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スリランカで出会った人たち

前回の投稿から2ヶ月ほど経ってしまった。2015年のスリランカの様子を書いたのだけど、「ぼったくられた時のことは次の投稿で」と書いてしまったので言行一致させなければと思い、今更ではあるがスリランカで出会った人たちについて書いておきたい。

ハイカラなトゥクトゥクの運転手「サマーン」

サマーンにはダンブッラでバスから降りた時に出会った。

バスを降りるとトゥクトゥクの運転手がたむろしており、観光客だとわかるとすぐに近寄ってくる。何人か適当にあしらった後、サマーンがやって来た。

彼の見た目は、その辺の運転手とは一線を画していた。スリランカ人にしては高い身長で、180㎝前後はあったと思う。服装もオシャレだった。何より彼のトゥクトゥクは赤色で、座席の後ろに特大スピーカーが取り付けられていた。

あまりしつこい印象はなかったので宿泊予定のホテルまで送ってもらった。

程なくしてホテルに着き、降りようとすると「これからどうするんだ」と訊ねられる。そう。彼はディールをしようとしているのだ。正確な価格は忘れてしまったが、ダンブッラに滞在する間専属のドライバーになってくれるというのだ。確か2500ルピーくらいではなかっただろうか。

結局、ダンブッラ観光の移動は彼にお願いすることにした。結果的にこの判断は正しかったと思う。その日のうちにシーギリヤロックに連れて行ってくれて夕日も見ることができたし、次の日に石窟寺院に行く時も無駄に他の運転手に付きまとわられずに済んだ。

何より、スリランカの山の中の道路を、ボブマーリーの曲を爆音で流しながら疾走する爽快感は彼と一緒じゃないと味わえなかったと思う。普段レゲエは聴かないけれど、その時の心地よさは言葉にできない。

サマーンはサービス精神旺盛で、ダンブッラからコロンボ行きのバスに乗る直前まで、野生の象を見せてくれたり、ココナッツジュースを振舞ってくれたりした。

最後に、彼はノートとペンを渡してきた。どうやら自分をレコメンドする内容を日本語で書いてほしいとのこと。今風に言うなら手書きのアナログレビューだ。ベトナムでも案内してくれたバイタクの運転手に見せられたことがある。割と客観的にサマーンの良さは書いたと記憶しているが、最初に提示された金額よりも少し高く要求してきたので、価格交渉はしっかりした方がいいということも書いておいた。

7年経って、コロナで観光客も激減したに違いないだろうが、別れた後も彼はあのノートを使ってトゥクトゥクの運転手をしていたのだろうか。

自称「ヒルトンのコック」に騙される

不覚にもコロンボでは気を抜いてしまった。コロンボの両替屋で両替を済ませて店を出ると、中年男性に英語で話しかけらた。何でもヒルトンで料理長をしているとのこと。これから、お祭りがあるから一緒に行かないかと言われ、ついていくことに。

ダンブッラに着いた時も、サマーンに話しかけられ行動を共にし、この国に着いてからとにかく旅行者だとわかると現地人に話しかけられるから、自分の感覚も鈍っていたのかもしれない。

その男が乗ったトゥクトゥクに自分も乗り、コロンボ市内の大きなお寺や宝石店に連れていかれた。「あれ?お祭りじゃなかったの?」とも思いつつ、まぁ外国あるあるかなとさほど気にしていなかったのだけど、いざ戻ってきて別れようとすると、運転手から法外な運賃を要求された。それでも3000ルピー(3000円)くらいだったけれど、空港まで行ける値段だ。どう考えてもそんな距離を走っていない。よくよく考えたら、運転手とこの男はグルで、メーターも回っていなかった。

高すぎることを抗議したけれども、その男も運転手も悪びれる様子もなく素知らぬ顔。腹が立って仕方がなかったけど、そこから一刻も離れたくなり、結局支払ってしまった。今思い返してもイライラする。

