メルカリアスリートshige

(株)メルカリ所属のパラアスリートです。 分娩麻痺という障がいで、生まれつき左腕が自由…

メルカリアスリートshige

(株)メルカリ所属のパラアスリートです。 分娩麻痺という障がいで、生まれつき左腕が自由に動きません。競技は『テコンドー』と『ブラジリアン柔術』をやってます。パラだけでなく、健常者の試合にも出場してます。

最近の記事

『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 20

●Go Bold 2018年秋 僕は生まれて初めて、 六本木ヒルズにやってきた。 こんなオシャレな雰囲気の中、 自分が場違いなことなんて百も承知だ。 いよいよ メルカリアスリートになるための面接だ。 緊張していて、 30分以上早く到着した。 少し歩いてみると、 知らない名前の お洒落で高そうなお店ばかりで、 そんな中にマクドナルドを見つけて、 何だかほっとして、 コーヒーを飲みながら、 リラックスを自身に言い聞かせたことを思い出す。 約30分後、 森タワーに入り、(株

    • 『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 19

      ●一般常識 僕は つなひろワールドを通じて、 パラアスリートとして 契約してもらえそうな企業をいくつかリストアップしていた。 その中に、 『株式会社メルカリ』 があった。 もちろん "メルカリ"の名称は TV、SNS等で耳にしたことはあった。 しかし正直、 自分には縁がないものだと思っていた。 『メルカリには、"メルカリアスリート"と呼ばれる、パラアスリートteamがあるらしい』 早速メルカリアスリートのサイトを閲覧してみた。 パラリンピック出場経験有り!

      • 『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 18

        ●ワンダビジョン 僕と妻の年齢差は13歳。 出逢った時は、 僕が42歳、妻は29歳だった。 印象的だったのは、 初めて出逢った時から、 そして 付き合い始めてからも、 僕の職業、 僕の年齢、 そして 僕の障がいのこと、 一切尋ねることがなかった。 『付き合うことになったけど、本当に自分でいいのだろうか? 彼女は何か、大切なことを見落としているのではないだろうか?』 と、こちらが心配になったほどだ。 結婚して数年経つが、 今でも時々、 『妻は本当に"実

        • 『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 17

          ●ゆれる 2018年夏、 46歳になった 僕の心は揺れていた。 これまでの人生で、間違いなく一番悩んでいた。 つなひろワールドを通じて、 パラ・アスリートとして迎え入れてくれる 再就職先を探していた。 柔術とパラテコンドーが思いっ切り出来る環境を探していた。 しかし同時に、 様々な不安も抱えていた。 バーコード頭とカッパ頭の嫌がらせで、 決して快適な職場とは言えなかったが、 毎月安定した給料を貰えていたことも事実。 日中は自分を殺して、 いまの環境で出来る範囲で、

        『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 20

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 16

          ●エイリアン 僕は過度のストレスで、胃痙攣を起こし、 救急車で運ばれた。 激痛に耐えている間、 『お腹を突き破って、チェストバスターが出てくるのではないか⁉︎』 映画『エイリアン』の名シーンが、 ずっと頭に浮かんでいた。 エイリアンに寄生された人間や、 プレデターの気持ちが少し理解出来た。 妻は仕事を早退して、 病院に駆け付けてくれた。 あえて慌てる素振りを見せず、 『ストレスだね(^^)』 と、シガニー・ウィーバーのように 冷静で居てくれたことで、 僕も落

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 16

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 15

          ●トム・クルーズ 1986年に 『トップガン』と『ハスラー2』を 観て、 トム・クルーズが大好きになった。 それまで、 ジャッキー・チェンとか、 シルベスタ・スタローンとか、 "肉体的な強さ"に憧れたムービースターはたくさんいたが、 『映画俳優としての格好良さ』 『人間としての格好良さ』 に憧れたのは、 トム・クルーズが最初かもしれない。 もちろん 僕がどう転んでも トム・クルーズのようにはなれないが、 人間誰しも、 『あんな男(女)になりたい』 という憧れが

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 15

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 14

          ●夢の続き 夕方仕事が終わってから、 高速道路を使って車で片道二時間超。 熊本でのテコンドーの練習は、 当時小学校や中学校の体育館で行なわれており、 夜21時30分頃に練習が終わると、 シャワーも浴びずに車に乗り込み、 鹿児島まで再び二時間超のドライブ。 食事は運転しながらコンビニのおにぎりを頬張った。 深夜0時過ぎに自宅に帰り着き、 シャワーを浴びて、明日の準備をして、 深夜2時前に就寝。 翌朝6時に起きて、 仕事に向かう。 そして テコンドーの練習がお休みの日は

