見出し画像

フィンランドの旅vol.7:デジタルと若者

Verke Centre of Expertise for Digital Youth Work in Finland(デジタルユースワーク専門技術センター「ヴェルケ」)に訪問。

このVerke訪問については、けんせいさんがめちゃ読みやすい記事でまとめてくださっているので、そちらもどうぞ!(僕はダラダラと書き過ぎましたw)

Verkeについて

▼HPはこちら

Verkeでは、デジタルをつかったユースワークができるように、ユースワークに関わる人たちを支援しています。その他、ユース団体の資金繰りのコンサルティングなども行っています。

政府戦略の1つとしてデジタルユースワークがあり、Verkeは政府から資金提供を受けている団体の1つです。(デジタルユースワークの分野で13の団体が該当)

8人の職員で運営しており、NGOや政府関係の企業と協力、EU諸国との連携もあるそうです。


ユースワークのDXとは

ユースワークにおけるデジタライゼーションは以下の4つ

Digital Youth Work
Digital Services
Digital Solutions
Digital Infrastructure

Verkeはデジタルユースワークを、デジタルメディアを積極的に使いこなし、ユースワークと融和させることと定義しています。

デジタルユースワークは、小さな1面にしか過ぎず、どのユースワークにも必ず関わってくる

とヤルノ(トップ写真左のフィンランド人)は話します。つまり、デジタルはヨコぐしであり、ツールである。今話題のデジタル庁もそうですね。


現代において、ソーシャルメディアやテクノロジーは様々なシーンで存在しています。

✔つながるツールとしてのSNS
✔アクティビティとしてのゲーム
✔生活空間に機能としてあるネットバンク
 など

デジタル化されていく生活の中で、これからの若者は、いかにそれらと付き合っていけるかが求められています。フィンランドでも環境問題への関心がネットで高まり、現実でデモが行われたり、デジタル世界が現実世界に影響を及ぼすことも多くなっています。

そうしたデジタルメディアを使える若者たちに遅れないように、ユースワーカーもまた、デジタルメディアを活用したユースワークができることを目指します。しかし、ユースワーカーは、デジタルメディアに興味をもっているものの、どう使っていいか分からない場合も多いとのことです。


デジタルユースワークの事例

■ソーシャルメディア■

大人が若者とコミュニケーションをとるときに、対面ではなく、オンラインでアバター同士のやりとりにすることで、友好的にコミュニケーションがとれる場合も。この感覚は分かります。

また、インスタグラムのDMで若者の声が集めたり、chatbotを使ったソーシャルアウトリーチもあります。日本だと、LINE相談とかのイメージですかね。

■ゲーム■

フィンランドでも、ゲームはとてもポピュラー!
ユースワークにゲーミングが入ってくるのは当然の流れでもあるとのことで、ゲームする場所を設け、そこに若者を集めることはとてもやりやすくなったそうです。

その1つの事例として「LAN Party」と呼ばれる取り組みがあります。

《LAN Party》
・最大のもので3,000人が参加。少人数でも開催可能。
・主催側に回っている若者もいれば、参加者として参加するユースワーカーもいる。
・「この大人とゲームやりたい!」という若者の要望から開催されることもある。

これは単純にゲームを楽しむだけの機会ではなく、ゲームをしている若者の隣に大人が座ってコミュニケーションをとるなかで、ゲームとは関係ない彼らの本音を聞ける機会でもあります。

ゲームを1人でしている若者が多い状況もあり、そこに一緒にプレイしてくれる、安心できる大人を増やしたいという話もありました。


ユースワーカーへのサポート

Verkeが行っているサポートのうちのいくつかはこんな感じです。

ダイヤル式の電話を解体して、違うものに改造してみるワークショップをワーカーが体験してみる
mBotを使ったロボットプログラミングの器材の貸し出し
数ある文書から必要事項をAIで抽出できるchatbotの制作


フィンランドの現在地

Verkeが行ったユースワーカーへの定量調査によると、

①デジタルユースワークを必要だと考えているユースワーカーは50%
②オンラインと対面とで生まれる効果は変わらないと考えるワーカーは49%

②について、2年前の調査では19%だったそうで、めざましい変化です。年齢が若いワーカーほど「効果は変わらない」と答えているようで、デジタライゼーションに関する世代間ギャップはあるみたいですね。

ユースワーカーへのスマートフォン貸与率も、19%(2013年)から2019年には98%まで高まり、デジタルツールで若者とコミュニケーションをとっていると回答したワーカーは91%となっています。

ヤルノ曰く、課題感としてはこんな感じかなと僕は受け取りました。

・デジタルユースワークの具体的な評価指標がまだ少ない
・デジタルユースワークはまだ属人化している段階
・デジタライゼーションを強化するための時間を確保しにくい

もっと大きな視点でデジタルユースワークを捉え直し、戦略的な動きが必要だとヤルノは話していました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?