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クリスマスとリサイクルボックス

街は早くもクリスマスモードで、浮かれたサンタクロースがあちらこちらに吊られてこちらを見つめている。気がする。 ふと目に留まった自動販売機。その横にある赤いリサイクルボックスは、自分の任務を全うできているだろうか。 彼の本望は、隣で煌々と輝く自動販売機から出てきた空の容器を飲み込むことである。 しかし彼らは、もう入らないよ!と顔を真っ赤にしていたり、口のサイズよりもずっと大きなものを押し込められて、だらしなく吐き出してしまっていたりする。 そのせいで頭の上に、彼の本当に

    • キリエのうた

      日曜日の夜、友達とお別れして1人向かった先は映画館。 初めて行った小さな映画館で、Mサイズの烏龍茶を片手に『キリエのうた』を鑑賞してきた。 ひとことで言ってしまえば、恐ろしかった。 波田目新平とキリエ(路花)の暴力的なシーンは、あまりにも恐ろしくリアルで、怒りと恐怖のぶつけ合いの中で、私は息もできないほどだった。 キリエ(路花)の歌唱シーンは、どの場面においても鳥肌が立つほど恐ろしかった。 純粋な彼女が喉を震わせて自分でも目の前の人でもなく、どこか遠く、何かをみている

      • 梅雨、ある日の道路にて

        歩いていると、時折、なぜ右足と左足を交互に出して進んでいるのかと考え出す瞬間がやってくる。 ゲシュタルト崩壊の最上級みたいな状況だ。 当たり前に歩いてきたし、疑問に思う必要もないのに、なんでも手に入る、この進化した時代には、あまりにも非効率なんじゃないかと思う。 そろそろどこでもドアや、瞬間移動が実現してもいい頃合いではないだろうか。 ・ そういえば、6月の梅雨まっさかり、 道に『え』が落ちていた。 見つけた瞬間、「え?」と声がでた。 何が落ちているより、なんか、

        • 夏、到来

          夏がはじまった。 梅雨時期に訪れる束の間の晴天。 テレビが早くも真夏日だと教えてくれた。 正午を少し過ぎた頃には、大阪城野外音楽堂で開催された音楽イベントに足を運んでいた。 昼間からビール片手に、大人たちがステージから放たれる音楽にからだを揺らして、平日の満員電車からは想像もつかないほど自由に楽しんでいた。 ずっと夢の中にいたようなグルーヴを感じるイベントだった。 照明も目立たない、炎天下の明るいステージから、あっという間に日は暮れて、夕暮れ時のアーティストのステー

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          趣味は仕事にできなかった

          今日は鍵穴にこんにゃくでもねじ込みたい気分だ。 好きで聴いていた音楽が、いつしか"聴かなければならない"になっていく。 なんでこうも人は変わってしまうのだろう。 音楽が好きで、CDショップで働いてみようと思った。 新しい音楽に出会えるんじゃないかとか、単純にCDを買う側から渡す側になってみたかったという私情だ。 だけどいつしか新しい音楽を知らなければならない、多くのジャンルを知っていなければならない、に変わっていった。 誰も何も言っていないのに、 「お前は無能だ。」

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          自己肯定感の低さと人に嫌われたくないという感情について

          最近タイトルの結論に行き着いた私です。 この頃はどうも皮肉な考えばかりが頭に浮かんでしょうがない。 外面ではいつも冷静で、余裕のある表情を浮かべているのに、内面はグラグラ煮えたぎった激辛カレーのように、感情の波の中に溺れかけた冷静を保つことに必死なのである。 誰かこの外面とかいうずるい殻を取り払ってくれないだろうか。 自己肯定感が低いと名乗る人というのは私の周りにも結構いるのだが、みんながみんな 自己肯定感が低い人=謙虚な人 という訳でもないらしい。というか、私がそう

          自己肯定感の低さと人に嫌われたくないという感情について

          死神はすぐ近くに

          最近、伊坂幸太郎さんの『死神の精度』を読んだ。 感想としては、"いる” だ。 面白い作品であることは大前提として、"いる”と思った。 この小説に出てくる"千葉“と名乗る死神は、1週間特定の人物を調査し、死を「可」とするか「否」とするか判定を下す。 人間の姿をして近づいてくるので、普通はまさか死神だなんて考えもしないだろう。 となると、実際に私の周りにも死神が調査に来ているかもしれない!と、何もかも自分に当てはめないと気が済まない、超感情移入野郎の私は思ったのである。

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          未知の新年こんにちは

          あけましておめでとうございます。 文章を書くのは、思っていたより何億倍も体力がいるんだなあ、と感じた2022年でした。 3日坊主を体現した2022年でした。 3日坊主さんにも申し訳ないほどのナマケモノでした。 行動しよう!とノートを始めたものの、書き溜めた文章を世に公開できるほどのものにするのはなかなか根気が必要で、(公開できるほどの文章ではないのですが、、、そこは 自己満足の世界でのおはなし。ということで受け流して頂けると幸いです、、、) とまあ簡単に3日坊主さんに

          未知の新年こんにちは

          脱・モブキャラ

          私は絶対に敵わないものが苦手だ。 ティラノサウルス、ゴジラ、フリーザ… そんな夢の話かよ!とツッコミを入れたくなるが、本当に苦手なのだから面倒臭い。 2020年に『モンスターハンター』がポール・アンダーソン監督によって映画化された。私はそれに関して、無知の中の無知であった。ただ友人に見に行こうと誘われたので軽い気持ちで映画館へ見に行ったのだった。 結果はこうだ。 終始耳と目を塞ぎ、塞ぎきれなかった大音量に怯えるあり様、なんて滑稽だ。正直二度と見たくない。 こんなことが

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          キャンディスコタイム

          月に一度必ず訪れる感情の波に名前を付けるなら、それとはかけ離れた、できるだけポップなものにしたい。 ここではキャンディスコタイムと呼ぶことにしよう。 キャンディスコタイム期間"外"の私の脳内はこうだ。 「平凡だ。」 「毎日同じことの繰り返し。」 そんな日常に私は何にも期待しない。それゆえ何もかもつまらない、といった顔をして生きている。 だがしかし、そのキャンディスコタイムとやらがやってくると、私の毎日は180度変わって見える。とにかく朝起きて1番に見るテレビのニュースが

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          空虚

          誰かに私の肉壁の内側を見られたなら、そこには見にきたことを後悔するほどのがらんどうが広がっているに違いない。 最近友人に個性的な髪型だと言われたことがある。私の髪は、黒色長髪というありきたりな髪型ではあるのだが、たしかに横髪と言われる部分が、前から10cmほど鼻の延長線程の長さなのだ。最近流行のウルフカットとやらの概念を飛び越えたかのようなその髪型は、それに憧れた訳でも、個性を磨きたかった訳でもない。会話の下手な美容師さんと会話の下手な私のすれ違いで、ジョキッと、それはもう