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若さゆえに多感で非力だった頃の自分を思い出す(2023の旅の振り返り・八王子)

「上阪徹のブックライター塾 10周年記念パーティー」が9月2日に東京で開催され、幹事として運営をお手伝いしながら参加した。友人と会う予定も入れていたので東京に2泊した。

筆者は東京・八王子に8年間住んでいた。八王子からバンコクへ引っ越した後も、大学には何度か行ったことがあるのだが、住んでいたアパートの近くは一度も訪れていないことに気づく。ふと、アパートの付近を歩いてみたくなり、パーティーの翌日に八王子へ向かった。

高校卒業後、八王子にある大学に進学し、キャンパスから徒歩15分ほどの場所に位置するアパートに住んだ。JR八王子駅からはバスで20分ほどかかり、アパートの前には小さな川が流れ、野山がすぐ近くに見えるような自然豊かな地域だった。

大学を卒業しても引っ越さず、上京してから8年間同じ部屋に住み続けた。奄美大島の瀬戸内町の家には、小学校卒業までの7年間住んでいたので、八王子のアパートが人生で一番長く住んだ家ということになる。

ほぼ10年ぶりに訪れたアパートの周辺は何も変わっていなかった。アパートも当時のまま。遠目から眺めると、自分が住んでいた部屋にも誰かが入居しているのがわかった。

18歳から26歳まで住んだ部屋。遠目から眺めているほんの数分、この部屋に住んできた時に起きた出来事がフラッシュバックした。

どちらかというと、社会に出る前の軟弱な青春時代の思い出が多く蘇った。剣道で結果が出せなかったことや恋愛で一喜一憂したこと、自分が上京してから起きた家族の問題。大学を卒業して同期の多くが社会に出ていく中、筆者はその流れにのらず、くすぶり続けたことなど。

多感な20代前半まで過ごした家を再び訪れて襲ってきたのは、そんな若さゆえの軟弱な記憶の追体験だった。振り返ると、20代前半のひ弱な男には少々荷が重かった出来事もある。それでも、10年後の自分はこうやって生きている。結婚し、2人の娘も授かった。家族の問題は完全に解決したとはいえないけど、状況は好転しているし、当時に比べたら希望はある。

そんな考えに浸れるのもわずか数分だった。とある部屋から1組の男女が出てきて我に帰る。遠目から眺めているとはいえ、不審者と勘違いされてはたまらない。

友人と会う時間も迫っていたため、バス停に向かって歩き出した。途中、学生のころよく通っていたコンビニへ立ち寄った。昔よく食べていたホットケーキとBOSSのレインボーマウンテンを買った。言葉を交わさなかったけど、レジの店員さんは、筆者が通っていた時もレジ打ちをされていた女性の方だった。

久しぶりに食べたはちみつマーガリンのホットケーキと缶コーヒーのコンボは甘すぎて気持ち悪くなってしまった。若い頃と同じような不摂生はもうできないかもしれない。

日曜日の昼下がりなのにほぼ満員のバスに乗り、JR八王子駅へ戻った。

次回は深圳編に続きます。

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