見出し画像

面接で聞かれたモヤモヤを、数年考えた結果。

本を読むこと、について最近考えることがあって頭の中で考えていても仕方ない、と思って文章にしてみる。そして、個人的に読んで良かったと思う本を何冊か紹介してみる。

今でこそ、読書という習慣というか暇さえあれば本を読む、みたいな、本を読む時間が言わばストレス発散の時間とイコールになるが、昔は本を読むことがかなり苦手なタイプだった。
特に、小学校・中学校の「朝の読書の時間」は苦痛以外の何物でもなく席替えで窓際の席をゲットしてはボケーっと窓の外を眺める時間だった。高校でも大学受験のため(だけ)に新聞は読んでいたけど本を読んでいたという記憶はほとんどない。大学でも、化学の専攻だったのもありレポートや論文を読むことはあれど好きな本を読んでいたという記憶がない。なんなら、実験室で終わらないデータ収集や分析にかかる待ち時間にイライラしていた(世界の化学界の方々、すみません!)

新卒で社会に出たとき、仕事での書き物を多さにびっくりしたことを今でも憶えている。復命・稟議・企画・報告・計画・依頼、など何かをしようとするたびにまずは書類を書いて上司から許可をもらわないと何も出来ないという、業務のあり方に戸惑ったのが最初。
何より書類を出すたびに、ダメ出し・突っ込みの嵐でさすがに滅入ってきたころ、どうせなら、きれいな日本語で書類がかけるように努力しよう、と唐突に思い立ち、少しずつ好きな本を読み始めた。急速に本を読む時間が増えたのは、青年海外協力隊の時からで、理由は単純で時間があったから。でも、海外にいるため日本の書店に本を買いにはいけないし、かといってkindleが流行った時でもなかったので、ドミトリーの本棚にある大量の本から面白そうな本を選んで、自分の家に持って帰って読んでいた。これが、本を読むようになったきっかけであると思っている。

以前、なんかの採用試験の面接で「どういう本を読むの?」と聞かれて「書店に行って面白そうな本を選んでるので、特定のジャンルなどはないです。本棚には広く遍く統一感のない本が並んでいます」と答えたことがあり、私の答への返事が「今は欲しい本があればネットでポチっとできるのに何でわざわざ本屋に行くの?」というもので、別に反論があるわけでもないがその時、モヤっとした。そのモヤ、を考えること数年・・・、やっぱり本も人と同じでいい本に出逢えるかって、縁とタイミングであると思うようになった。オンラインでの購入も明確に欲しい本が決まっている場合ならそれでいいし、なんなら今、その場合は私もオンラインで購入している。でも、なんか本が読みたい、という時は書店に行って出逢える限りの本に出逢い、縁のある本を買うことが、選択肢や可能性を狭めないのかなと。これは、本だけに限らず、仕事やプライベートもいつでも、こういう考え方が出来る、もしくは想像できると様々な時間の共鳴が、割と有意義だったりする。時間の投資対効果、とでも言うんだろうか。

その、時間の投資で、ある意味有意義だった本を何冊か紹介する。ネタバレしないように、サラッと。



1、「チーズはどこへ消えた?」

この本、確か、ベストセラーだった気がする。
想像以上に奥深く、チーズのインパクトが大きくて1回読んだだけではなかなかピンとは来なかったけど、時間を置いて2回、3回と多読すると、著者のメッセージがだんだん分かるようになった1冊。シリーズもので、1冊100ページもないので、本自体はとても読みやすい。

2、「フォレスト・ガンプ」

人生、というものを考えさせられる本。ある意味合理的、ある意味めちゃくちゃ。大学時代、「科学英語」という講義をしてくださっていた先生が、「科学英語というものは」という核心を説明するのに、このフォレストガンプとアルジャーノンに花束を、を題材として使用していた。大学時代に知り、最近読んだ本だが、考えようによっては、何にでも通じ得る1冊。

3、「選択の科学」

大学時代の先輩が薦めて下さった本。速攻で書店に走った(笑)
著者は盲目の大学教員で、研究や分析とともに、「選択」することについての考察がなされている。

だれが選択を行うべきか、選択に何を期待するのか、選択の結果をどのように判断すべきかなど、選択に対する人々の考え方が、国によって文化によってまったく違うことに驚かされる。
選択の科学より、抜粋

この一文がなんだか衝撃だった。ちなみに、この本、とある人に貸したらえらく気に入ったようで、「これ買い取る」と言われ、本ではなく現金を返されたため今、私の手元にはない。(引用は読書ノートに書き留めたもの)

4、「ある奴隷少女に起こった出来事」

国際協力や異文化理解、多文化共生に関わる人にはぜひ読んでほしいと願ってしまう、ノンフィクション。
文字通り、南部アメリカでの奴隷であった少女は自由を手に入れるまでの物語。生々しさもあるが、強く「生」を形にしようとする描写が、歴史の中で起こっている出来事の環境や価値観の違いについて考えさせれる。

5、「13歳からの地政学」

地政学の基礎がとても分かりやすく書いてある。~学とタイトルにはあるものは難しい、読みにくい印象だが、これは「学」というより、今世界で起こっていることを、分かりやすく・詳しく知ることができる。最後のどんでん返しは、この本の核心だと思う。13歳から、と言わず、何歳からでも読んでみて!と言いたくなる。

6、「もうひとつのヨーロッパー多文化共生の舞台ー」

(仕事柄)なんとなーく、気になって買ってみた1冊。この本、なんと初版が1996年。27年前に書かれた本。27年前から、「多文化共生」という言葉が書に使用され、論が立てられていることにまず、驚いた。論文ベースで書かれていて内容は超絶専門的であるけれど、躓いた時に読んでみると、「なるほど」と思える文章や言葉が多い。

ヨーロッパを訪れる日本人は多い。だが、ほとんどの人たちは、フランスに行けば「フランス」を見ようとするし、ドイツに行けば「ドイツ」を見ようとする。それはそれで当然のことである。しかし、人間の心の視線というのは、あらかじめフランス的、あるいはドイツ的と刷り込まれたものしか見ようとしない。ブランドものの店の紙袋を提げて、楽しそうにおしゃべりをしながらサンジェルマン・デ・プレの通りを歩く女性の脇に、作業着を着て道路の清掃をするアルジェリア人がいたとしても気づかないのである。
もうひとつのヨーロッパ、より抜粋

この大フレーズをどうにか自分なりに咀嚼を繰り返しながら、意味と意義を考えて、誰かに伝えられるようにと頑張ったけど、結局、今もちゃんと捉えられずに悶々としている。

7、「ここでは誰もが嘘をつく」

最後は、ミステリー小説。ご縁あり、献本頂き(しかも嶋中潤さんのサイン本を)読ませて頂いた。
医療刑務所の中で起こるミステリー。架空ではあるけれど、これは世の中で実際に起こっているだろうなと想像がつく。人物の心情や葛藤、読み込んでいくと、つい感情移入してしまう。コミュニケーションが取れることが当たり前、という前提ではない相手にどう立ち向かうか、ミステリー小説ではあるけれど、大切なことを学んだ気がする。



日本の教育はどこか一方通行で、正解を出すために結構な時間が使われている。そして、それを暗記させられる。それが、テストに出て、点数として評価される。でも、暗記して、それがそのままアウトプットできることは、テストくらい(と思っている)
社会に出たら、正解のない問ばかりでそれにどう対応したらいいか分からなくなる。だから、せめて、双方向性がある、本を読むことは大切なのだと実感している今日この頃。


この記事が参加している募集

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?