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ほんとうに必要なものを|cucumuのニットができるまで 1/4

こんにちは、シフトブレインでプランナーをやっている浦川です。
インベントリの記事のときはお世話になりました。たくさんの人たちに読んでもらえたようだと広報の坂さんから聞きました。(とってもうれしい)

はてさて、今回もこのnoteにお邪魔したのにはわけがありまして。
最近僕たちがやっているプロジェクトで『cucumu』というものがあるんです。そのプロジェクトについて少し紹介させてほしいなって思ってまたお邪魔しちゃいました。

そうですね、どんなプロジェクトか一言で言うと…『気づいたらオリジナルのニットブランドをクライアントとともに立ち上げてたプロジェクト』という感じです。

こんな感じの商品です。モデルはkinokoさん!
男性モデルはmasayuki kawabataさん

ただそうなったのには深〜い訳がある!一言じゃ言い表せない!なので、今回もnoteの記事にさせていただきました。全4回のシリーズ記事。みなさんもしよかったら読んでみてください。(僕は初回だけ担当します)


寺田ニットさんとの出会い

始まりは2020年の12月15日のことでした。その日、僕とアートディレクターの藤吉、アカウントの岡田は、山梨県は市川三郷町へ向かうため、身延線の車内にいました。富士山と南アルプスの間の山麓を縫うように走る車内はなんとも穏やかで、束の間の小旅行という感じ。

もちろん遊びに来たわけではありません、新規で問い合わせをくれた寺田ニットさんの元へと向かっていたんです。

寺田ニットさんの最寄り駅「市川大門」は竜宮城のような駅舎でかわいかった。

寺田ニットさんは国内有数のニットメーカーさんです。一本の糸から無縫製でニットを編む『ホールガーメント製法』で有名な、ものすごい技術をもった会社さんです。

そんな寺田ニットさんから『自社の製品を売るためのECサイトを作りたいから協力してくれないか?』と問い合わせがあったんです。

それなら実際に作っている現場や働いている方の姿を体感しにいかなくては!と思い立ち、僕たちは電車に飛び乗ったわけです。

たくさんの織機が、こつこつニットを編んでいました。とっても綺麗な工場!

なぜECサイトを?想いを受け取る

いろいろなお話をお聞きしました。社長の幼少期のお話から、なぜニットメーカーを創業したのかのお話、そして現在。
肌に優しい暖かいニットを、自社販売することで、なるべくコストを抑えながら、お客さんの手元に届けたいという思い。そしてできれば愛着をもって、永く愛用してもらいたい、それが地球の環境にも、未来のためにもなるのだということ。そのために素材選び、製法、すべてにこだわり抜いて、良いニットをなるべく適正価格で生活者に届けるぞという強い決意。ものづくりに対する誠実な姿勢や、思いのこもったお話をお聞きして、(こんなふうになりたい)と憧れをもってしまいました。
※この辺りの詳しいお話は、寺田ニットさへんのインタビュー記事(第3回)でまとめています。

ニットを編むために糸を巻く機械。カタカタとリズミカルな音がします。

(サイトを作るだけで良いのかな?)

僕は悩みました。お話を聞けば聞くほど、ECサイトをつくるだけでいいのだろうか?という考えが強くなっていったのです。

(商品を販売できる箱を作るだけでいいのかな?)
(作って終わりになってしまわないか?)
(それが彼らのためになるのかな?)
(もっと僕たちになにかできないかな?)

そんなことをうんうん悩みながら、僕たちは甲府駅前でほうとうを啜っていました。ほうとうを食べ終わったころには、みんなで決めていたと思います。

「よし!ECサイトはもちろんのこと、彼らの熱意を純度100%で届けられるようなニットブランドのコンセプトからロゴ、ビジュアル、商品のデザイン方向性まで、ぜーんぶ提案してみよう!」

って。僕たちができる最大限のことを提案することを決めたんです。

必要なものはなにか?

