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趣味は仕事にできなかった

今日は鍵穴にこんにゃくでもねじ込みたい気分だ。

好きで聴いていた音楽が、いつしか"聴かなければならない"になっていく。

なんでこうも人は変わってしまうのだろう。

音楽が好きで、CDショップで働いてみようと思った。
新しい音楽に出会えるんじゃないかとか、単純にCDを買う側から渡す側になってみたかったという私情だ。

だけどいつしか新しい音楽を知らなければならない、多くのジャンルを知っていなければならない、に変わっていった。

誰も何も言っていないのに、
「お前は無能だ。」
と、ずっと昔から私の脳に住むオツボネ悪魔が言ってくるのだ。

何年か前にテレビで、EXILEのTAKAHIROさんが、サクラダファミリアの彫刻をされている外尾悦郎さんを訪ねに行く…といった内容の番組があった。

好きでしていたダンス(もしくは歌)が仕事になってから“辛い”、“プレッシャーになる”、みたいな内容だったと思う。

その相談に外尾さんは、たしかこんなふうに答えていた。

「自分で自分を高めていくしかない。」
「自分と勝負すること。」

当時学生だった私はあまりにも自分と重なる部分があって、強烈に脳に刻まれた。
この時の言葉が当時の顔のまま、今でもひょこっと顔を出してくるのだ。

それでも、私は今悩んでいる。
こんな前向きな言葉を知っているのに。

それほどできた人間ではなかったのだろう。
どこまでいっても中途半端だなあ。と、また落ち込んでしまう。

きっと、趣味は仕事にするべきではないのだ。
少なくとも私は、だ。

すぐに結論を出す必要はないのかもしれないが、趣味を楽しむために、仕事は別業界に就いて、平日は死んだ魚のような目で過ごすことがわたしには向いているのかもしれない。

たまたま就いたその仕事で、“水を得た魚”になることができれば、また自分に少しは期待できるかもしれない。

やりたいことをやるための前向きな転職だと言い聞かせて、立派でもない経歴に華を咲かせて、死んだ魚のような目で面接会場へと向かう。



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