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トラネキサム酸笑顔 バレエ編(?)

 夕暮れのシラトリ薬局での魅惑の瞬間、錠剤がクスリと微笑み少女の姿に変身した。君といると傷ついて血を滲ませていた心も癒された。君は誰なの? 悪い魔女に呪いをかけられたんだね? 愛する人に巡り会えたら元の姿に戻れるんだね? でもこれからは僕らずっと一緒だからね? 
 だけど次に行ったら君はいなかった。代わりに別の名前の女の子がいた。果たして僕にはわかっていたのか、その子が本当は君じゃなかったことに? 名前だけはよく似ていたんだもの、本当は魔女の娘かも知れないなんて気がつかないよ。でも求めていたのは傷ついた心の出血を止める成分だったから、店員さんもこちら同じお薬ですけどお値段はお手頃になっていますよと説明するから。もう何を言っても言い訳にしかならないね。トラネキサム酸は成分の名前でその名前で出しているのはジェネリック薬品だった。

 わかったから。ポケットの中のこれはどちらだろうかバックヤードで話をきこうと笑顔で店員。

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たらはかに様のお題に参加しています。

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