DNAの定義

まずはお聞きしたお話を整理するところから始めました。このプロジェクトがなぜ立ち上がったかの因果関係や背景にあるストーリーを理解するためもありますが、まず整理を行うことで、一つ一つの情報をしっかりと咀嚼し、僕自身の血肉にするためです。そのためにはひとつひとつお聞きした話をいろんな角度から見直したり、関連づけてみたりすることがとても大切になっていきます。

そうした過程を経ることで、プロジェクト自体のDNA【そのプロジェクトが持つ個性(そうたらしめる要因)】を抽象的に定義することができるんです。また、これはのちにデザインやコンテンツなどの制作物を考えていく上でも活用できる軸になってくれます。なので、なるべく自分一人ではなくチームメンバーを巻き込みながらやることにしています。

まずはしっかり読み込み、理解し、当事者と同化する。そのあとに第三者の立場に立ち戻って考える。まずは立場のリミッターを外して、いろんな情報を摂取することがとても重要だと考えます。

そうすると自ずとクライアント、クリエイティブ、立場の垣根を超えてひとつのチームとしてものづくりに臨める下準備ができあがっていることが多い。その雰囲気はアウトプットにも反映されると僕は思います。

想いの言語化

また、今回のプロジェクトには『伝えるべき想いがある』とも感じました。僕自身が寺田ニットさんたちと実際にお会いして、お話を聞くことで感じた『想い』です。それをなるべく純度高く、それでいて端的に表現できる、ストーリー(背景を整理した文章)やコンセプト(想いを言語化したもの)も定義してみました。

『こんな背景があったよね』の整理や振り返りにも使えるかなって。
コンセプトの『つねにやさしく』は、実際に採用されました。

コンセプトとして「つねにやさしく」という言葉を定義しました。
寺田ニットさんからお聞きした話はこの言葉に集約できるのではないかと考えたんです。つくるとき、売るとき、袖を通すとき、そしてこの先の未来のとき、『つねにやさしく』ありたいと思っている。それが根幹にある考えなのではないかと考えました。

ネーミング(主語の確立)

このコンセプトテキストを作ったときに、主語が必要だということに気づきました。このECサイトで販売されるニットたちを包括して言い表すブランド名のようなもの。そこについても考えてみました。先ほどまとめていたDNAやストーリーやコンセプトを見返しながら、適切な言葉をいくつか定義していきました。『cucumu』はその中の一つでした。

「くくむ」とよみます。『包む』の古語。

ニットとして着る人や環境を優しく包み込むような存在でありたいという想いからつけました。
また「羽(は)で含(くく)む」親鳥が小鳥を大事に「羽で包む」という意味から生まれた「育む(はぐくむ)」という意味合いも込めました。未来につなげていくものづくりを体現する、やさしい印象を持たせたかったんです。

また『c』と『u』と『m』が続く形状が何かニットの網目のようだなと思ったんです。だからこの言葉を提案させてもらいました。
それらを引っ提げて、初回提案へと向かいました。当時の日記を見返すと「いいものができたけれど受け入れてもらえるかとっても心配」と書いていました。そりゃそうですよね、完全なるおせっかいですから。

「こういうことが言いたかったんだ」

正直初回提案時は緊張しました!ECサイトについての提案をうけると思って集まってくれた寺田ニットのみなさんに、ブランドとしての思想の言語化からネーミング、ブランドコンセプトの提案をするんですから。

たとえお題がある程度決まったお願いであっても、本当に必要だと感じられるものから提案すべきだと考えています。そうじゃないと、仕事として『誠実さ』に欠けるような気がするんです!だから勇気を振り絞って提案に臨みました。

すべて提案し終わったあと、寺田社長から「自分はずっとこういうことを言いたかったんだ。本当にありがとう」という言葉をいただきました。とてもうれしかった。(そしてほっとしました)

そのとき自分自身がほんとうに必要だと感じたものを提案してよかったと思いました。この仕事にはさまざまな制約がつきものです。でもその制約の中で、縮こまりすぎずに、プロジェクトの出発点の設定や提案する深さを再考することでよりよいものづくりができるかもしれない。そんなことを感じられたとても印象的な出来事でした。

といってもこれは本当に始まりの始まり!

ここからAD藤吉にバトンを渡し、ブランドのビジュアルデザインはもとより商品のデザイン方向性についても提案していくことになります。次回は藤吉からそのあたりを説明してもらおうと思います。

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