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#303 最初はキャリアに興味はなかった。でも、課題は全部つながっていた

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。この番組が面白かった。あるいは参考になったらフォロー・コメントなどいただけると嬉しいです。


最初から、キャリアの話に関心があったわけではない

今日はですね。「すべての課題はつながっている」という話をしようと思うんです。

この1か月ほど、キャリア安全性・主体性についてお話をしてきましたよね。

あの……これは語弊がある言い方かもしれないんですけど、僕、別に、最初ころ、キャリア安全性・主体性に興味があったわけではないんですよ。人々のキャリアを「なんとかしたい」「なんとかしなきゃ」と思っていたわけではないんです。

ではなぜ、キャリアの話をしなければならなかったのか、しなければならなくなったのか……というと、僕のもともとの興味関心は、手段の話でいうと地域複業――つまり、地域の企業に、都市部を始めとした地域外の人たちが複業する――ような仕組みができないか? というのが、2017年に、僕がサイボウズで複業を始めてから思っていたことなんです。

手段が地域複業だとしたら、その目的は、地域格差だったり、衰退していく地方だったり。これらが「問題だよな」と。それほど大きく捉えていたわけではないけれど、地方に住む住民の一人として「なんとかしたいな」と。「なんとかできればいいな」っていう、元々はそのあたりです。

キャリアの話をしなければならなくなった理由

じゃあ、なんでキャリアの話をしなければならなくなったのか? というと……

地域複業の取り組みをしていた時のことです。2020年に、地域の企業と地域外の人材の複業マッチングをやったことがあるんですよね。企業側の複業案件を創って「複業しませんか?」という取り組みをしたことがあったんです。

その時に、いくつか課題があったんですよね。

1つは、地域の企業側の課題。案件化が難しかったんです。

その理由は、まだ複業という働き方自体が浸透していないことや、そもそも「リモートで関わる」という働き方が、地域の企業にはそんなに経験値がないので、「案件化が難しい」「仕事の切り出しが難しい」「理解してもらうのが難しい」といった、いくつかの課題がありました。

もう1つが、都市部側で働く人たちの課題。つまり、キャリアの課題ですね。

複業のような形で「働きたい」「関わりたい」という人はいるんだけど。実際に「働きたい」という人たちのその職務経歴書を見た時に、働きたいと言っているのに「うまく自分を表現できてない」という課題があるなと思ったんです。

自分の「何が強みで」「どんな人となりで」みたいなことが、職務経歴書に書けない人や、表現できていない人が、「意外と多いな」と知ったんです。そのとき「これ、結構問題だな」って思ったんです。

できない人ができて「社会は変わった」といえる

複業のような働き方は、できる人はもともとできる――つまり、稼げる人はもともと稼げる――と思うんです。

ただ、もともとできる人がやっても、社会はあまり変わらない。別に僕は「社会を変えよう」とは思ってないけれど、できる人しかできないんだったら母数が限られるというか、社会としては「あまり変わらないな」と思ったんです。

僕のイメージでは、いままで企業の中で培ってきた経験を、企業の外でも活かせる人が増えるといいな。そうすれば、人材不足で困っている地域の企業にとっても、地域外で働く人にとってもいいなと思っていたので、働く側の人たちが、自分のことをちゃんと言語化できたり、表現できたりする人を増やさないといけないな……と思ったのが、働く人の側の「キャリアの視点」だったんですよね。

自分を言語化する試行錯誤をはじめる

そこから、「じゃあ、働く人たちのキャリアや、自分をうまく言語化するためには、どうすればいいのか?」という、次のプロセスに入っていきました。

その中で、「自分を言語化するためには、だいたい、こういうプロセスを踏んでいけばできそうだな」というところまではできて、次のステップとして「それを広げてみよう」と思ったんです。

すると、今度は次の課題が出てきました、

働く人々のスキルや、人となりを言語化する課題は解決できたとしても、今度は、そういった人たちのキャリアを「どうやって支援するか」という話になったときに、「難しいな」と思ったんです。

一人ひとりに対してキャリアを支援していくのも、それはそれでもちろん重要かもしれないのですが、一人ひとりを対象にしていたら、今度は「そういった人たちを募集して」「その人たちにキャリアについて教えて」みたいな形になるので、一人ひとりを個別に支援することをやりきるのは、「まあまあ大変だな」と。コンテンツを作ることはできるけど、その仕組みとして「一人ひとり育てていく」のは大変だなと。

そこで、「じゃあ、どうしたら、企業で働く人を育てられるのか?」みたいなことを考えたとき、一人ひとりも大事だけど、そもそも、働き方が変わっていく中では、「企業として社員を育てていく」ことが、大切なのではないか? と思ったんです。

働き方が変わる中で、キャリア教育を変えていく必要がある

いままでのように、20歳前後で会社に入って、それから定年まで働いて、定年後は年金や退職金をもらって、あとは悠々自適に暮らす……みたいな形は、いままでだったらそれで良かったんでしょうけど、人生100年時代で、いままでよりも長く生きる社会のなかでは、それでは対応できなくなっていきます。

しかも、人口がどんどん減っていくし、いまベテラン世代である団塊ジュニア世代の人たちは、労働力人口の中で、人口がもっとも多い世代なんですけど、今後、その人たちが定年退職を迎え、社会に出ていく時に「会社としても、ちゃんと支援する必要があるんじゃないか?」と思うわけです。いままでのように、退職金を渡して、社会に放出するだけでは、「やばいんじゃないか?」とか、「ちょっと無責任なのではないか?」とか。

あと、ベテラン世代だけではなくて、そもそも働き方が変わってきているわけだから、若い世代の時から、単にスキルだけ教えるのではなく、働き方の変化に合わせて、若いうちから未来に対して、ある程度自立できるようなキャリアを形成していく必要があるんじゃないか? と思うようになりました。

このように、ある課題に対して一つひとつ前に進めていくと、新たな課題が見えてきて。今度は、その課題を「じゃあ、なんとかしよう」と思って動いてきたら「キャリアのところに来ました」っていう感じなんですよね。

なので、いろんなことを解決しようと一つひとつ進んでいくと、新たな課題が出てきて、最近は「結局、みんな繋がっているんだな」という感じがしているんですよね。

結局は「みんなつながっている」

話は少し変わりますが、僕の『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本』という本。

これは、コミュニケーションに関する本なんですけど、実は、最近思っているのは、世代間ギャップが起こってしまうのは、単に価値観やコミュニケーションの課題だけではなく、そこには働き方の変化があって、そこには新たな「キャリアの不安」が生まれていて。

そういった状況の中で、ベテラン世代が「いままでは……」「俺たちの時代は……」みたいに言ったところで、若い世代には通じない。なぜならば「社会が変わっている」「働き方が変わっている」からですよね。

それなのに、「俺たちが若い時代は……」と言われたところで、「いまは、そうじゃないですよね」「社会が変わっていますよね」になってしまう。「なぁんだ。ここも繋がっていんだな」と、最近は思っていて。

問題は全部繋がっていて、最近は「問題は尽きないな」と思っているのですが、みんな繋がっているんだったら、それぞれを一つひとつ解決……は、僕にはできないんですけど、それでも、この構造をちゃんと見える化したり、仕組み化したりしながら、ちょっとでも「解決に向かうといいな」とは思って、取り組んでいる……という感じですね。

というわけで、明日以降はですね。いままでの遍歴というか、「なぜ、地域課題からキャリアまでたどり着いたのか」という話を時系列にしてみたいと思います。

じゃあ、今日の話はこれで終わりにします。じゃあね、バイバ~イ!

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