい。
なんて書きつつ、もうすぐ朝だ。



大好きです。