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フィンランドの旅vol.6:社会参加と包摂

ヘルシンキ市のユースワーク

Youth Act(若者法)をもとにヘルシンキ市の行政はユースワークをどのように運用しているのかを、ヘルシンキ市職員でユースワークに関わるミッコから聞きました。

ミッコは、ユースワークの基本的な特徴を3つ挙げます。

①若者の参加・巻き込み
②learning by doing
③若者同士で学び合う

ユース活動には、若者の多くが「友達が来ているから」という理由で参加するらしいです。ユースワークの特徴も含め、このあたりは日本も同じ感じです。

フィンランドでは若者研究に関して強い伝統があります。ユースワークの研究者を、地方行政がフルタイムで雇用しているレベルです。すごい!


若者のparticipation

ヘルシンキの若者が1年に1回は、何かしらの社会参加(participation)をしてほしい。

ミッコはそう話します。

ヘルシンキ市は、Ruutiという若者のための社会参加システムをもっています。地方行政への参加や政策提言を行ったり、若者部門の次年度予算を決めたりしています。

そのシステムの一つとして「ユースカウンシル(Youth Council)」があります。いわゆる、若者評議会(青年協議会)です。

ヘルシンキのユースカウンシルについて
・13歳~17歳の若者が対象(18歳になれば国の選挙で意見表明できるので)
・基本的には自薦で80~90人から30名が選出される
・任期は2年(以前は1年だったが、延長された)

また、若者部門の次年度予算の決定もRuutiの中で行われます。若者の声を反映して予算が決定され、それは学校の生徒会などとも連携しているようです。

若者向けの政策づくりにおいて、彼ら本人の声を大切にしていることがよく分かります。


ヘルシンキの若者の課題

ヘルシンキ市がとっているデータの中で、

85~90%の若者がウェルビーイングよく暮らしている。

というデータがあります。
素晴らしい数字だなと思うのですが、ミッコらが着目しているのは、残りの10~15%の方です。すなわち、10人に1人の若者がドロップアウトしており、この若者たちへの支援が近年の課題となっているようです。

そこで、学生でもなく無職の29歳以下の若者が対象としたアウトリーチ型のユースワークも存在します。

学校で不登校になった子どもが出ると、学校から(行政の)アウトリーチ部門に連絡が入るというシステムになっているそうです。良い連携!

ヘルシンキでは、300人いるユースワーカーのうち25人がアウトリーチを担当しているそうです。


フィンランドのユースワークは、ヘルシンキ市のRuutiに代表されるような「社会参加(participation)」と、アウトリーチによる個別支援のような「包摂(inclusion)」のグラデーションの中で運用されています。

近年においては、ミッコが話すように、スペシャルニーズに対応する支援(=包摂)に課題の重きが置かれているのかもしれません。

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