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中国のtoCサービスは日本よりも先進的...なのか?

先日、志合会の活動の一環として、深セン・香港でスタディツアーをしました。「中国ではtoCのサービスがすごいと言われているけど実際どうなのか?」という問いに答えるべく、日本で展開される類似サービスと比較を行っていきたいと思います。

a. 日本にもほぼ同様のサービスが存在...?

a1. 食事のデリバリーサービス

「餓了么(ウーラマ)」という出前サービスを使い、食事を取り寄せてみました。かかった時間は1時間半程度、思ったより時間はかかりました。

日本も出前館やUbereatsなど似たようなサービスが展開しています。店のラインナップ数やリードタイムなど、日本と比較して特筆すべき事項はあまりなかったように思います。

b. 日本にも同様のサービスはあるが、細部が異なるものも

b1. シェアバイクサービス

まずは日本でもよく名を聞くmobikeのシェアバイクサービス。写真のようにスマホでQRコードを読み取ると使用することができます。

日本でも東京を中心にDocomoやSoftbankがシェアバイクサービスを展開しています。違いとしては、1. mobikeは通常の自転車に対して、Docomoは電動自転車を提供、2. mobikeは15分程度乗車しても1元(16円)に対し、Docomoは160円程度、つまり10倍の価格差があるところでしょうか。

b2. 変動価格制のスーパー

「盒馬鮮生(フーマー)」というスーパーは変動価格制を取っていて、商品の値段が都度変更されます。また、スマホで決済ができるのは当然として、他にも自宅まで商品を宅配してくれるなど、オンラインとオフラインの中間に位置するスーパーです。詳しくはこちらの記事をどうぞ。

日本にも変動価格制は存在します。スーパーで夜20時を過ぎると、惣菜とかに「100円引き!」というシールが貼られますが、あれです。しかし、常時値段をコントロールできる世界は日本には存在しませんね。


c. 日本には全くないサービスも存在する

c1. レストランでのQRコードを用いた注文・決済

多くのレストランで写真のようなQRコードをスマホで読み取ると、画面上で注文できる上に決済もスマホ上で行うことが出来ました。

日本では最近居酒屋等で各テーブルに据え置きのタブレットを用いた注文が出来るようになってきましたが、QRコードで注文できる店は見たことがありません

c2. 顔認証決済システム

自動販売機に顔認証による決済が導入されていました。どうも中国の身分証明書の顔写真と紐づけて決済が行われる模様。外国人には使えないシステムですね。しかしこの自販機、現金もQR決済も顔認証も使える決済手段てんこ盛りの機械ですね。

日本では顔認証による決済は見たことはないですね。NECが実証実験を行った話は聞いたことがありますが、実用化はまだ先の話になりそうです...。

c3. 電動バス・電動タクシー

深センのバスやタクシーは全て電動化車両です。1回の充電で160km走行が可能らしい。BYDという中国の地場メーカーが製造している車両でした。足回りや内外装はそのままにパワートレインだけ変えた形のようです。

日本ではハイブリッド・プラグインハイブリッドが先行し、電動化車両は乗用車でもあまり普及していませんね。セダン型の電動型車両はまだ理解できますが、大型商用車も電動化とは... これには恐れ入りました。


結局中国と日本は何が違うのか...?ビジネスの構造から考える

以上6つのサービスを見てきましたが、ここで次に解かなければいけない問いは「何故、中国と日本で普及しているサービスは違うのか?」ということでしょう。

通常、サービスにはDemandサイド(消費者)Supplyサイド(主に企業)が存在します。Demandサイドのニーズに対し、Supplyサイドがアプローチできるサービスを提供できる時にビジネスは成立します。さらに一歩突っ込むと、Third partyとしての政府がいます。政府の規制等により、新しい形のビジネスが成立したり、逆に歪められたりするのです。

そしてビジネスの形は以下のパターンに集約されます。

1. Demandサイドにニーズがない、従ってSupplyサイドも何もしない:特に何も起きませんね。

2. Demandサイドにニーズがある、しかしSupplyサイドはサービスを供給できない:例えば気軽に宇宙に行きたい!というニーズは今は叶えられませんね。技術的制約、コスト制約、法規制制約など様々な制約が足を引っ張るからです。

3. Demandサイドにニーズがあり、かつSupplyサイドはサービスを供給できる:この場合はビジネスとして成り立ちますね。

4. Demandサイドにニーズがない、がSupplyサイドはサービスを供給してしまった:なんのこっちゃ、と思われるでしょうが、このケースは実は多いんです。企業が新たなサービスを展開し、消費者のニーズを新たに創造してしまうケースです。

5. Demandサイドにニーズはなく、かつSupplyサイドも何もしない。しかし市場の外側からの介入によりビジネスが発生:通常ビジネスは発生しませんが、政府等の規制によりやむを得なくビジネスを行う必要があるケースです。

さあ、各サービスにおいて、日本と中国の現状はどのように分析できるのでしょうか...?「中国すごい!」という議論はSupplyサイドの話ですが、Demandサイドは日本とどう異なるのでしょうか...?

こちらに関しては次回分析を進めていきたいと思います。

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