ブッダを見せてくれた男

降りたところは公園のそばだった。しばらく佇んでいると、また見知らぬ男が話しかけてくる。何かあったのかと。

今思い返すと自分でもびっくりするのだけど、その男に「トゥクトゥクで3000ルピーぼったくられた。スリランカの人たちは旅行者にこんなことするのか」と英語でまくしたてた。。

その様子を察してかどうかは知らないけど、「ブッダのいる木があるから見せてあげるよ」と言い出し、「もう、さっきのやつといい、なんのこっちゃ」と思っていると近くにあった木に咲いていた花をもぎ取り、花の中を見せてくれた。

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「この真ん中にあるのがブッダだ」

なぜか写真を見返すとこの写真だけ異様にはっきり撮れているから不思議。

機嫌を取り直した、、、訳でもなく色んなキャラが登場してもうやれやれという感じになってきた。その男は、近くに物館があるから行ってみたらと促してきた。

博物館の記憶はほとんどなく、写真も撮っていない。多分行っていないのだ。博物館に併設されていたいい感じのカフェがあったので、そこに寄ることにした。コーヒーとハンバーガーを注文したのだが、どさくさに紛れてしれっとその男もオレンジジュースを注文するではないか。怒る気力もなくなり、ブッダも見せてくれたし、もう、ええよ。という感じだった。

流暢な日本語を話すビジネスマン

その後は、1人でコロンボの中心地を散策した。

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タワービル。市内に高い建物は少ないのでとても目立つ。ここがコロンボ経済の中心地だろうか。

中心地から歩いていくと、ゴールフェイスグリーンという広い公園がある。大都市の中にある海沿いの広い公園は市民の憩いの場になっている。

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大都市の近くにすぐビーチがあるのは気持ちがいい。家族連れの人々が波打ち際で涼んでいた。何とも幸せそうにみえた。

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公園には、屋台が並びお祭りのようだった。歩き疲れていたので、アイスクリームを買って食べることにした。

おそらく屋台で買ったであろうシャボン玉セットで遊んだ子どものシャボン玉がどこからともなく流れてきて、本当に平和な風景そのままだった。

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1人佇んでいると、「ニホンジンデスカ?」と、誰かが話しかけてくる。

幾度となく現地の人には話しかけられたが、日本語で話しかけられたのは初めてだった。聞けば、コロンボで日本人向けのビジネスをしているそう。何と名刺まで持っていたのだが、どんなお仕事をしているのか忘れてしまった。

旅行中あまり日本人に会わなかったのだけれど、彼の話では、日本人観光客は多いとのこと。

彼にも、ぼったくられた件を話した。今になって思うと、話を聞いてくれて警察に届けることを勧めてくれたのは彼だった気がする。何せ7年前の記憶だ。

コロンボの警察官

彼の言う通りに交番を目指すことにした。ゴールフェイスグリーンからさほど離れていないところに交番があった。お金が戻ってくることは期待しなかったけど、さっきの件を届け出ることにした。

対応してくれた警察官は、軍服のような服を着ている。英語でやりとりができ、話を聞くと分厚いファイルを持ってきた。ファイルには男の写真が挟まれており、「それはこの男か」と指差しながら尋ねてきた。残念ながらファイルの中には今日の男の写真はなかったが、こんなに詐欺師がいるのか、、、とびっくりした。きっと同様の手口でぼったくられている人が多いに違いない。

警察官は一旅行者の自分にも真摯に対応してくれた。それで少し救われた気もする。メールアドレスやホテルの連絡先を伝え、もし何かあったら連絡すしてくれるとのこと。

できることはやった。払ったお金が戻ってくることは期待していないけど。

終わりに

思い返してみると、こんなに強烈に現地の人が登場してくる旅行もなかったと思う。他にも、ペター地区でぼったくり両替に連れていかれたり、酒臭いトゥクトゥクの運転手に話しかけられたり。これも一人旅の醍醐味だ。結婚して子どもがいる今となっては難しいかもしれないが、いつか家族で再訪してみたい。スリランカの財政再建とコロナの収束を願うばかりである。

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