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弊社出版物の流通について

 こんにちは、平林です。
 まもなく志学社選書創刊第一弾となる『侯景の乱始末記』が発売になりますが、弊社出版物がどのようなルートでお手元に届けられるのかを記してみたいと思います。
 直取引をさせて頂いている東方書店さんにはもう並んでいますし、「どうなっているんだろう?」と疑問に思われる方も多いかと思いますので解説する次第ですが、あくまでも「志学社の例」としてご理解いただけましたら幸いです。

 さて、弊社の出版物はいわゆる「書籍」です。これは、雑誌コードを持つ雑誌や、雑誌扱いコミックとは異なり、出版流通は大別して「書籍流通」と「雑誌流通」に分けられます。
 また、ここでいう「書籍流通」は、取次店を通じて全国の書店およびネット書店で購入することができるものをいいます。ISBNが付されていても(ISBNの取得と流通は別物です)、いわゆる「書籍流通」に乗らない出版物もありますが、見た目は「書籍」ですから、このあたりは少々ややこしいですね。

 取次店(卸業者とお考えください)を通じて市場に出る書籍にも、発売時からさまざまな扱いの差があります。もっとも広く行われているのは「新刊委託」と呼ばれるシステムで、これは一定部数を取次店さんに預け、取次店さんの持つデータに応じて全国書店に広く「配本」されます。
 しかし、弊社の出版物は少部数かつどんなお店でも需要があるようなものではありませんので、この「新刊委託」「配本」を行なっておりません。事前にご注文をいただいた書店さんへの「注文」扱いという形で出荷させていただきます。

 また、取次店さんの大手には日販(日本出版販売)さんやトーハンさんなどがありますが、弊社は直接これらの大手取次さんと取引をしておりません。これらの大手取次さんと取引を行うためには、業界で「口座を開く」と呼ばれる契約が必要なのですが、その際に必要となる資金を弊社のような小出版社はとても用意することができません。
 そのため、小出版社では大手取次さんと直接取引するのではなく、「大手取次さんに卸しをすることもできる専門取次さん」などのお世話になっていることが多いです。
 弊社がお世話になっているのは神保町の八木書店さんですが、他にも地方小(地方・小出版流通センター)さんやトランスビューさんを経由して刊行物を送り出している小出版社が数多くあります。
 
 弊社の場合ですと、まずは事前に書店さんからご注文頂いた冊数に少しプラスアルファして、八木書店さんに商品を納入します。『侯景の乱始末記』ですと、11月20日が八木書店さんへの搬入日でした。ここから八木書店さんが日販さんやトーハンさんに納入してくださいます。
 間に八木書店さんを挟んでいるぶん、書店さんに届くのには時間がかかります。また、各書店さんの店頭着日は、同じ取次店さんを通していても、地域などによってはばらつきがあります。
 最近では九州や四国への到着も、以前より時間がかかるようになってきているのが実情です。

 そんなわけで、直取引をさせていただいている東方書店さんには11月20日に並び、八木書店さんの店売(書店さん向け仕入れコーナー)にも同日に並んでいるのですが、全国の書店さんやネット書店さんには大手取次さんを経由しての納品となるため、このくらいの時間差が出てしまうのが現状です。
 ただ、弊社のような小さな出版社であっても、八木書店さんと取引させていただくことで、全国の書店さんからのご注文が可能となり、多少の時間はかかっても、在庫さえあれば確実に入手することが可能になります。
 
 小さな出版社は、基本的に本を作るだけでいっぱいいっぱいです。取次店さんは、全国の書店さんへの配送と売掛金の回収という、われわれではとてもできない部分を担ってくださっています。
 出版流通の現状は予断を許しませんが、この仕組みが生きている限り、弊社は全国の読者の皆さんに、刊行物をお届けできると思います。

 最後に、志学社選書の第二弾は、来春刊行を目標に進めています。現時点で候補は複数あるのですが、決定しだい情報を公開し、読者の皆さんや書店さんからの事前のご注文が可能となるようにいたします。最新情報は、随時Twitterで公開して参りますので、よろしければそちらもチェックのほど、よろしくお願いいたします。

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