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花吹雪 vs オバケレインコート

「花吹雪だ!」僕の姿に気をとられた君たちは何かを忘れていたんだね。桜の大木の下でビニールシートを広げて缶入り飲料で四隅に重石をしてわいわいガヤガヤ楽しく盛り上がっていたけれど強風に煽られて僕の花弁が大量に流れに降って川なのか岸なのか見分けがつかなくなっているよ。今度は雨だ。みんな顔を僕と同じ桜色に染めてゲラゲラ笑っている。「いいことを思いついたぞ」君たちはビニールシートをレインコートがわりにしてゾロゾロと帰途についた。おいおい空き缶をそのままにしてはダメだよ。

 それであなたは酔っぱらったお友だちが桜でいっぱいになった川の中にズブズブと進んで行くのを止めなかったのですか?
僕はそのとき、全国学力調査の国語の問題にならって身近な物になったつもりで短い物語を作っていたものですから。花吹雪(僕)オバケレインコート(君)です。とちらも実際には発言しませんよね。

 彼の口調にはシートに入れてもらえなかった悔しさが滲んでいた。

410文字

昨日たまたま知ったのですが全国学力調査の中学国語で身近なものになった物語を作る問題が出題されていました。最近の傾向でしょうか。SNSでの創作活動は若い人たちの間でも盛んに行われているのですね。


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