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ウェザー・マーチャンダイジング。

気温とか天気・天候によって売れるものが大きく変わるということをご存じだろうか?小売業の現場(店舗)の人はこれをリアルに体験してるはずだ。
飲食とフードビジネスの場合はかなり直接的にその日の気温が影響するが、ファッション業界の場合は若干複雑だ。そのメカニズムを紐解いてみよう。

上記の引用記事では主に食品のウェザーマーチャンダイジングが書かれているが、ファッションは実はこれとはかなり異なる。簡潔にいうと、一定日数の天候変化+消費者マインドが影響するのだ。
あとはその天候変化がどのタイミングで起こったか(曜日+イベントの前後)も重要。
ファッションの高単価アイテム(アウターやボトムスやシューズやバッグ)の実店舗購入は休日のウエイトが高いので、月曜日の天候よりも木曜日の天候の方が重要という感じだ。急に寒くなったとしてもその日に購入するわけではないのだ。

ファッションの場合、天候といってもその要素は以下のように分解される。

①気温(絶対的な温度・寒い・暑い)
➁気温変化(急下降や急上昇)
③マインド天気(快晴・晴れ・曇り・雨)
④物理的天気(雨、雨でない、荒天候)

気温は絶対気温と気温変化、天気は物理的に影響する部分とマインドに影響する部分に分けた。

気温に関していうと、一日だけ急に温度が上がった(下がった)だけでは生活者は動かない。2~3日その高温や低温が続いてその後に休日が嵌ると購買が促進される。
天気については商業施設の作りによって雨が優位な場合もある。雨にぬれずに移動できる商業施設の場合は、平日の勤務帰り購買にはむしろ優位に働く。しかし、ここにもマインドの影響はある。

晴れマインドが優位に働くアイテム
Tシャツ、ワンピース、パンプス、サンダル、ビッグシルエットもの、明るいカラー、デコラティブなディテール

雨・曇りマインドが優位に働くもの
コート、撥水スーツ、カバーリングアイテム、ダークトーン

ウェザーマーチャンダイジングといっても、こういう複雑な要素が絡みあうので予測はかなり難しい。しかし、こうも異常気象や不可測の天候変化が起こりやすいとファッション業界の今後のビジネスに支障をきたすと考える。
在庫のコントロールが効かず、マークダウンが状態化してしまうのだ。

なので、この分野でもAIを活用した売れ筋予測が必須になると思う。可能ならばトレンド因子+イベント因子も組み合わせて、消費マインドを予測できると対策は打ちやすい。その複雑な変数の多さは人間が分析して予測するには手に余るからだ。皮肉にもファッションが人間の感性に依存する繊細で複雑なものであるゆえに、人間による分析を難しくしているのだ。