菅田将暉の血を吸った蚊
菅田将暉の血を吸った蚊は針の震えが止まらなかった。
「ふぅ…落ち着け俺」
「お父さん、私も育ち盛りだから菅田くんの血吸いたかったよ」
「お前にはまだ早い。菅田将暉の血を吸った蚊は現代の医学では助からないんだ」
「そんなの知らないよ!理屈とかじゃない、本能で欲しているの。私も菅田くんの血を吸いたい!」
「やめろ!危ない!」
蚊は制止を振り払い菅田将暉の血を吸った。これに関してはさすがに吸われた血の方も「おやおや?」と思った。
「菅田くんの血…お笑いがわかってるつもりの俳優の味がする。こんな傲慢な味を知ってしまったら、すべてのヒルを見下してしまいそう。他の昆虫にぶつかっても謝れなくなりそう。ってあれ、針が抜けない…!」
今度は蚊の方が「おやおや?」と思った。菅田将暉は蚊をつまんでこう言った。
「俺、菅田将暉、え、俺の血を吸ったの?蚊めへん、蚊めへん」
それから菅田将暉は蚊を逃がした。
「キャー///菅田くんの血を吸っちゃったー 熱い熱い。菅田くんの血を吸ったとき、筋肉に力を入れられて逃がさないようにされたけど、結局何もせずに逃がしてくれた キャーッ!」
その蚊の羽音は『ブーン』ではなく『スダマサキーン』になっていた。
「小生はあの蚊からはなんとかして菅田くんの血だけを分離して抽出したいのであります」
「そうね、あの蚊がメスなら私もメスとして黙ってないわ」
「俺がささっと吸ってくるわ」
1匹の蚊が菅田将暉の鼻筋に止まった。
「俺、菅田将暉、え、俺の血を吸ったの?蚊めへん、蚊めへん」
菅田将暉の鼻筋はぷっくり膨れてピエロみたいになった。
「よっしゃーバチバチに吸ったわ」
「3匹で山分けしましょ」
「小生は一旦、撤収したいのであります」
3匹の蚊は菅田将暉の血を分け合った。
「俺、自己紹介の時『あと一応、菅田将暉の血を吸ったことがあります』と必ず言うようにするわ」
「私は、菅田くんの血を吸ったことだし、自分のプロフィール欄に『役者』って追加しようかしら」
「小生は思います。蚊にプロフィールは必要なのでしょうか?なぜ戦争はなくならないのでしょうか?」
3匹の蚊は森の中へ消えていった。菅田将暉の血を吸った蚊はたまに詩的な羽音を出すと言われている。
まちがぁいプ~ンさがぁしのプ~ン間違ぁいの方にプンプン生まぁれてプ~ンきたようなプ~ン気でいたけどプンプンプ~ン♪
素晴らしい音色だ。
しかし、菅田将暉の血を吸った蚊たちを深追いしてはならない。彼らにも彼らの自由があるのだ。おっと、別の人の血を吸った蚊が羽音を立てながらやってきたようだ。
『コマツナナーン』
『スダマサキーン』
『コマツナナーン、コマツナナーン』
『スダマサキーン、プーン、チュッ』
羽音が、結婚した。
小さい頃からお金をもらうことが好きでした