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SSS

 官能小説は無駄だ。欲求を感じるならすれば良いのだし、感じないならそれ以外の本を読むべきだ。読者の立場の痩せ我慢だろうか。

だがもしあなたが書き手ならニーズに応えて(全く関心がなくても)エロであろうと書けねばならない40枚は。花村萬月先生の小説指南書にあった言葉だ。

 目の前が真っ暗になった。山道を歩きながら考えていた僕は思い出してしまったのだ、大昔にその手の小説を誰に求められた訳でもなくほんの思いつきで書きちらし机の引き出しに入れ鍵をかけたことを。誰かに見られでもしたら。飛んで帰って見まわしたが異状はない。いや、あった。そこには黒い下着が脱ぎ捨てられていた。そして、(以下39枚略)

 誰だったのか絡みついた細い指は? 義母か義姉か義妹か。恐らく夢だ。ここは山の中なのだから。

「つまらないわ。せっかく鍵をこじ開けたのに通帳もカードもなくてゴミの束だけ」

 目の前が暗転したのは山頂からバサバサまき散らされたせいだった。

410文字

反古の視点で語ってみました。


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