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熊を釣る少年…!

海の岩場に、大勢の釣り人がいる。俺はどうやら見物人だ。若い女性が簡単な仕掛けの延べ竿に、オキアミをつけただけで鯛を一荷で(2匹一緒に)釣り上げた。

鯛の目玉がやけにデッカイ! よく見ると鯛の頭しかないのだ。岩場の下にオットセイがいて、釣った魚を喰ってしまうのだと云う。

確かに海の中には、巨大な黒い生物が蠢いている。釣った魚を速攻で食ってしまうのだ。

大人たちの中に釣り師の少年が一人…                「みんなから離れて釣った方がいいよ」

俺がその少年にアドバイスすると、少年が俺に釣竿を渡した。俺に釣ってくれと云う顔を創っている。

俺は釣りの仕掛けを左側に投げ入れると、すぐイワシが釣れた。そのイワシを餌にすると、すぐ大きなサバが釣れた。

そのサバを餌にして、背後の笹薮や鶏小屋の辺りまで探ってみる。    ふと、竹藪の中を覗くと、小さな熊がいる。

さっそく熊の鼻先に餌のサバを投げ入れた! その餌は何故か…熊の鼻先で50センチほどの板に乗せたオニギリに変身してしまった。

熊は俺たちの前でむしゃむしゃ旨そうにオニギリを喰い始めた。少年はなぜ熊に大事な餌を投げちゃったのかと云う。

俺は怖かったからだと白状した。少年は納得した顔で、もう一つオニギリを持ってきた。

これを熊に喰わせて釣り上げようとせがむのだ。俺はどうしようかと少年の顔を見つめた。その後がどうなったのかは起きてから記憶になかった。

その少年は俺かも知れないと思う。夢の場所が子供の頃、よく一人で釣りをしていた江の島の西浦だったから…


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