「ちょっとアナタ。専業主婦の家庭内労働を時給換算すると1500で24時間×365日だから私の年収は1314万ですってよ」
スマホを見て妻が言った。
「時給1500？　料理も育児も介護も別にプロって訳じゃないから1000でいいだろ？　8時間は睡眠その他としたら600万弱。ただし家の名義は俺だから家賃光熱費は経費として差し引く。俺が手取りをそっくりキミに任せたらそんなもんだろ」
妻はポカンとしたがそれ以上言い返してこなかった。だがその話を小耳にはさんだ国税庁と社保庁と市役所の奴らが
「貴女年収600万弱ですか。所得税と社会保険料と地方税払って下さいね」
と130ほどもって行った。いや年金はもっと高いかも知れない。二度にわたって天引きされ残りも91%の値打ちだが妻は自分が社会に参加し貢献していると喜んだ。

　何年かに一度忘れた頃に到来する専業主婦バッシングの波。旗を翻し棒を手にアイドル論客は炎上する。オルレアンの乙女のごとく。

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