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 14

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 13

          ●足のボクシング それは僕が柔術に出逢う、ずっとずっと昔のお話。 『"足のボクシング"と呼ばれる格闘技が、オリンピック種目になるらしい・・・』 小学6年生か、中学1年生ぐらいだったと思う。 プロレスラー、格闘家に憧れていた僕は、 大人に近づいていくにつれて、 左腕に障害があることが、 強くなるために"不利"であるという現実に気付き始めていた。 『足のボクシングだって⁉︎足で闘うなら、自分にも出来るのではないか⁉︎』 "足のボクシング"と呼ばれる格闘技、 『テコ

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 13

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 12

          ●LIFE! 「世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから」 ベン・スティラー主演の映画『LIFE!』 フォトグラフ雑誌『LIFE』編集部で、 ネガフィルム管理者として、 地味に平凡に、真面目に働くウォルター。 いつも空想ばかりしていて、 空想の世界の中では、 アクションヒーローだったり、 冒険家だったり、 好きな女性に格好いい口説き文句を言ってみたり。 しかし 『LIFE』最終号の表紙を飾る、 写真のネガフィルムを持つショーンの行方を探すために、 オフ

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 12

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 11

          ●新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る 柔術を始めた頃は、 自分に『世界チャンピオン』の称号が付く日が来るなんて、 ゴジラとセーラームーンが闘うぐらい、 想像すら出来ない話だと思っていた。 "価値が無い"と思われていた 僕の左腕の障害は、 『パラアスリート』という名の "新たな価値"を生み出した。 そして、 パラアスリートだったからこそ、 44歳にも関わらず、 僕は世界的な舞台で闘うチャンスを貰えた。 何に価値が無くて、 何に価値が有るのか⁉︎ 何

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 11

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 10

          ●オレの名前を言ってみろ 開始早々、 仕掛けたテイクダウンを上から潰されて、 僕は亀状態にされて、 彼の超太い右腕と、彼自身のラペラ(柔術衣の裾)で、延々と首を絞められ続けた。 おそらく 『片腕で極められる技』のアイデアをいっぱい出して、 その中で辿り着いた必殺技なんだろう。 『このまま秒殺負けかな・・・』 脳みそは半分諦めモードになっていたが、 スラムダンクの三井寿や、 キャプテンアメリカのスティーブ・ロジャース が大好きな僕は、 脳みそとは裏腹に、 絞め

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 10

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 9

          ●アブダビ ドバイ空港に到着すると、 『Abū Dhabī WORLD PRO JiuJitsu Festival』 のロゴマークの入ったチラシを持ったドライバーが迎えてくれた。 車種は分からないが、 映画の中で トニー・スタークが後部座席で寛いでいそうな、 黒塗りの車に乗せてもらって、 ドバイ空港からアブダビまで、 約二時間ほどのドライブだった。 アブダビで過ごした五日間は、 40年を越える自分の人生、その全ての時間よりも濃厚に感じた。 今回この メルカリアスリートに

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 9

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 8

          ●人生初の海外 『アブダビワールドパラ柔術大会の参加選手が重水様に決定しましたので お知らせいたします。 早速ですが、重水様のパスポートのスキャン画像をメールに添付して お送りいただきますよう、お願いいたします・・・』 3月9日に届いたメール。 何度も何度も読み返したことを忘れない。 『オレがアブダビに行ける!?』 夢の中でも見ないような、 想像を超える夢の話だった。 ちなみにパスポートを持っていなかった僕は、 大慌てで申請に行った。 44歳にして、 生まれて

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 8

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 7

          ●紫帯 2013年にメルカリがスタート、 それから二年後の2015年。 2015年は 自分にとって、 本当にラッキーな一年だった。 アジア選手権の青帯40歳以上の部と、 DUMAU JAPAN GP の青帯35歳以上の部で 優勝して、 僕は紫帯になった。 ちなみに 二週続けて上京して、 2015年9月12日(土) アジア選手権→東京武道館 2015年9月20日(日) JAPAN CUP→台東リバーサイド・スポーツセンター で試合をした。 障害者雇用枠で働いている 安

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 7

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。Episode 6

          ●ロディ・パイパーの『ゼイリブ』 映画『ゼイリブ』を初めて観たのは 高校生の頃だ。 大好きなアメリカのプロレス団体WWF(WWE)のプロレスラー、"ラウディ"ロディ・パイパーが主役だという理由だけで観たのを覚えている。 エイリアンが人間に擬態して、 地球征服を企んでいるという、 表面だけ見ればチープな エンターテイメントSF映画。 ロディ・パイパー演じるナダが、 特殊なサングラスを着けて見渡すと、 擬態された人間の顔は、 髑髏のようなエイリアンの顔になり、 同時に

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。Episode 6

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。Episode 5

          ●障害者雇用枠 『従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)』 という、障害者雇用率制度は、 正直有難い。 『五体不満足』の乙武洋匡さんや、 フォレスト・ガンプのように、 障害者を超越する才能や、頭の良さを持っているわけでもなく、 ロバート・デニーロ演じる 映画『タクシードライバー』のトラヴィスのように、世の中を浄化させてやるという、 社会に対する歪

          『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。Episode 5