見出し画像

首相の「育休中のリスキリング」発言とその反響を見ていて3歳ワーママが思うこと。

岸田首相の「育休中のリスキリング(学び直し)」発言に、さまざまな反応が飛び交っています。

このタイミングを知ってかしらずか、ちょうど同じ日に山梨日日新聞で、私の会社(株)つるでつながる の取り組みを社会面にとっても大きく取り上げていただきました(電子版は有料会員の方しか見れません、ごめんよ〜)

で、見出しにこういう書かれ方をしてしまうと、「岸田さんが喜びそうだな〜」と思ってしまわれそうで、そしてそれは我々の本意ではないので、こうして筆(PC)をとりました。

そもそも育児休業とはなんのための制度なのか

そういえば昔(と言っても2年前だた)こんなnote書いたな〜と思い出し読み返しました。我ながら大変リアルでよろしい。よくやっていたよ〜このときの自分(産後3ヶ月で短時間だけど仕事復帰してた。でも、今思えば別にこんなに生き急がなくてよかったと思う)。

ここから2年経って思うことは、やっぱりこの通り、
「育休」は「休暇」じゃない ということ。

産休・育休の正式名称は「産前・産後休業」「育児休業」。
育児・介護休業法では、産休・育休、あと介護休業の「目的」を次のように定義しています。

この法律は(中略)、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。

ずいぶん欲張りだなぁと思いつつ。理想は掲げることに意味がある、ですかね

育児・介護休業というのは、育児や介護のために、一時的に仕事をストップする=休業 のことを指しているのだなと改めて。だから育休・介護休業している人というのは、実際休んでるのではなくて、「仕事を休んで育児や介護をしている」状態だということですね。書くと当たり前のように見えるけども。

上記のように、育児休業が雇用の継続及び再就職を前提につくられている制度であるということを踏まえると、それを見越して休業中に職業訓練や講座受講などで"学びなおし"をすることを推奨する流れは特に問題ないように思います。

問題なのは、それがさも誰でもできることのようにサラッと、よりによって子育てを主として経験したことのなさそうな人が発言してしまったことなのだと改めて。

首相の発言に反応している人たちは、「育児だけでも手一杯なのに、スキルアップとか無理」「ろくに子育てしたことないであろうお前が言うな」って思ったんだと思う。少なくとも私はそう思った。(笑)

当該発言に思いっきり被ることを現在進行形で整備している現場の我々からすると、「Oh…」というお気持ちです。しかも「リスキリング」を後押しするために、具体的な支援策があっての発言なのであればまだしも、その辺特になくお墨付きを加えてくれるあたり、誰も望んでない。。。

リスキリング:学びなおしにおいて、なにを学ぶのか

あと、リスキリング即ち「学びなおし」においてなにを学ぶか、って言うところも重要な論点だと思うんだよね。

この間都留に遊びに来てくれた友達(2児の母)がこんなこと言ってた。

出産前は企業戦士で、ものすごいスピード感で馬車馬のように働いてたけど
出産して、子どものリズムの時間を生きるようになって、そこではじめて、自分自身と向き合うことができたし、新しい自分に出会えた感覚がある。
生物としての人間らしさとか、ホルモンには抗えないんだな〜ってこととか、どうにもままならないことをどう乗り越えていくか、とか。

…こういったことたちだって、
立派な「学び直し」なんじゃないかなって思うんだ。

「子育て支援」「一時預かり」は親をダメにする?

実は(?)私たち、4月から地域子育て支援拠点の運営と、そこで一時預かり事業をスタートさせる予定なんですね。「育休中」には限定しておらず、子育て中のパパもママもみんながしあわせになれる方法を、当事者として模索しながらこつこつと形にしていってます。

で、最近ある人にこんなことを言われましてん。
「中途半端な子育て"支援"、一時預かりは親をダメにする」と。
別件でいろいろ話さなきゃならないことがあったのでその時はそれ以上深掘りできなかったんだけど、この一言がずっと自分の中に残っていて。

あと最近読んだこちらの本にも、多々考えさせられることがありました。
とてもおすすめの本です。

0-1歳児に使っている税金を直接給付というかたちで親に渡し、孤立化を避けるために保育園や児童館に併設した子育て支援センターに週三回ほど午前中だけでも通ってもらうような仕組みを作れば、もともと預けるつもりではなかった親たちを含め、月々七万円くらいは出せる。それだけ支給すれば、自分で育てようという親はまだ八割くらいはいると思う。それで質の低下に直結する保育士不足は一気に解決する。利他の土壌と、家族同士の責任意識を耕し直す方向に国全体が動けば、少子化対策にもなったかもしれない。しかし政府はそれをしなかった。

きっと、子育て「支援」や一時預かりは親をダメにすると言った人は、子育て支援センターや一時預かり、そして一部の保育施設が"サービス化"していることに危機感を持っているのだと思う。この本を読んだことで、何となく察しがつきました。

子どもたちの願いは、1秒でも長くママと一緒にいられること。うちの子がまさにそうです。この本にも書いてあるけど、「保育園に入りたい待機児童はいない」のだから。希望するすべての子どもが、親と一緒にいることができる社会を目指す方が自然で、本当の待機児童ゼロ作戦ではないのか、と。

保育は保育であって、サービス業ではない

地域子育て支援拠点を運営する者として、このことはブレずに大切にしたい。私たちは、お母さんの代わりを何でもやってあげる人ではない。
保育者として、子どもたちの最善の利益を考慮することが大前提で、やってくる子どもたちが安心して、自分のままでいられる「居場所」を提供したい。

とはいえ、お母さんたちにもしっかりと寄り添いたい。
365日24時間、子どもと2人きりでいるだけではきっと息がつまる。
そんな時に、ふらっとやってきて、ほっとできるような場所であれたら。
ひとりの時間を過ごす権利だって、ちゃんとある。
学んだり仕事をしたりすることだって、やりたくなったらやっていい。
そんな余裕ないよ、と思うんだったらやらなくたっていい。
生きてるだけですでにもう100点満点なんだから。

地域子育て支援拠点、オープンまであと2ヶ月あまり。
やることは山積みだけど、何よりもこのど真ん中のところはぶらしてはならないと思うし、一秒たりとも忘れることなくやっていきたいと思っている。

…この想いに共感してくださる方、現在スタッフを募集中です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?