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青少年の越境機会のデザインを考え始める

越境とは

そもそも越境とは何か。越境学習は、教育や企業の人材育成の文脈でよく聞くようになりました。

●越境学習とは
ビジネスパーソンが所属する組織の枠を自発的に“越境”し、自らの職場以外に学びの場を求めることを意味します。企業内研修とも、自宅での個人学習とも異なる“サードプレイス”での学びと知的交流を重視することが越境学習の特徴で、働きながら社会人大学や民間のビジネススクールに通ったり、社外の勉強会やワークショップに参加したり、具体的な選択肢は多岐にわたります。

出典「日本の人事部」

社員の放浪、歓迎 なぜ越境が人を鍛え、組織を強くするのか』では、職場の内外を行き来する越境にある学習論や越境の現象を俯瞰的に整理されています。

これまでは長期雇用を前提とした「組織社会化」で、垂直学習で熟達を進めることで、社内のキャリアを積んでいました。ゆえにOJTがずっと機能していましたが、組織社会化ではなく個人の社会化として、キャリアが個人に解き放たれたとき、学習機会を社外に求めるようになりました。

NPO法人クロスフィールズさんの「留職プログラム」は越境機会の代表事例の1つでしょう。

熟達を進める垂直学習

こうした越境のなかで扱われる垂直学習と水平学習について、昨今のT字型人材の要求ともつながります。T型人材とは、特定の分野を極めながら、その他の幅広いジャンルに対しても知見を持っている人材のことを指します。

出典:https://hrnote.jp/contents/soshiki-tgatazinzai-20210624/

熟達の学習理論として有名な「正統的周辺参加論」では、学習者は周辺から始まり、所属先への主体的参加を続けて、中心的存在を見習って参加の度合いを徐々に深化させていくことを学習と捉えます。発達段階に合わせて様々なメンバー同士が交わりあい学び、学習者には「最近接領域」と呼ばれる発達段階に合わせたちょうどよい難易度の課題が与えらえ、効果的な段階的発達を促進します。

青少年分野における越境

青少年分野における越境は、学校→学校外と考えることができます。学校外の青少年健全育成活動は全て機会として当てはまるとも思いますが、一つの事例として新庄・最上ジモト大学推進コンソーシアムさんが運営する「ジモト大学」などがあります。

正統的周辺参加論では、所属と正統メンバーが必要で、熟達という点から考えても、越境先の人たちとの関わり合いをいかにデザインできるかは重要です。

また、青少年分野の越境を考えるときのキーワードとして「参加(participation)」も大切だと思います。OECDのEducation2030プロジェクトでは、生徒グループが、ロジャー・ハートが1992年に開発した「参画の梯子」モデルを「共同エージェンシーの太陽モデル」に発展させました。

共同エージェンシーの太陽モデル

こうした地域の人たちとの関わり合いや青少年の参加がデザインされていて、参考にしたい事例の1つとして「さとのば大学」があります。

参与観察としての参加

越境は、居心地の良い場所から飛び出す行為です。心の安定を求めるなら、やや億劫になることもあると思います。僕もそうです(笑)

正統的周辺参加論の周辺(=ハードルが低い行為)から始めるという点で、参与観察も選択肢の1つかと考えます。参与観察とは、社会学や文化人類学などで用いられる調査方法です。

●参与観察とは
社会調査の方法の一。調査者自身が調査対象である社会や集団に加わり、長期にわたって生活をともにしながら観察し、資料を収集する方法。

出典:コトバンク

参与観察でまず求められるのは、観察対象となる(越境先の)集団との信頼関係の構築です。信頼関係を築きながら、相手と話をする中で、その集団でよく使われる言葉や用いられる意味、大切にしていること、行動特性などを理解・分析するアプローチです。

参与観察は調査法なので、これを参加方法として転換すると、ジョブシャドウイングが近いのではないかと考えます。

越境のデザイン

この分野で僕はまだ実践が少ないですが、青少年の越境機会について今後少しずつチャレンジしていきたいと思っていまして、越境先におけるメンバーの整理・可視化と参加のグラデーションから考えていこうと思います。

あともう1つ、参考事例として株式会社Edoさんの「Edo New School」を参照します。

参考文献


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